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どらごん・ぐるーむ  作者: 雪見 夜昼
<海流の章>
52/81

第49話 港湾都市ポスクェ

 港湾都市ポスクェ。


 ミッドガルド大陸の南南西、人間の領地に位置する、一大貿易都市である。

 港を発する大型、小型の帆船たちは、世界中へと荷物を運び、持ち帰る。


 物資の出入りは、ポスクェを大いに発展させた。

 昔は小さな漁村だったそうだが、今はミッドガルド屈指の大都市だ。


 またかつての名残か、漁業も未だ盛んであり、漁を生業とする人間や獣人も多く住み着いている。


 そして貿易は、合法的なものだけでなく、非合法的なものにも手が伸ばされる。

 いわゆる、密輸である。


 人間の国は勿論、ドラッケンレイやチコメコ・アトル大森林、そして一部の離島。果ては魔国やジパングとまで交易されているというのだから、呆れるべきか、感心するべきか。


 しかしそうした犯罪臭が漂うのは、もっぱら、裏町と呼ばれるポスクェの東側だけであり。

 俺たちが今いる「表」のポスクェでは、健全な商売がほとんどである。


 カラン、カラン。


 開閉に伴って、扉に吊るされたベルが鳴る。


 カウンターと、手前の空間に置かれた大小のテーブルたち。

 武装した多様な人種と、俺たちに突き刺さる好奇の視線。


 冒険者ギルド。

 ここの空気はどこでも変わらない。

 ……と思ったのだが。


「……?」


(ありゃあ、馬鹿か? それとも本物か?)


(偶然、同じ色なのかもしれねぇぞ)


(いや、役者だろう)


(ああ……。でも役者がギルドに来るか?)


 ヒソヒソ。


 何人かが俺たち……というか、俺をチラチラと見て、何やらこそこそ話している。


 竜人っぽい髪色らしい俺とかナツメ、明らかに白竜人であるニナがじろじろ見られるのはよくあることだが、何かいつもと反応が違うような。


「では、拙者が話を聞いてくる」


 ナツメは、注目されるのはいつものこと、と思っているのか、特に気にする素振りを見せない。

 他の面子も同様だ。


 うーん? 気にしすぎか?


「わらわも行くぞ」


「じゃ、たまにはみんなで並ぶか」


「はい」


 そうして俺たちがカウンターに向かうと、


 ザザザザ!


 波が引くように、並んでいた人たちが道を空けた。


「!?」「ええっ!?」「うおっ」「なんじゃ?」


 驚いて俺たちも若干引いてしまう。


 …………。


 注目されている。


「よ、よくわからんが、目的を果たそう」


 果敢にもカウンターに近づくナツメに、俺たちも続く。


「いらっしゃいませ」


 いつも通り事務的な笑顔で迎えてくれる受付嬢も、何やら笑みが固いような気がする。


「ジパングに船を出すような依頼はないだろうか」


「ジパングに関する依頼には、Bランクの情報規制がかかっております」


「情報規制とはなんじゃ?」


「規定ランク以上の冒険者にしか、情報を公開しないという事だ」


 言いながら、ナツメはAランク冒険者証を取り出した。


「Aランク冒険者のナツメ・ヒイラギ様ですね。確認いたしました。奥のお部屋へお願いいたします。お連れの方もどうぞ」


 ザワッ!


(ミッドガルドに40人くらいしかいないっていう、Aランカーだぜ)


(Aランカーと組んでるってことは……まさか本物?)


 ひそひそ。ひそり。


「……何なんだ、一体」


 背後の喧騒を気にしながらも、俺たちは受付嬢の後について、奥の部屋へと入室した。


________________________________________


「ご足労いただいたのに申し訳ありませんが、現在ジパングに船を出すような依頼は、ギルドに依頼されておりません」


「え? じゃあどうして奥に来たんですか?」


「そういう依頼が今はない、という情報すら、Bランク未満には聞かせないようにしてるんだろ。連れは例外として」


「おっしゃる通りでございます」


「なるほどのう……」


「そうか。残念だが、ならばもうここに用はないな」


「だな」


「……あの」


 踵を返した俺たちを、受付嬢が控えめに呼び止めた。


「何か?」


 ナツメが促すと、受付嬢は一瞬躊躇ったあと、俺に向き直る。

 え? 俺?


