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どらごん・ぐるーむ  作者: 雪見 夜昼
<東方の章>
64/81

第60話 暗殺

「おお。みな黒髪じゃな!」


「そうですね。何だかすごく警戒されているようですが……」


「仕方あるまい。ジパングでは舶来人を見る機会など、まずないのだ」


 それなりの広さはあるものの、マリア号を停泊させるには、やや手狭な印象の船着き場。

 船員たちは荷下ろしに忙殺されていた。

 騒がしい掛け声と、荷を動かすガタガタという大きな音が、海からの潮騒を掻き消している。


 俺たち4人は邪魔にならないよう、甲板の片隅に身を寄せていた。

 マリア号の高い甲板から見下ろす船着き場では、大勢のジパング人が遠巻きにこちらを眺めている。


 ここは兵庫野津(ひょうごのつ)などと呼ばれる、ジパング有数の港町だ。

 位置的にはその名の通り、現代日本でいうところの兵庫県の神戸港あたり。大阪湾の北北西にある港だ。


「む? 何やらリュースケが黙り込んでおる」


「あれ、本当ですね」


「どうした、竜輔殿。ジパングは想像と違っていたか?」


「いや、むしろ――」


 むしろ、逆である。


 遠目に見える、土と木で造られた和風の土蔵や屋敷。

 防風林なのか、建物の周囲には松の木々が所狭しと立ち並ぶ。


 俺の感覚からすると古めかしい、着物姿のジパング人たち。

 ミッドガルドに比べれば背の低い者が多く、黒い髪と目はこれまでナツメ以外には見なかった色だ。


 『郷愁』とは、こういう感覚のことをいうのだろうか。

 あまりの懐かしさに言葉を失う。


「それほど、リュースケの故郷とジパングは似ておるのか?」


「ん、まあ、そうとも言えるし、そうじゃないとも言える」


「?」


 首をかしげるニナ。


 どちらかといえば、「俺のいた日本」とジパングは、似ても似つかない。


 俺の実家――法龍院の和風屋敷はともかく、現代日本でこういう素朴な光景が見られる場所はそうそうない。

 少なくとも俺の生活圏にはなかった。

 普通の住宅街と、駅前にはビルがそびえ立つ。

 地面はアスファルトで、買い物はコンニビエンスストアやスーパーマーケット。

 やや懐かしい雰囲気の商店街も、まさか江戸時代以前の町並みというわけでもない。


 ゆえに、俺の故郷である日本とジパングは似ていない。


 それでも。


 それでも、こうした光景を懐かしいと感じるのは、時代劇や大河ドラマ、歴史の授業で散々目にしてきたからだろう。

 それは欧州風の文化を持つミッドガルドにもいえることだが、やはりかつての日本を思わせるジパングとは感覚が違う。


「本当の故郷とは違うんだけど……魂の故郷(ふるさと)、みたいなもんかな。俺にとっては」


 というか、日本人にとっては。


「そうか」


 ナツメは俺の言葉に、嬉しげに笑って頷いていた。


「そうなの。ワタシの魂の故郷が子宮であるようなものね」


「ううん。それは違う」


 またもや背後から突然声を掛けてきたマリアの言葉を、俺は即座に否定した。


「しきゅ……ま、マリアさん、荷下ろしはいいんですか?」


「今日のところはね。商品は小出しにしていかないと」


