表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/8

スカイ 第1章 第1話 「鉄骨の下の約束」

湾岸の空気は鉄の匂いと潮風が混ざっていた。

まだ陽も昇らぬ朝、神代誠一は静まり返った建設現場に立っていた。

58階建て予定の《スカイリンクタワー》――その骨格が、夜明けの街に影を落とす。


「今日も始めるか……」

彼は手にした図面を折り畳み、空を見上げる。

そこに見えるのは、無数の光。

地上ではまだ完成していない“夢の塔”が、空の中ではすでに立っているように錯覚する。


スマートヘルメットの通信が鳴る。

『現場監督、確認を。昨日のセンサー、再起動不能です』

「またAI管理の不具合か……人間より神経質やな」

皮肉を呟く神代の耳に、微かな音が届いた。


――カラカラ……と風に転がるスパナの音。

だが、誰もいないはずの足場の上で、それは“呼吸”のように響く。


神代は足場を見上げた。

そこに、誰かの“影”が揺れている。

照明のない早朝、ありえない光の反射。

まるで人の形をした“残響”が、梁の上を歩いていた。


「……お前は誰や?」

返事はない。

ただ、風が吹き抜けた。

鉄骨の間に、一瞬だけ桜の花弁のような光が舞った。


神代は息を呑む。

都市の中の“静寂”が、何かを産もうとしていた。

それが、タワーに宿る“心”の始まりだとも知らずに――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