表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Quest Online――体感式アクションオンラインゲーム――  作者: 狒牙
第一話『オンラインゲームを始める理由』
8/79

ちょっとした番外編

二話に入る前の番外編です。

実生活が立てこんでるんでちょっと書く時間が取れず……。

申し訳ありませんが更新の周期が週に1~2ぐらいになると思います。


「よし、じゃあ天野教科書読んでみろ」


 四月九日、この学校では始業式翌日にしてもう既に授業が始まっていた。

 そして今は三年一組の一時間目、国語の時間である。

 教壇の上で、電子黒板用のペンと、タブレット型の教師用アイテムを手にした梶本は、一人の女子生徒を指し、教科書を読めと指示する。

 天野という生徒が使命された理由はというと、眠っていたためにその罰としてだ。

 しかし、梶本が読んだのが聞こえていなかったため、まだ夢の世界から帰ってこずに、机の上で伏せったままじっとしている。

 隣に座っている美波が起こしてやろうとしても、中々に手強かった。


「ふにゃ……。何なに……?」

「ふにゃ、じゃない! 今年受験があるくせに、何のうのうと居眠りぶちかましてんだお前は!」


 事態が飲みこめていない彼女に対して、教師である梶本は声を張り上げた。

 寝起きに不意打ちとして叩き込まれた怒鳴り声は、天野ゆかりを委縮させるのに充分な威力を持っていた。

 亀のように首をすぼめたその様子に、隣に座っている美波が軽く噴き出した。


「あー、美波ひどい!」

「良いから読め!」


 半分涙目になりながら抗議しようとするゆかりに、二度目の咆哮が飛んだ。

 もう一度彼女は盛大に驚いて、椅子を揺らしながらその上で大きく動揺した。


「えっと……何ページですか?」

「九ページの一行目から。宮沢賢治の銀河鉄道の夜だ」


 はーい、と気の無い返事を返したゆかりは、淡々と朗読する。

 第一段落、第二段落と進んでいき、大体四つぐらいの段落を音読したあたりで、一旦梶本はそれを止めさせた。


「おい藤村……。お前のそれは挑戦状か?」


 その次に梶本に狙われたのは、ゆかりの後継者のごとく爆睡している藤村 英明だ。

 さっきの今でまた寝る奴がいたので、ついには青筋を額に浮かべていた。

 もはや、教師が出してはいけないような殺気すら出ている。

 ここで天野と違う点としては、彼はすぐに目を覚ましたことだろう。

 立ちあがって携帯端末型の教科書に目をやるも、一向に読み始める気配が無い。


「えっ、あっ……すんませっ……。えーっと……どこからでしょうか?」

「……もう良い」


 深い深い溜め息を吐きだしながら、梶本は藤村に座れと手で促した。

 それに従うようにして、やや決まり悪そうに藤村も着席する。


「えっと、じゃあ……。面倒くせ、神崎、最後まで読んでくれ」

「え、最後までですか?」

「これ以上疲れたくないんだ、許してくれ」

「仕方ないですねー。まあ、引きこもっちゃってる弟の分まで頑張ってあげますよ」


 笑えない冗談に皆は静けさをすぐに感じ取った。

 というよりもこれはどちらかというと、昨日梶本に弟の件でさんざんネチネチと絡まれた皮肉だろうとは誰もが察していた。

 だが、梶本はその気まずさをすぐに忘れる羽目になる。


「天野ぉっ! どうして、また寝てるんだお前はぁっ!」


 そちらを見ると確かに彼女はまたしても意識が授業から遠く離れた場所へと飛んでいた。

 気が紛れただけでなく、教室中の皆が笑いだす。

 今度は机の上に倒れるのでなく、後ろ側にだらりと垂れ下がるように爆睡しているからだ。


 その先、説教が長引く中で、これから先のゲーム生活でお互いが接触するだなんて全く思ってもみなかった四人だった。

はい、何がしたいかよく分からない話です。

多少ゆかりの性格や梶本が怒りっぽいのを理解してもらえれば、と思って書きました。

では、二話までどうかお待ちくださいませ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