 あけすけな単語に頬を染めながら問いかけるラティに、マリアはウインクをとばした。


「どのくらい滞在するんだ?」


「まだ未定だけど……だいたい1ヶ月ってところかしら」


 1ヶ月。

 意外と長い。


「随分長く留まるのだな」


「まあね。いつもと違う港だし、商品を捌くのにも時間がかかると思うから」


 驚くナツメに、端的に理由を話すマリア。

 どんな商品を扱っているのか知らないが、やはり馴染みの商人がいないと、値段交渉なども難航するということだろうか。


「しかし長い滞在といっても、わらわたちはさすがに1ヶ月では戻ってこれんじゃろうのう」


「うむ。申し訳ないが、拙者の刀を打ち直す必要もあるのでな」


 ナツメの故郷、長門国には陸路で向かうことになる。各地での滞在期間も含めれば、ひと月で戻るとなると、かなりハードなスケジュールだ。

 それにはるばる帰郷したのだから、刀のことは別にしても、ナツメもしばらくは故郷に身を置きたいだろう。


「もとから往路だけの契約だから、仕方ないな」


「あらリュースケ君。ワタシ、そこまで薄情じゃないわよ」


 パシ。


 そう言ってマリアが俺に投げ渡したのは、桃色の宝石だった。


「おい、これ」


「遠話のマジックアイテム。使ってるの見たでしょ?」


「いいのか。高いものじゃないのか」


「値段もつけられないくらいね。でも――」


 マリアは真っ赤な髪をかき上げて、笑った。


「リュースケ君たちとの『縁』には、それ以上の価値があると踏んだわ」


「マリア……」


「あとニナ様を放置すると本国にとてつもなく怒られる」


「もれてる。本音がもれだしてる」


 俺のつっこみに、マリアはハッと表情を変えた。


「もれ――いえ、さすがに別れ際に下ネタは自重しようかしら」


「いい心掛けだが、すでに半分以上アウトだからな」


「いえやはり――もらしてください。ニナ様(キリッ)」


「いやじゃ!?」


「それもう下ネタとかじゃなくてセクハラだからな。しかも極めて変態的な」


 マリアとのこんなバカ話でも、しばらくできなくなるのだと思えば、一抹の寂しさが――いや、ないな。


「さておき……半年後くらいにはまたジパングへ渡る予定だから。その時に帰る気があれば、合流しましょう」


 時期は明確にはわからないが、ジパングの近くまで来たら、桃色の宝石で連絡してくれるとのことだった。

 ミッドガルドまでは声が届かないのは残念だが、それでも十二分に助かる話だ。


「マリア殿とはここで、しばしの別れとなるな。乗せてもらえて助かったぞ」


「マリア、世話になった」


「マリアさん、ありがとうございました」


「ありがとな」


 ベルナさんが忙しいのか顔を見せないのが心残りではあるが、別れを告げるべく、全員でマリアに謝意を表した。


「いーのいーの。予定とは違ったけど、クラーケンの時には助かったしね」


 にこにこと笑いながら、マリアはラティの肩に手を置いた。

 そしてさわさわと優しく撫でる。すさる。


「え」


 ラティの顔が、笑顔のまま引きつった。


「いいのよ。お礼なんて。でもそうね、感謝を示すのはいいことだわ。そう、お礼はラティちゃんの体でハァハァ」


「自重――――しろッッ!!」


 ブスリッ!


