第14話 王都への出発
時間経過を分かりやすくするため、GWO開始から何日目かを最初に表示させることにしました。
○23日目
雄介とダークテンペストはステータスを見ていた。
滝城雄介
LV:34
年齢:22
職業:冒険者LV27・精霊魔法使いLV24・強化魔法使いLV20・念動魔法使いLV14
HP:1155 (A)
MP:1074 (A)
筋力:231 (A)
体力:231 (A)
敏捷:270 (S)
技術:236 (A)
魔力:218 (A)
精神:210 (A)
運のよさ:-999 (評価不能)
BP:40
称号:プレイヤー・βテスター・三千世界一の不運者・黒不死鳥王の加護・マシュハドの勇者・アラドの勇者
特性:火炎属性絶対耐性・水冷属性至弱・風雷属性中耐性・聖光属性至弱・暗黒属性絶対耐性
スキル:自動翻訳・疾風覇斬(100%)・天竜落撃(100%)・フレアブレード(100%)・サンダーレイジ(100%)・ブラッドブレイク(100%)・思考加速(100%)・流水(100%)・韋駄天(100%)・記憶力上昇(50%)・金剛力(30%)
魔法:ファイアーアロー(3)・フレイム(10)・ファイアーバースト(40)・クリムゾンフレア(150)・エアスライサー(5)・エアロガード(20)・プラズマブレイカー(50)・ブラインドハイディング(5)・シャドウファング(20)・マジックサーチ(5)・ブラックエクスプロージョン(80)・強化魔法(任意)・念動魔法(任意)
装備:黒竜鋭牙の大剣・地竜大鱗の鎧・光王虎のマント・氷精の小手・烈風の具足
所持勇者ポイント:649
累計勇者ポイント:649
「1匹倒しただけでLV2も上がるとはなあ」
「まあ、それだけの戦いだったからのう。
新しいスキル・金剛力(30%)を覚えたの」
「ああ、これが使えなかったら本気で危なかったよ。
BPは筋力に回そう」
「金剛力を更に有用にするのだな」
雄介はステータスを筋力:271 (S)に上げた。
「ところで、あの悪魔はどうしてこんな所に居たんだろうな」
「うむ、それなりの智恵を持っておったし、何か理由があるはずだ。
それになぜ1匹しかおらなかったのか」
「考えられるのは…斥候か何かだろうな。
世界のどこかに悪魔の国が有るらしい。
数百匹の悪魔によって国が落とされ、そこでは人間が奴隷になっているそうだ。
あの強さで下級悪魔なら数百匹で国を落とせたのも頷ける。
噂話で確証がなかったが、本当に有るのかもしれない」
「生かしておいて情報を聞き出すのは難しかったの。
手加減すれば、こちらがやられていた。
特に自爆されたらどうしようもない」
雄介は下級悪魔を倒したことをギルドマスターに報告した。
飽くまで推測に過ぎないと前置きして、悪魔の国についての予想を伝えておいた。
ギルドマスターの方でも調べておくという話だった。
下級悪魔の討伐確認部位は角である。
報奨金は金貨3枚だ。
報告を終えると、雄介は疲れ切った顔で宿屋に向かった。
「雄介様、おかえりにゃん。
今日は一段と大変だったみたいにゃね」
「ただいま、ルカ。
相当きつかったよ。
ルカは今日も良い子にしてたか?」
「勿論にゃん、って猫扱いしないでほしいにゃん」
「そうはいうけどなあ。
にゃんにゃん言われるとどうしてもね。
猫耳なでなでとか尻尾もふもふとか楽しいし」
「それも良いけど、夜のお勤めとかもさせてほしいにゃん」
「そのことだけどなあ、俺にとって1番大事なのはティアナだぞ。
…それでも良いのか?」
急にルカは真面目な顔になって言った。
「ティアナさんと女同士の秘密の話をしましたにゃん。
雄介様は勇者様にゃん。
勇者様なら、あちこちの貴族や有力者が縁を作ろうと綺麗な娘さんの誘惑が有るにゃん。
雄介様なら、その大半は断ると思うにゃん。
でもその中には、勇者様に断られたら責められて相当酷い目にあう女性もきっと居るにゃん。
そういう女性は…雄介さんは相手をボコボコにして女性を保護すると思うにゃん。
一旦保護した女性が雄介様に本気で好きになったら、雄介さんはその女性を断りきれないと思うにゃん。
いつかそのうち、雄介さんに2号さんや3号さんができてしまうにゃん。
ルカは2号さんでも、3号さんでも、下女でも良いから雄介様の傍が良いにゃん」
「本気なんだなあ。
傍に居たら良いよ。
でも、下女でも良いから、とか言うな。
もうちょっと自分を大事にしろ」
「何もしないで一緒に居ることは出来ないにゃん。
何かお役に立ちたいにゃん」
「じゃあ、俺の従者になるのはどうだ?
