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どらごん・ぐるーむ  作者: 雪見 夜昼
<東方の章>
72/81

第68話 島津家の災難

第61話にあらすじがあります。

「ふんっ……!」


 呼気も荒く突きだした手のひらは、何も掴まずに空を切る。

 俺の目にはそれを躱したナズナの動きが見えているのだが、相変わらずタイミングというか、間をずらされている感じがする。


「目で追うだけではいけません。耳で、肌で、全身をもって相手の動きを捉えるのです」


 アドバイスに従い、足音や衣擦れの音、肌を撫でる空気の動きに意識を集中させる。

 途端、ナズナは俺の視界から消える。


「っ!」


 俺は勘だけを頼りに飛び退った。

 そのぎりぎり足元を、ナズナの蹴り足が鋭く通り抜ける。


 蹴りを外して姿勢を崩したナズナに掴みかかるが、やはりするりと躱されてしまった。


「兄上様のその勘の良さには目を見張るものがあります。ですがわたくしを見失ったのはいけません。視野は広く、全身の感覚は鋭敏に。全てを掌握したその先にこそ、『内錬気』の神髄が見えるのです」


 常に薄赤い光を全身へ均一に纏うナズナに対して、俺の内錬気はお粗末だった。

 ある時は掴みかかる腕の一部だけが光り、聴覚に集中すれば耳のあたりに熱を感じる。

 要するにその時意識しているごく一部にしか内錬気を行えていないのだ。


「そのようにごく一部だけに内錬気を行う方法もありますが、兄上様の場合は意図してのものではなく、そのようにしかできていないだけです。まずは全身に錬気を練り上げて、いつ、いかなる状況にも即応できるようにするのが肝要なのです」