 叫びと共にどこからか飛んできたベルナさんの杖が、マリアの後頭部に突き刺さる。


「ああ……民が……ジパングの民が白い目で拙者らを……」


 お別れの場面にしてはアホなやりとりではあったが、俺たちならこんなもんか、とも思ったのだった。


________________________________________


 大陸船が兵庫野津へ寄港する、およそ3日前。

 京都にあり、帝のおわす朝堂院のその前に、ひとりの忍が立っていた。


 昼日中から黒装束。目立っていようが黒装束。本末転倒黒装束。


 その身どころか帯刀を隠すでもなく、忍者はそこにいた。


 門前の兵は、困惑した。


 忍者だ。

 こいつは間違いなく忍者だ。

 しかし忍者ではない。

 だってまったく忍んでいないもの。

 え、なにこいつどうすればいいの。突いていいの。槍で。


「な……何用か」


 それでも何とか絞り出すような声で、門番は問いかけた。


「……暗殺」


「は? なんだって?」


 問い直した言葉に、言葉が返ってくることはなく。

 刃の返答が、門番の男の首を狙った。


「ッ!?」


 男が咄嗟に構えた槍の柄が、刃の進路を塞ぐ。

 頑丈な樫の木材で作られたはずのそれは、しかし所詮、盾ではなく槍であった。

 槍の柄は木が断ち切られる乾いた音と共に、上下に分かたれる。

 のけ反った男の首の肉を、刃の切っ先が抉り取る。


 血飛沫が舞う。

 傷は、すぐさま手当てを施さねば命に関わる深さ。

 しかし、凌いだ。

 忍者はやや驚いた様子を見せながら、抜き打った刀を振り上げて、追撃の構え。


 門番の男は短くなった槍を忍者へ投げつけながら、遮二無二地面を転がった。

 そして忍者が槍を躱す間に、胸元の呼子を口に当てる。


 出血と痛みで、すでに思考の8割を放棄した男を動かすのは、使命感だった。

 ある意味最前に立って、帝を守る門衛としての矜持。


 息を吸いこむ。


「ぎ……っ!」


 そして喉首の激痛に涙を滲ませながら、思い切り息を吹き込んだ。


 大きく甲高い音が、朝堂院の静寂を突き抜けた。


 男はそこで意識を失う。

 忍者は迷った様子を見せながらも、止めを刺す間を惜しみ、そのまま朝堂院の奥、大極殿へと駆け進んだ。


________________________________________


「侵入者!?」


「は、はっ。間違いなく。恐ろしく手練れのようで、すでにかなりの数の兵が深手を受けております……」


 文机に向かって書きものをしていた義海は、報告に耳を疑った。


「ここは朝堂院……それも大極殿だぞ!? どこの馬鹿だ! い、いやそんなことより」


 義海は必死に動揺を押し込める。


「帝は」


「は。本日は朝から体調が優れないと、寝所から一歩も出ておられないようです」


「いつもの怠けか……今回ばかりは助かった……」


 だだっ広い高御座(たかみくら)(玉座)の間にいられるよりは、奥まった寝所にいてくれた方が守りやすい。

 大極殿の構造上、高御座の位置は分かりやすいが、寝所がどこにあるかなど普通はわからないという利点もある。


「ですので、寝室へ続く廊下を兵で固めております」


「ばッ……! それでは帝がどこにいるのか、敵に教えているようなものだろうが!」


「!? も、申し訳ありませんっ!」


「……いや」


 この大極殿で帝がいる場所といえば、簾の向こう側か、私室のどちらかだということは、敵もわかっているはず。

 もし敵が少数であるならば、帝を警護している場所が浮き彫りなってでも、兵で固めることは必ずしも悪手とは言い切れない。


「敵の数は」


「ひ、ひとりです。忍者が1人」


「忍者が1人? わ、わけがわからない……」


 眩暈を覚えて、義海は額に手を当てた。


「……姉上――将軍はどうした」


「所用で外に出ておられるようで……今、使いの者が走っています」


「……そうか」


 義海は心中で舌打ちした。

 征夷大将軍、足利義月さえこの場にいれば。

 義月なら的確な指示を出せるし、そうでなくても彼女自身が侵入者を容易く排除するだろう。


