プロローグ
毎日毎日、勉強ばっかりで一体何が楽しいのか、さっぱり分からない。
スポーツをしたって、ある時期を通り過ぎると瞬く間に飽きてしまう。
いつも通り学校に行って、昨日の続きの勉強をして、時間が来たら帰る、ただそれだけの生活。
繰り返して繰り返して繰り返して、疲れ切ったその時に僕は出会った。
Quest Onlineに――――。
この刺激的なゲームに僕は、大層入れ込んだ。
現実世界のおおよそ半分の人がハマるというこのゲームは、まるでファンタジーの世界のようだ。
そのゲームの中で敵を倒して進むプレイヤーの姿は、まさに今までしてきたゲームの主人公そっくりだった。
僕が本当に求めていたのはこの世界に間違いない。
次の日から、つまらなくて当たり前の毎日が一変した。
あんなに退屈だった学校も、よりゲームを楽しむ引き立て役だと思うと、苦にならなかった。
だが、僕は次第に思い始める、生身の人間関係とは何て面倒なのだろうか。
次の日から、テストの日以外に学校に行かなくなった。
家族以外の人とは、もうあまり関わりたくなかった。
誰も彼もが僕を特別視する、その目が嫌だった。
ゲームの中では、ちっとも嫌じゃないのに、現実でその目を向けられると、気分が沈んだ。
未だに不登校は続いているが、僕も今年でもう中学三年だ。
そろそろ家族も気を揉んでくることだろう。
だけど僕にはまだ、あっちの世界に向かうつもりはさらさら無い。
ただ、そんな頑なな態度のせいでややこしい事になってしまうと、僕はまだ知らない。