当然給料はちゃんと払うぞ。
あと、2号とか3号とか言うな。
彼女の一人な」
「はいにゃ。
うにゃ~~嬉しいにゃ。」
「(女性関係の誘惑については何か対策を考えておこうか)」
翌朝雄介はアラドで1番の蔵書を持つ家に向かった。
王都で貴族と渡り合うには、この国の文化や歴史、政治、経済、法律、礼儀作法など種々のことを身に付ける必要があるからである。
「冒険者の雄介です。お金は出しますので、蔵書を読ませて貰えないでしょうか?」
「勇者様ですね。噂はかねがね聞いております。
お金などは要りません。さあ、どうぞどうぞ」
「いや~、本は高価なものですから、無料というわけには」
GWOの世界には未だ印刷技術がないため、本は手書きの書き写しであり、高価なものなのだ。
雄介は書斎に入ると思考加速と記憶力上昇を使った。
1ページ1秒ほどのペースで読んでいく。
雄介は必要そうなことは全て記憶していった。
数百冊の本があったが、数日かけて読み終えてしまった。
雄介は今後のことを考え、王都に行けば色々と忙しくなることを予想した。
そのため、久しぶりに美鈴の見舞いに行こうと考えログアウトした。
「地球に戻ると体が重く感じるのはやっぱり弱くなってるんだろうなあ。
肉体は同じはずなんだけど、どうなってるんだろ。
確かめてみるかな」
雄介はアパートの庭に行き、手を伸ばした位置に印を付けると思いっきりジャンプしてみた。
GWOの世界でジャンプした時より遥かに低かった。
測ってみると83cmだった。
「(GWOだと今ならオーガを飛び越えられるのになあ。
強化魔法使ったら屋根に届くし。
でも、GWO始める前って83cmも跳べたっけ?)」
雄介は知らないが、GWOを始める前の垂直跳びの記録は67cmであった。
GWOの世界での訓練や戦闘経験によって雄介の肉体は確実に鍛えられていた。
だが、BPによるステータスアップはGWOの世界だけの効果なのである。
「(強化魔法が地球でも使えたら面白いのにな。
思考加速や記憶力上昇だけでもどれだけ役に立つやら)」
同様に、魔法もGWOの世界でしか使うことはできない。
ただし、身に付けた技術は地球上でも有効である。
「美鈴、見舞いに来たぞ。体調はどうだ?」
「いらっしゃい、兄さん。
体調はまあまあ、かな。
兄さん、ちょっとシャツ脱いでくれる?」
「また確認するのかよ。
まあ、いいけどさ」
「数日に1つは傷跡を増やしてる兄さんが悪いんじゃない。
向こうで何があったか詳しくは話せないって言うし」
「わかったわかった。
シャツ脱いだぞ」
「あ、右肩に傷が増えてる。
それに段々筋肉質な体型になってるね。
…話してくれなくても身体を見たらどんな生活してるか分かるわ。
ねえ、後ろを歩いてる人の気配が判るとか言わないでしょうね?」
「え?そんな大したことは分からないよ。
道を歩いてて、男か女かとか、殺気の有無とか。
肌で感じるんだよね。
でも、殺気を隠すのが上手い奴(魔物)も居るし、そういうの見抜けないから俺なんかまだまだだよ」
「半分冗談だったのに。
兄さん、もうちょっと自重して下さい」
「あ~、うん、分かった。
気をつけるよ。
ちょっと忙しくなりそうだから、しばらく見舞いに来れないかもしれないんだ」
「ふん、どうせ他の女の子といちゃいちゃしてるんでしょう」
「いや、そんなことは…(そんなには)してないから」
「今の間、不自然」
「ギク」
「口でギクって言った。
(兄さん、彼女出来たのかしら)」
雄介の彼女の一人が猫耳娘だとは夢にも思わない美鈴だった。
すべての準備を終え、王との謁見の5日前、雄介はティアナとルカを連れ出発する日になった。
「雄介、荷物の準備できたよ。
さあ、出発しよか」
「雄介様の荷物もルカが準備しましたにゃん」
「よし、じゃあ出発するぞ」
「3人とも気をつけてね。いってらっしゃい」
「お姉ちゃん、行ってくるわ」
「アルジェさん、行ってきます」
「行ってきますにゃ」
アルジェが3人の見送りに来ていた。
アルジェは既にアラドに引っ越してティアナと一緒に住んでいるのである。
まだ走れないが、歩くことはできるようになっていた。
3人はダークテンペストに乗って王都スロボジアへと旅立った。
「うわ~やっぱり高いなあ。
あ、雄介、うちなギルドから雄介の専属受付係に任命されたんよ」
「専属受付係?」
「あんな、高クラス冒険者とギルドとの間に立って種々のことを調整する係なんや。
うちが雄介に関するギルドの仕事を一手に引き受けるんやで」
「ティアナさん、出世したにゃん?」