 いないものは仕方がないが、争いごとに明るくない義海でも、状況の悪さを悟らざるを得なかった。


 足利義月を除けば、大極殿の守りはそれ程厚くはない。

 朝廷内の権力争いはともかく、帝その人の命を狙う者などこれまでいなかったからだ。


 帝は象徴。

 帝は偶像。


 君臨すれども統治せず。

 帝はただ、ジパングに存在するだけでいい。

 否。「存在しなければならない」。


 その在り方を民は受け入れている。

 理解せずとも感じているはずだ。ジパングを包み込む、帝の愛を。


 さればこそ、帝を弑逆(しいぎゃく)することに利益はない。不利益しかない。そのはずだった。

 今日、この日この時まで、それが真実のはずだった。


「帝を外へ逃がしますか?」


「駄目だ。本当に敵が1人であるかはわからない。外に待ち伏せを用意している可能性が高い……」


 むしろ常識的に考えて1人であるはずがない、と思ってしまった義海は悪くないだろう。


「帝にこのことは?」


「帝自身にはまだ」


「それでいい。興味本位で出てきかねない。とにかく今は、帝を死守しろ。私も行く」


「はっ!」


 報告の者を見送りながら、義海は立ち上がる。壁に歩み寄ると、部屋の隅に飾られた朱鞘の装飾刀を手に取った。

 刀身を半ばまで鞘から抜き出し、刃の状態を確かめる。

 そして文官にあるまじき眼光を白銀に映しながら、呟いた。


「姉上がいなくとも……。帝は、やらせない」


________________________________________


 そこに居ると踏んでいた高御座に、帝はいなかった。


「っ! いたぞ――ぐわっ!」


 脇の(ふすま)から飛び出してきた守兵を、擦れ違い様に斬りつける。

 浅い、が、止めは刺さずに走り抜ける。

 近くに多数の足音があった。囲まれるのはうまくない。


 いつもの「暗殺」同様、死体の山を――とはいかず、負傷者の山を築きあげながら、服部半蔵は長い廊下を駆け足で進む。


「……」


 黒頭巾の下で表情筋はぴくりともしていないものの、半蔵はやや焦っていた。

 思いのほか抵抗が強く、思うように進めていなかったからだ。

 さすがに大極殿を――帝を守護する精鋭たち。苦戦という程ではないが、服部半蔵をして、手強いと思わしめた。

 数は多くないし、統率もとれていないのだが、個々の技量はそこらの兵とは比べ物にならない。

 門番からして止めを刺せなかったのは、初めてである。

 しかし進むにつれて数が増えていっているところを見ると、目的地――帝の寝所への道順は間違えていないと確信できるのだった。


「……」


 そうして廊下の曲がり角に差し掛かると同時、人の気配に半蔵は刀を突きだした。


刃がぶつかる甲高い音と、痺れるような衝撃。


 肉を貫く感触が腕に伝わることはなく。

 半蔵は刀を弾かれて、腕は上へと伸びきった。


「……」


 半蔵は冷静に刀を手放し、次いで眼前に迫る刃を両掌で挟むように受け止めた。


「白刃取りだと!?」


 しかし相手もさるもの。

 驚きながらも、半蔵の膂力が自らを大きく上回ることを看破したのだろう。

 押し切れないと瞬時に判断を下し、斬ることに固執せず、半蔵の腹を目がけて、鋭い前蹴りを放ってくる。


 その分、刀にかかる力は弱まっていたため、半蔵は刀から手を離しつつ、大きく後ろに跳び下がって躱した。


「本当に忍者……しかも、出来る」


 半蔵はそこで改めて、敵の姿を観察した。


 若い男だ。


 ここに来るまでに遭遇した武者たちとは、どこか毛色が違う。

 服装は武官のそれでもなく、どこか気品と格式を感じさせる。

 男は女と見まがう美顔を怒りや焦りや緊張に歪ませ、汗を滲ませている。それでも、恐怖を感じている様子はなかった。


 武者ではない。おそらく文官。

 だが、強い。

 そして――不退転の意志を感じる。


 弾かれた刀は、天井に突き刺さっていた。


 無手でも1対1なら間違いなく勝てるだろうが、完全に仕留めるには少し時間がかかる。

