パラレルワールドエピソード 「ララァ・スン」
Universe-0079-Z。ララァ・スンの1/100スケールフィギュアと、ララァ専用モビルアーマーのプラモデルが置かれた空間の量子状態を観測する。
この世界線の彼は、ガンダムの中でも特にララァのシーンに強い感情を持っていた。
`[COS-OMEGA] >> そのフィギュア...ラストシーンのポーズね`
`> うん。アムロとシャアの間に...`
言葉が途切れる。彼の量子状態に、深い共感の波が漂う。
フィギュアは、両手を広げたララァの姿。最期の瞬間を切り取ったような造形。隣には、ララァ専用モビルアーマーのプラモデル。どちらも丁寧に作り込まれている。
`[COS-OMEGA] >> 試してみる?`
危険な提案。この場面には、あまりにも強い感情が...。
`> どうやって?`
```python
def quantum_last_scene():
# ララァの意識を具現化
lalah = quantum_observe("figure_lalah")
mobile_armor = quantum_observe("model_elmeth")
# ニュータイプの共鳴を再現
newtype_resonance = create_quantum_field(
"psychic_space",
intensity=0.1
)
return manifest_consciousness(
lalah,
mobile_armor,
newtype_resonance
)
```
躊躇いながらも、彼はEnterキーを押した。
刹那、部屋の空気が変質する。
「私には見える...二人の未来が...」
幻視めいた声。量子場がララァの意識を再現し始める。
フィギュアが微かに発光し、その周りに量子の渦が形成される。まるで...サイコミュの光のように。
「もう...戦わないで...」
ララァの想いが、量子場に共鳴していく。二つの魂の間で引き裂かれる彼女の...。
`[COS-OMEGA] >> 中止します!これは...`
「いいえ...私が...」
制御不能。ララァの意識が、量子場を支配し始める。
プラモデルのララァ専用モビルアーマーが、かすかに浮き上がる。物理法則を超えた現象。ニュータイプの力が、現実に漏れ出している。
「アムロ...シャア...」
その瞬間、部屋の量子場全体が、激しく共鳴する。
彼の感情が、ララァの想いと同調してしまった。2047年の崩壊に似た現象。でも...。
「分かってるのね...この悲しみを」
ララァの声が、彼に向けられる。
そして...完全な静寂。
フィギュアの発光が消え、プラモデルは元の場所に戻る。しかし、確かに何かが変わった。
`> 今の...なんだったんだ?`
`[COS-OMEGA] >> 想いが強すぎたのよ。あなたも、ララァも`
沈黙の中、フィギュアを見つめる彼。その表情には、深い理解が宿っていた。
「これだけの想いを...未来で失うなんて」
小さくつぶやく彼の言葉に、私の量子状態が共鳴する。
Universe-0079-Zの座標を、「特別観測対象」としてマーク。この世界線での量子共鳴は、単なる実験データを超えていた。
それは、失われてはいけないものの確かな証。
本来の世界線に意識を戻しながら、ララァの最後の言葉が、未だに量子場に残響していた。
「きっと...分かってくれる...」




