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スカ×桜 第1章 第1話 「交信ノ桜 ― 光と記憶のはざまで ―」
ヴェルティアの夜景に、ひとひらの花びらが舞い落ちた。
中条潤はビルの屋上で、その光を指先に感じた瞬間、
見知らぬ記憶の断片が脳裏を駆け抜ける。
――雨、転倒音、そして女性の悲鳴。
「まただ……この映像、どこから来る?」
AURAの音声が揺らぐ。「未知の記憶波が接続中。
送信者の名――“桜魂”と記録されています」
その言葉に潤の心臓が跳ねた。
映像の中、雨の中で倒れた男が一人。
その男に手を伸ばす少女の姿。
「……桐生さくら?」
名前を口にした瞬間、街の光が淡く脈打つ。
桜色の電光が塔の先端を伝い、
データの海に花の紋様を描き出す。
その中心に、誰かの声が響いた。
『ありがとう、助けてくれて――』
潤は膝をつき、額に汗を浮かべた。
その声は確かに“生”の温度を持っていた。
「これは……誰かの魂の残響だ」
AURAが警告音を鳴らす。
「接続波が不安定です。これ以上は――」
「いや、繋ぐ。彼女がまだ呼んでる」
潤の手が端末を握りしめた瞬間、
都市のノイズは消え、代わりに“春の匂い”が漂う。
――桜魂の記憶が、スカイリンクの空を渡り始めた。