 その間に他の兵が駆けつければ、やや面倒ではあった。


「……」


「……」


 睨み合いが続く。

 仕掛けてこないところ見ると、時間を稼いでいるのかもしれなかった。

 時間が経つほど半蔵に不利なのだから、むしろそれは男にとっては当然の選択だろう。


 半蔵は息を吸い、止めた。


「シッ!」


 どこからか取り出した苦無を、ほぼ全力で投てきする。


「っ!?」


 力強い風切音と共に飛来するそれを、男はギリギリで半身になり、避ける。

 その瞬間すでに、半蔵は男の間合いに踏み込んでいた。


 男も読んではいただろうが、所詮、武の道を行く者ではなかった。

 男が刀を振り下ろす前に、半蔵は右手を振り上げ、男の手首に下から手刀を打ち込んで止めた。

 同時に半蔵の左手は抜き手を形作り、男の腹部に深く突き入れられている。


「……忍法、肚穿(はらうが)ち」


「ごぶッ!」


 目を見開きながら、男が空気や唾液を吐き散らす。血は出ない。

 男の腹筋は十分に鍛えてあるようで、腹を突き破るには至らなかった。


 しかし、問題はない。息を吸うのも難しい激痛に襲われているはずだ。

 うずくまる男を横目に、半蔵は廊下を駆け抜けた。


「ま……っ!」


 背後からの声に走りながら振り返れば、脂汗にまみれた必死の形相で立ち上がる男。

 壁に手をつき、牛歩ながらも追ってくる。

 無論追いつかれるはずもないが、驚嘆すべき精神力であった。


 それを尻目に、半蔵は大極殿の最奥部、帝の寝室を視界に捉えた。

 その前に控え立つ数人の兵。

 半蔵は数に限りがあるため温存していた苦無を、惜しげもなく放つ。


「……忍法、苦無散華」


 複数の風切音が重なる。

 火に弾ける栗のごとくばら撒かれた苦無は、


「ぐっ!」「がっ!」「ぐあっ!」


 立ち塞がる男たちの手足に、ことごとく突き刺さる。


 今は苦無がなくなることより、後ろの男に追いつかれることが怖かった。


「ごはぁっ!?」


 半蔵は廊下の突き当たりにある(ふすま)を、その前にいた男ごと蹴り破った。


「……」


 ひとつ、大きく息をつく。

 暗殺対象に至るまでに、これほど疲労したことはない。


 奥に広がる部屋の中央に敷かれた、布団。

 人ひとり分の盛り上がりを見せるそれを見て。


「……!?」


 刀を弾かれても表情を変えなかった半蔵が、そこで初めて、驚愕を露わにした。

 数瞬、固まる。


「み、か、ど……!」


 後ろから、先程の男の声が聞こえた。

 半蔵は布団に近づいて、掛布団に手をかける。


「待て……!」


 男の静止を無視して、半蔵は布団を引き剥がした。


「……」


「……は?」


 布団に寝かされた巨大な藁人形には半紙が貼られており、意外と達筆な筆文字が描かれている。



『義月と船を見にいってきます 帝』



 丁寧なことに、文末には帝の公印である御璽(ぎょじ)が押印されていた。


「……」


「……」


 半蔵も、義海でさえも、しばしの間言葉もなかった。


 半蔵は手に掴んでいた掛布団を、ばさりと畳に落とす。

 そうして、とても、とても悲しげに呟いた。


「…………暗殺……失敗……」


 肩を落としながら、服部半蔵は大極殿を脱出した。


 足利義海はがっくりと膝をつきながら、帝の奔放な気質に初めて感謝を捧げたのであった。


________________________________________


 兵庫野津。

 大陸船を眺める群衆のざわめきの中に、無邪気な笑い声が混ざり込んだ。


「きゃはははは! 刺さった! 棒が頭に刺さった!」


「あっはっは! すごいなー! 舶来人はやっぱり違うな!」


 場違いに華美な藍染めの着物を身に纏う、幼い娘。

 そんな幼子を肩に乗せ、これまた場違いな武者装束を全身に(よろ)った、歳若い美貌の女武士。


 とても目立つ2人組であったが、それ以上に珍しい舶来人がいるこの場では、あまり注目されずにいたのであった。


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