「給料は上がってないし、仕事内容が変わっただけや。
でも、こうして仕事として雄介に付いて王都に行けるのは専属受付係になったお陰やで。
受付嬢の仕事も大分減ったんよ。
ところでルカ、うちのことはティアナって呼んでな。
ルカも雄介を支える女の一人になったんやろ」
「うにゃ~ティアナは優しいにゃ」
「そうやで。うちは優しいんや」
「おいおい、自分でいうか」
「うちは雄介の味方には優しい、雄介の敵には冷たいで」
「ああ、そういうことね。
王都では俺の全面的な味方はティアナとルカだけだから頼りにしてるぞ。
王都では敵か味方か分からん人ばかりだからな。
それをどうやって見分けるかが大事だな」
「受付嬢で培った眼力で見極めてやるんや」
「ルカも頑張るにゃ」
「王様が信頼できる人だと良いんだけどなあ。
文献で調べた限り、どうも暗愚っぽいんだよね。
あ、勿論人に言ったらダメだよ」
「スラティナ王国の王様って暗愚なんや。
なんや心配になってきたわ」
「どんな風に暗愚なのにゃ?」
「言ってることがコロコロ変わるんだよ。
1年前と全然違う発言をしたり、半年前と違うことを言ったり、話してる相手によって変わってるみたい。
その場限りの発言が多いんだ。
そういう人の言うことは信用できないから、国王を中心にまとまってないってわけ。
それで、政治の立場がバラバラでいくつもの派閥に分かれてる」
「それはまずいにゃ」
「もしギルドマスターの言うことがコロコロ変わったら、ギルドが崩壊するで。
まあ、そんな人はマスターに選ばれへんはずやけど。
何でそんな人が王様になれたん?」
「宰相の働きらしいよ。
今の宰相って、その王様が子供の頃からの家庭教師で一枚岩なんだ。
先代国王が崩御した時、王位継承権を持ってた人は3人居たんだけど、宰相が相当頑張ったみたい。
ちなみにその宰相は当時大臣の一人で、今の国王になってから宰相の地位に就いたんだよ」
「うちそういう話ほとんど知らへんかったわ。
雄介詳しいんやね」
「文献を調べてて、こりゃまずいって感じたからさ、もっと調べるために政治に詳しい人に聴きに行ったりしたからね」
その後しばらく政治談議が続いたのだった。
「頭が痛くなったのにゃ」
「話題変えるね。
う~ん、そうやなあ。
ダークテンペストには渾名って無いの?」
「えっとね、どうもそういうの考えるのは苦手でさ。
何か良いアイディア有るかな?」
「そうやなあ、ダーテンていうのはどうや?」
「ルカは、黒不死鳥の王様だから黒王様が良いと思うにゃ」
「黒王は良いと思うよ。
ダーテンはただ縮めただけじゃないか。流石にあんまりだろう。
ティアナに子供の名づけはさせられそうにないなあ。
ダークテンペストはどう思う?」
「うぅ、そんなにダメやろか。
でも、さらっと言ったけど、その発言子供作ってもええってことやね。
うち3人はほしいわ」
「ルカは4人ほしいにゃん」
「黒王か、気に入ったぞ。
うむ、いつか群れに戻ったら皆に黒王と呼ばせることにしよう。
雄介、男の責任は取れよ」
「相当気に入ったみたいだな。
じゃあ、俺もこれからは黒王と呼ぶよ。
う~ん、ちょっと真面目に話すといつかは子供ほしいなって気持ちはあるぞ。
でもまだ早いというか、少なくとも美鈴を助けるまではそういうのは考えられないんだ」
「それは当然のことや。
うちはどれだけでも待つよ」
「ルカも~♪」
「照れるな、流石に。
しかし、子供が3人とか4人とか多くないか?」
「3人くらいは普通なんよ。
4人産んでも大人になるまで育つのは2人とかいうこともあるし。
実はうちに弟が居たんやけど、生まれてすぐ亡くなったんや」
「あ、乳幼児死亡率が高いわけだ。
この世界は衛生や医療についての知識って相当低いからな。
回復魔法はあるけど、使い手は限られてるし。
待てよ、それを改善できたら相当多くの人が助かるんじゃないのか。
俺が直接助けるわけじゃないから、勇者ポイントになるかどうかは分からないけど、命を助けられるならやる価値はある」
「赤ちゃんの命が助けられるならうち全面的に協力するで。
それに出産で母親が命を落とすことも少なくないんや」
「そうにゃ。
出産は命がけなのにゃ」
「必要な知識を地球で調べて、こっちで協力者を集めて、何とかなりそうだな。
詳しいやり方を検討しておこう」
「雄介、右前方で馬車が盗賊に襲われておるぞ。
このままでは追いつかれるであろう。
助けるな?」
「勿論だ。
近づいてくれ」
次回の投稿は明日0時となります。
サブタイトルは「盗賊退治」です。