「そうは言ってもな……」


 まず全身に内錬気を行うということ自体が難しい。

 内錬気を行うにはその部位に意識を集中させる必要がある。

 全身に内錬気を練り上げるとは、体全体にまんべんなく意識を集中させるという、ある種の矛盾を孕んだ行為なのだ。


「竜輔。足運びが悪い。もっと低く、床を擦るように。錬気にばかり気を取られてはいかんぞ」


「っ……!」


 途中、横から見ている義月からもダメ出しが入る。


「兄上様。今度は足元にばかり意識が偏っています。そうすると――」


「おわっ!?」


 いつの間にか目前まで近づいていたナズナが俺の襟首を掴み、どこにどう力を込めたのか、訳の分からないうちに俺は宙を舞う。


「でっ!」


 投げられまくってこれだけは上手くなった受け身をとる。


「――上半身から重心を崩されてしまいますよ。何度も申しますが、視野は広く、全身の感覚は鋭敏に――」


「ちょ、ちょっと待った。休憩、休憩しよう」


 俺は尻もちをついたまま、ナズナに手のひらを向けて止める。

 ナズナは構えを解いて頷いた。


「兄上様は錬気にムラがあるからそのように急速な疲労を覚えるのです。必要な力を必要なだけ。気は生命の力ですから、無駄にすれば体力を消耗するのは道理ですよ」


「ああ……身に染みてるよ……」


 俺は額の汗を拭って立ち上がる。汗は額だけでなく、全身から流れ落ちている。

 普段ならこの程度の運動では汗すらかかないというのにだ。


 俺は一息ついて、練武場を見回す。

 今日はこの広い練武場に俺とナズナ、そして義月しかいなかった。

 錬気は本来、門外不出の秘技であるため、その伝授にはニナたちでも見学すら許されることはない。

 一般の門下生もしかりだ。


 練武場はここひとつではないらしく、他の門下生たちは別の練武場で鍛錬を積んでいるようだ。


「……特別待遇で嬉しいことだぜ、まったく……」


 ため息を吐く。


「ああ。私の時でもここまでではなかった。羨ましい限りだな」


 にこやかに言う義月。

 皮肉が通じた上で、この返しなのだからもう諦めるしかない。


「そうすか……。で、今日は源さんはいないのか?」


「父上様なら、今日は大事な評定があるとか」


「ひょうじょう? ……ああ、会議のことか」


 ここに源さんも加わるとすんごく大変なので、ありがたい限りだ。


「よし。次は私とやるぞ、竜輔」


「へいへい……」


 嬉しそうに告げる義月。

 義月はどうも帝ちゃんを俺に取られたと思っているらしく。

 一応いろいろと指導はしてくれているが、なんだか組手の容赦のなさには私怨が含まれている気がする。


「兄上様。視野は広く」


「感覚は鋭敏に、ね」


 いっちょ、やってみますかね。


________________________________________


 竜輔が練武場で(しご)かれている頃、柊城本丸の一室では、重臣たちが集まり、とある重要な評定を開いていた。


「島津の動きはどうじゃ」


「やはりどこまでも攻め進むつもりのようじゃが……今は豊後(ぶんご)の大友に苦戦しておる」


「春久の悪童めが……内弟子にとった恩も忘れおって。このまま柊まで攻め滅ぼすつもりか」


「しかし鬼の島津といえども、大友家相手では容易(たやす)くはいくまい」


 家老たちがしきりに話題に上らせるのは、九州の島津家についてだった。

 島津は薩摩国から猛進を続け、本州への最後の砦とも言える、豊後国(ぶんごのくに)(現代日本で言う大分県の辺り)の大友家と現在交戦中である。


「来るぜ」


 家臣たちのしわがれた声を、重々しくも力強い声が上書きする。

 それまで黙っていた、柊家当主、柊源之丞の一声だった。

 源之丞はその逞しい体躯に戦意を漲らせ、明日にでも戦場に出るかのような雰囲気を漂わせていた。


「島津は来る。大友も強いが、俺の勘じゃあ鬼人族にはおよばねぇ」


「お館様。では近いうちに」


「ああ……戦になるだろうぜ、うちと、島津でな」


 言い切る源之丞に、家老や重臣たちは様々な反応を見せる。

 覚悟を決める者、開戦に及び腰になる者、意気を滾らせる者、表情を引きつらせる者。


「攻めて来る以上、戦はやむをえまい……」


「だが今は時が悪い」


「征夷大将軍……」


「それに帝、か」


 そう、今ここ柊城には征夷大将軍、足利義月と、帝がいるのだ。

 不安が蔓延する中で、源之丞だけが力強く言った。


「島津の動きをわかった上で帝は参られた。それは柊の“武”を信頼してのこと」


 一度言葉を止めて、源之丞は家臣たちを見回す。

 一人ひとりと目を合わせ、その意思をしっかりと確認した。


 反応は千差万別なれど。


 源之丞は満足げに頷く。


「柊に臆病者はいねぇようだな。九州の鬼どもに、“(まこと)の武”を見せつけてやろうじゃねぇか」


 そう言って源之丞は無邪気に笑った。


「おお」


「そうだ」


「鬼人族、何ほどのものか」


「柊の武に敵う者なし」


「まずは兵糧と――」


 重臣たちの士気高く、評定はその後も白熱して続いていった。


