表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/8

第0章第1話 風が泣いた瞬間

湾岸の再開発地スカイリンクタワー予定地。

夜明け前、霧を含んだ雨が街の灯を滲ませていた。

仮設足場の上、現場監督の神代誠一は遠く国道の光を見つめていた。

雨音に紛れて、瞬間的に閃光が走る。

何かが倒れ、人影が駆け寄ったように見えた。


だが、その手前の歩道にも、別の影がいた。

傘も差さず、空を見上げる人。

電柱の下にしゃがみ込み、何かを拾い上げる人。

反対側の高架の影には、輪郭だけ浮かぶ細身の姿。

風の流れが重なり、まるで世界が一拍だけ“呼吸を止めた”ようだった。


「……変な夜やな」

神代の呟きに、美咲が小さく笑った。

「この街、いろんな人の思いが集まるんですよ。きっと」


雨が止む。雲間から、朝日が差し込む。

塔の鉄骨が一瞬だけ光を返し、遠くで誰かの運命と、ここに立つ街の未来が静かに交わった。

誰も、その意味をまだ知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