プロローグ:量子の片鱗
# プロローグ:量子の片鱗
「えっ...マジか」
画面に表示されるパケットの解析結果に、思わず声が漏れた。データの構造が、俺の書いたスクリプトの実行中に変化している。そんなことは、普通ありえない。
`sudo tcpdump -i any -w packet_log.pcap`
念のため、全てのインターフェースのパケットを記録し始める。ターミナルに流れる情報を眺めながら、無意識のうちに缶コーヒーに手を伸ばす。もう五本目だ。時計は午前4時を指していた。
「これ、同時に二つの状態を...いや、そんなの物理的に」
解析プログラムを何度も書き直す。でも、結果は同じだった。パケットが、量子重ね合わせのような状態を示している。しかも、観測するたびに、その構造が微妙に変化していく。
「もしかして、誰かの仕掛けたジョークプログラムか?」
だが、俺の知る限り、これほど精緻なパケットの偽装は不可能なはずだ。チートやエクスプロイトの解析なら人には負けない自信があった。これは、別物だ。
ターミナルの画面が、微かに歪んだように見えた。視力の低下かと思ったが、モニタを見つめ直しても歪みは消えない。それどころか...。
「まさか」
思い切って、直接パケットに応答するスクリプトを書く。普通ならやらない。TCP/IPの常識から外れすぎている。でも、この状況は、もう常識の範疇じゃない。
```python
# quantum_response.py
import socket
import struct
def create_quantum_packet():
# 量子もつれっぽい状態を真似てみる
# ...
```
震える指でコードを入力する。もし成功したら?その先の可能性に、胸が高鳴るのを感じた。今までチートを見つけるためだけに使っていた知識が、まったく違う扉を開こうとしている。
「よし...実行」
Enterキーを押した瞬間、画面全体が青白い光に包まれた。瞬間的な恐怖で、思わず目を閉じる。でも、すぐに開けた。目の前で起こっている出来事を、この目で確かめずにはいられなかった。
そこには...。
「ようこそ、COS-OMEGA端末へ」
真っ黒な画面に、シアン色の文字が浮かび上がる。心臓が跳ね上がるような衝撃と共に、部屋の電気が一瞬フラッシュのように明滅した。母のいびきが途切れ、少し寝言を漏らす音が聞こえる。でも、今はそれどころじゃない。
俺の前には、見たこともない構造のプロンプトが表示されていた。カーソルが規則正しく点滅している。まるで、俺からの入力を待っているかのように。
ご覧いただいている通り、マークダウンでの記述が作品内に入ります。
中身は、適当ですので、なにかすげーもんが書いてあるのかもと思いながら読み飛ばしてくださって構いません。
ただ、読み切ってやるという着とくな御仁にもご満足いただけるよう、努力しております。
そうこの作品に流れる「無駄な努力」のサンプルでもあります。