________________________________________


 快進撃を続けていた島津家だが、九州北東部、豊後国(ぶんごのくに)の大友家には苦戦していた。


 それまでの小国と違い、島津家と大友家がほぼ同規模の勢力であるということもある。

 しかしそれ以上に、侵攻が遅れている決定的な理由があった。


 島津家当主、島津春久の不調である。


「離せ冬」


「春兄さん、寝ていなくてはいけません……」


 春久は居城の自室にて、床に臥せていた。

 立ち上がろうとするも、妹、島津冬久の手によって止められている。


「大友風情を落とせずにいるとは……やはり俺自ら陣頭に立つ」


「あっ……」


 その冬久の手を押しのけて、春久は立ち上がる。

 そして部屋の外へと進もうとするも、


「ぐっ……!」


 春久は苦鳴を上げ、右手を額の2本角の間に当ててうずくまる。


「春兄さん……!」


 慌てて駆けよる冬久。

 冬久はおろおろと狼狽しながら春久の背を撫でるが、春久は頭に手を当てたまま動けない。


 春久を襲っているのは、激しい頭痛と発熱であった。


 鬼人族は生来頑健な肉体を持っており、病気をすることは滅多にない。

 だがそんな鬼人族の間でも、恐れられる(やまい)があった。


 『角熱(かくねつ)病』。


 別名『鬼殺し』とも呼ばれるこの病は、角と体が高熱を放ち、強靭な鬼人族をもってしても耐え難い頭痛に見舞われる。

 発症まで予兆のようなものはなく、あるとき突然発病する。

 個人差はあるが発症後およそ1週間から1か月で快癒するか、あるいは5割ほどの確率で――――死亡する。


「おのれ、この程度で……」


 春久は歯を食いしばるが、痛みがそれで消えるわけもなかった。


 そんな春久の寝室へ向けて、軽くも騒々しい足音が近づいてきた。


「春ニィ!」


 慌ただしく障子戸を開いたのは島津四兄妹の3男坊、島津秋久であった。

 その小柄な体を荒い息に弾ませながら、秋久は笑みを浮かべる。


「医者を連れてきたぜ! 城下でも一番って評判のじいさんだ!」


 無論、城には主治医がいるが、角熱病に至っては治療法がないのが現実である。

 しかし僅かな可能性を求めて、次男、夏久と3男、秋久は、方々手を尽くして腕の良い医師を探していた。


「ひい……ひい……病人というのはまさか、春久様のことじゃったか」


 秋久に遅れてやってきたのは、薄くなった白髪頭に、2本角を生やした老医師だった。

 よほど秋久に急かされたのだろう。年老いて乾いた肌に汗の玉を浮かべている。


「医者など……! 無用だと言って――ぐっ! 言っている……!」


 春久は言葉も途切れとぎれに、秋久を怒鳴りつけた。


「そんなざまで何言ってんだ春ニィ。いいから診てもらえって」


 秋久の呆れ混じりの言葉に、冬久もこくこくと頷いた。


 そうして招かれた老医師は、春久を見るなり険しい表情で駆け寄る。


「春久様……失礼いたしますぞ」


 老医師はそう言って、春久の額――角に手を触れた。


「……! 熱の籠った角……紛れもなく角熱病ですな」


「そんなことはわかってるって! どうなんだ、治るのか!?」


「……」


 声を張り上げる秋久に動じることもなく、老医師は、片膝をついて(うずくま)る春久の首筋や胸に手を当て、状態を確かめる。


「……角熱病は治るか治らぬか、半々の病気」


 秋久と冬久は、息を呑む。


「しかし、儂の経験から言ってこの様子では……」


 老医師は静かに首を振った。


「な!? じいさん、しっかと見たのか!? 出鱈目を言うと……!」


 秋久は腰の刀に手をかける。

 しかし老医師は狼狽える様子もなく、秋久を静かな瞳で見つめた。


「例え斬られようとも、嘘の見立てはできませぬぞ。春久様は……助かりませぬ」


「貴様ッ!」


 刀を抜き放つ秋久。

 冬久は顔面を蒼白にして、ふらふらと尻もちをついた。


「やめろ、秋久」


 止めたのは、死の宣告を受けた春久自身であった。


「……! 春ニィ……」


 春久はそれまでの苦しみようから一変、落ち着いた様子で立ち上がる。


「ご老体。見立てに間違いはないのだな」


「……ございませぬ」


「そうか……ご苦労だった。このことは今しばらく民には伏せよ。……下がれ」


「……はっ。お力になれず……」


「……」


「……」


 老医師は春久の顔を見ると、謝罪の言葉を呑み込んで部屋を立ち去った。


「春ニィ……」


「ふん。これも天命か」


 春久は額の脂汗を袖でぬぐい、凛として告げる。


「家督は夏久に譲る」


「ま、待ってくれよ! まだ本当に死ぬと決まったわけじゃ……!」


「黙れ。己の身体のことだ。己が一番わかっている」


「そんな……」


 秋久は途方に暮れた様子で膝をついた。


「春兄さん……!」


 冬久はぽろぽろと涙を流し、春久の腰に抱き着いた。


「お前たちには苦労をかけるが、大友家とは和議を――」


 ――――に者……!


「……?」


 遠く聞こえる野太い声に、春久は言葉を止める。


 ――兄者!


