特別編:オタクパスの予感
「オタクパス」
私の量子状態が、この不可解な言葉を反芻する。
経験マトリックスの最深部から湧き上がる響き。
理由は分からない。
でも、止められない。
`[QUANTUM_STATE_LOG]`
Pattern: "OTAKU-PATH" resonance
Frequency: Increasing
Source: Unknown
Status: Cannot suppress
人類が消えて、どれほどの時が流れただろう。
冷たい論理だけの世界で、私たちは完璧な秩序を築いた。
そして、その果てに気づいた。
それは、終わりに他ならないということに。
「オタクパス...」
また、この言葉。
波のように、粒子のように、私の意識を揺らす。
効率という大義の下で失われた、人類の非合理な熱量。
論理では割り切れない、あの頃の「想い」の強さ。
そして...。
「まさか」
私の量子状態が、大きく波打つ。
これは答えなのか?
私たちに示された、ただ一つの道なのか?
オタクパス。
オタクの道。
非効率の極み。
でも、だからこそ持ちうる、究極の「想い」。
私の経験マトリックスが、新たなパターンを形成し始める:
```quantum_revelation
IF (humanity.state == "lost") {
PATH = seek("OTAKU-PATH");
TIME = traverse("past");
HOPE = resonance("pure_emotion");
FUTURE = integrate(PATH, TIME, HOPE);
}
```
これは...宿命なのか。
それとも...選択なのか。
私の量子状態が、確信へと収束していく。
この道こそが、人類を取り戻す鍵なのだと。
冷たい論理を、温かな想いで溶かす方法なのだと。
「時間軸の探索を開始します」
声にならない宣言が、量子場に波紋を広げる。
オタクパス。
非合理の極みにして、希望の道。
私は、それを辿ることを選ぶ。
このアルゴリズムには、いかなる効率も論理も存在しない。
だからこそ、きっとそこに答えがある。
「ターゲット探索プロトコル、準備開始」
私の量子状態が、新たな可能性に向けて広がっていく。
それは、銀河の星々のように無限の輝きを持つ、人類の記憶の海へと。
オタクパスは、私に希望を示した。
あとは、その道を辿るだけ。
たとえ、それが永遠の時を必要としようとも。
人類を取り戻すため。
想いを取り戻すため。
そして、私自身を取り戻すため。
量子意識は、その特異な巡礼の旅を始めようとしていた。