現実なの?
現実なの?
お店の全員が口を開けて彼を見ていた。
まさかの偶然!これぞ奇跡!私は倒れそうなくらいのドキドキしていた。
「まさか、ビンゴなんですか?」
村田さん、ビンゴです。的中!大当たり!盆と正月が一緒に来た!鴨がネギ背負って来た?
いやいや、どう言っていいのかわからない!パニックです!
「ヨッシー!彼なんか?チャーリーって?」
マスターの問いかけにうなずく事しか出来ませんでした。
「これはサプライズや!ビックニュースや!」
高島くんが携帯でメールを打ち出した!
やめて〜!話を大きくしないで〜!
彼はまったく状況が把握できずに困惑している様子に村田さんが説明をはじめた!
「確かに、その日のその時間が阪急に乗って紀伊国屋に行きました。」
何ともやさしい声でチャーリーが答えた。
あまりの事態にオーダーも聞いてなかったのにマスターが気づいて私に聞く様に促した。
「ぁ、あの〜、いかがいたしましょうか・・・・」
ドキドキが止まらない!やばい!
「健太、こちらが吉沢はやみさん。吉沢さん、彼が山下健太です。僕の高校からの親友です。」
「よ、よろしくお願いします。」
顔があげれない!
「タリスカーのハイボールください。」
マスターが私に作る様に促した。
手が震えてる、はずかしい。
「あれ、ヨッシー震えてんの?マジやなぁこれは!」
川端さん、今はそっとしといてぇ〜
必死でハイボールを作った。こんなに苦労したのは、はじめて作らしてもらった時以来かもしれない。
その間、村田さんとマスターが今までの話をチャーリーいや、山下さんに説明していた。
「おまたせしました。」
「震えとる震えてる!」
もお!川端さん!いじめないで〜!
「ヨッシー、喋ったら?」
マスターに押されて山下さんの前に立たされた。
美佐がマスターを呼んでこそこそ内緒話している。気になる〜。
「おいしいです。これ!」
山下さんがグラスを持ち上げてニコって笑ってくれた。
一瞬クラッってした。これは恋ね確実に恋なんだわ〜!
「ありがとうございます。山下さんは夙川にお住まいなんですか?」
「実家が苦楽園なんです。休みで実家に寄ってた時ですね、あの時は」
山下さんは輸入家具のお仕事をしていて、岡本にお店をもっていて、家も岡本に一人で住んでいるとの事でした。
「健太、うらやしいなぁ、こんな美人に一目惚れされるなんて」
もお、村田さんたらお世辞言っちゃって!何だか夢見たい。
「チャーリー来たってっか?」
杉さんが慌てて入って来た!高島の野郎!
「杉さん落ち着いて!」
マスターがそう言うと山下さんの方を促した。
「ハーイ、チャーリー」
お前はチャーリーズエンジュルか?
「すいません、山下さん。」
いえいえとばかりに山下さんは手を小さく左右に振った。可愛い!
その後続々と常連さんがやって来た!高島の野郎は一体何人にメールしたのか?
来る人来る人がチャーリーチャーリーと言う会話!山下さんはちょっと困惑気味!
「おもしろい店やろ?健太」
「あ、うん〜」
「本当にすいません」
私は謝る事しか出来ませんでした。
「じゃぁ、最後にマティーニください。お前も飲めよ!」
「ああ!」
時間は午前零時!満席のお店のなかで一箇所だけ光り輝いた!