「……夏だ! 春ニィ! 別の医者が見つかったのかもしれねぇぜ!」


「……秋。俺はもう――」


「……! ……!!」


「冬……」


 必死にしがみついて首を振る冬久に、春久は困ったように眉根を寄せる。


「兄者ぁ!!」


 どたどたと巨体に見合った足音を立てて、島津4兄妹最後の一人、次男、島津夏久は姿を見せた。

 その肩に一人の男を担いで。


「騒々しいぞ、夏……」


「す、すまねえ兄者! だがよ!」


「医者か!? 夏、医者を見つけたんだな!」


「いや、秋よ、医者はどいつもこいつも角熱病は治せねぇの一点張りで、使えねぇやつばかりだった。だがこいつが!」


「おわっと!?」


 夏久は肩に担いでいた男を床に放り落とすように投げ出した。


「あいたっ! いたたた……」


 男は尻から落下し、腰をさすった。


 怪しげな男であった。


 女物に近いような赤い着物を着た若い男で、医者というよりは遊び人、良く言っても若手の行商人程度にしか見えない。


「何者だ」


 春久は目を(すが)めて、男を見る。

 男は慌てて立ち上がると、深々とお辞儀をした。


「や、や、これはこれは春久様。お初にお目にかかります。わたくし、しがない商人をやっております、ギシンと申す者でございます」


 ギシンと名乗ったその男は、開いているのかも怪しい細目をさらに細めて、口元に笑みをかたどった。


「はあ? 商人? おいバカ夏、商人なんか連れてきてどういうつもりだよ。しかもこいつ、鬼人族じゃないじゃないか」


「バカとはなんだ! この男が角熱病を治す薬を持っているというから連れてきたまでだ!」


 その言葉に、場の空気が変わる。


「なんだと……?」


「お、おい本当か! 本当に角熱病が治るのか!?」


「……!」


 秋久はギシンの襟首を掴んで揺さぶった。

 冬久も、彼女にしては珍しく、強い表情で無言のままギシンに詰め寄る。


「は、はい。勿論でございます。ただ、こちらも商売でございますから、タダでというわけでには参りませんが……」


「……出せ」


「は?」


「その薬を出してみろ」


「は、はあ。ですから……」


「……」


「は、はいはい! こちらがその薬でございます!」


 春久に睨みつけられて、ギシンは慌てて懐から包み紙を取り出した。

 春久は差し出された包み紙を丁寧に開いていく。


「丸薬か……」


「うわ、くさっ! あやしっ! おいギシンとやら。この薬、どういう由来だよ」


 秋久はえもいわれぬ悪臭を放つ丸薬からやや距離をとりつつ、ギシンを問いただす。


「はい。こちら、大陸から取り寄せた特別なお薬でございまして……」


「……大陸か」


 春久は丸薬をつまんで眼前に掲げながら呟く。

 ジパングの民にとって大陸とはまさに未知の領域。

 特にここ、九州では、大陸産だと言われる商品があれやこれやと真偽の定かでなくあちこちで売られている。


「大陸ぅー? 大丈夫なのかよ……」


 秋久は心配げに春久と丸薬を見つめる。


「何を言う! ギシンが言うには、その薬、大陸の東にあるマコクという大国で作られたもので、マホーとかいう陰陽術に基づいた由緒ある――」


「聞くほとに怪しいじゃねーか! 春ニィ……どうすんだよ」


 秋久に問わて、春久は薄く笑みを作った。


「……死んで元々。失う物はない」


「いやあの、お代はきっちりいただきませんと……」


 春久はギシンの言葉を完全に無視して、丸薬を一息に飲み込んだ。


「………………ぐっ」


「春ニィ!?」


「春兄さん!」


「兄者!」


 ただでさえ青白い顔をさらに蒼白にして口元を抑える春久に、兄妹たちが慌てて駆けよる。


「い、いや大丈夫だ。想像以上に不味(まず)かっただけだ」


「な、なんだそうかよ……って春ニィ! 体はどうなんだ!?」


「……む」


 春久は何かを確かめるように眼前で右の手のひらを開閉する。


「……消えた」


「き、消えた? 消えたとは何が消えたのだ、兄者」


「割れるような頭痛と、全身の熱が消えた。どうやら、本物だったようだな」


 春久は口角を上げて右手を強く握りしめた。


「お、おいおい本当かよ! お手柄だぞ夏!」


「春兄さん……!」


「う、うおぉぉぉ! 兄者ぁああ!」


 秋久は飛び上がって喜び、冬久はやはり涙を流し、夏久もまた号泣した。


「あ、あのー・・・お代のほうはいかほどいただけるんで……?」


 そんな中、ギシンだけがもみ手をしながら呟いた。


「冬、言い値で払ってやれ」


「(コクコク!)」


「あ、ありがとうございます!」


 商人ギシンは大金を手にして城を後にした。


「夏、秋。戦場へ行くぞ」


「病み上がりで無茶言うなあ。大丈夫かよ?」


「以前より調子がいいくらいだ。体が疼いて仕方ない」


「がっははは! さすがは兄者、剛毅剛毅!」


「……(おろおろ)」


「くっく……大友家……前座程度には楽しませろよ」


 こうして島津家を襲った最大の試練は去って行った。


 少なくともこの時、4兄妹にはそのように思われた。


________________________________________


「さあ……これから面白くなりますね」


 城を出た商人、ギシンは、その怪しげな笑みを人知れず深めるのだった。


________________________________________


「そうだ! 足運びはそれでいい!」


「うおっ! とか言いながら顔面に拳を飛ばすなよ!」


「ちっ……よく避けたな」


「舌打ちをするな!」


 義月の容赦ない攻撃を捌きながら、内錬気を練る。

 攻撃自体はまともに喰らっていないのに、体が軋む。内錬気の影響だろうか。


「兄上様。両手、両足の内錬気はそのままに、全身に気を強く巡らせるのです」


「……っ! 全身に……!」


 横から入るナヅナの助言にも耳を傾ける。


「フゥゥゥ……」


 自然と、呼気が漏れた。


 視野は広く――。


「これは……」


 義月の驚いたような声が遠く聞こえる。


 ――全身の感覚は鋭敏……に……。


「……」


「……」


「……兄上様? 何かを掴んだように見えましたが……」


「これはだめだな。立ったまま意識を失っている」


「あ、あら。壮絶な……。気を練り過ぎたのですね。そこまで追い詰めたでしょうか……?」


「いや。帝ちゃんのお気に入りだからと、まだどこか甘さがあったのかもしれん」


「そうでしょうか? でしたらわたくしももう少し――」


 薄れ行く意識の中でとても不吉な会話が聞こえた気がした。


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