「参ったな。初対面の女性すら虜にしてしまうとは……。フッ……自分のハンサムが恐ろしい」


「「「……」」」


「いや、冗談だから……」


 みんなに冷たい目で見られた。


「失礼ですが、貴方の冒険者証を拝見しても?」


「? ああ、別にいいけど」


 俺は冒険者証を差し出した。

 以前、中立の町ラトーニュで受けた、怪盗シュピーゲルことマルティナ率いる盗賊団を捕らえたことで、DランクからCランクに上がっている。


 受け取った冒険者証を見て、受付嬢は数秒間固まる。


「ありがとうございました」


 そして何事もなかったかのように、事務的な笑顔でそれを返却した。


「えーっと、俺の冒険者証が、何か?」


「いえいえ。何でもありませんよ? では私はこれで」


 スタスタスタスタ、ガチャバタン。


 それだけ言うと、受付嬢は足早にさらに奥の部屋へと消えてしまった。


「……何なの」


________________________________________


 疑問符を浮かべながら、冒険者ギルド、ポスクェ支部から出た俺たちは、主に人間と獣人で賑わう街路をとぼとぼと歩き出した。

 全面的に石畳が敷き詰めてあり、歩きやすい。

 近くの市場から潮風にのってくる、鮮魚の生臭さが鼻をついた。


「やはり、そう都合よくジパング行きの船はないか」


 気を取り直して、といった様子でナツメが切り出す。


「ふむ……。残るは密輸業者か……あるいは、海賊、じゃな」


「うう……できればどちらも、お近づきになりたくはないですね」


「ま、しゃーないだろ。他に選択肢ないんだし」


 ちなみに。

 ナツメがこちらに来る時は、密輸船に密航したらしい。

 ジパング、ミッドガルド間の長い航路の間、ずーっと真っ暗な船倉に身を潜めて、酷い揺れに耐え続けるのは、想像を絶する苦痛である、とのこと。


 「精神修行にはなったがな……」とまで言われては、ちょっと腰が引けてしまう。


 だからって海賊という選択肢もどうなんだ、というわけで。


「方針としては、密輸業者と交渉して、合意の上で乗せてもらう、ってところか」


「そうなるだろう」


「海賊にも、会ってみたいのじゃが!」


「えっ……。やや、やめましょうよ……」


「心配性じゃのう。リュースケがいるんだから大丈夫じゃ」


「そうかもしれませんが……」


 どちらにせよ、まずは接触しなければ話にならない。

 しかし相手は慎重に選別すべきだ。

 情報を集めるために、俺たちは街へ繰り出した。


________________________________________


 ところ変わって、ここは冒険者ギルドのポスクェ支部。

 ギルドマスターの執務室で、受付担当の女性が報告を入れていた。

 ギルドマスター、ポスクェ支部長のサンチョは、椅子に座ったままそれを聞いている。


「――はい。間違いありません。冒険者証を確認いたしました」


「そうか。ご苦労。本部へは私から伝えておく」


「お願いいたします」


 鷹揚に頷くギルドマスターの中年男性に対し、受付嬢は頭を下げて退室した。


 それを確認すると、ギルドマスターは紐を通して首にかけている、小さな鍵を手に取った。

 目前の机の、鍵のかかった引き出しを開ける。

 そうしてピンク色の、宝石にも見えるマジックアイテムを取り出して、おもむろに起動した。


 宝石が発光し、起動状態を伝える。

 そのまま10秒ほど待っただろうか。


 物言わぬはずの宝石から、年配の男性の声が発せられる。


『副本部長のトムだ』


「ポスクェ支部長のサンチョです。緊急のご報告があります」


『……「また」、例の男が見つかったか』


「はい」


『今度は偽者じゃないだろうな』


「受付嬢が冒険者証にて名前を確認いたしました。リュースケ・ホウリューイン氏で間違いないかと」


『そうか。よくやった。依頼主には俺から伝える。その受付嬢は昇給してやれよ』


「はい。後をつけさせますか?」


『やめておけ。罪人じゃないんだ。そこまでやれとは依頼にないしな。それに彼が「そう」だとしたら、気取られずに尾行できる者が今、そこにいるか?』


「……やはり、彼が?」


『活劇「黒金の英雄」の流行と同時に、この依頼。勘繰るなという方が無理な話だ。依頼人が依頼人だしな』


「そうだとすれば……つけるのは無理、でしょうね……」


『ならばせいぜい、町の噂を拾うくらいにしておけ。幸い依頼主は今、遊興都市ジャレップにいる。2日もあればそちらに着くだろう』


「? ジャレップからならば、4日はかかるのでは?」


『陸路なら、そうだろう』


「ああ……なるほど。了解しました」


『ではな』


 宝石が光を失った。


 ポスクェ支部長サンチョは嘆息する。


「(冒険者ギルドそのものが依頼を受けるとは……。例外中の例外だな。まあ依頼主がSランカーな上に、政治的にもVIPでは仕方ないか)」


 サンチョは立ち上がり、町の噂を集めるべく部下を呼び出した。


________________________________________


 ポスクェで最も賑わう大通り。

 石造りの立派な店舗が軒を連ねる。

 石畳に直接布を敷いて、商品を並べる露店も多い。

 中でも観光客の目につくのは、世界各国の土産ものだろう。


 まあ今回、俺たちの目的はそこにはないのだが。


「さて、まずは……」


 呟いて、ナツメがきょろきょろと辺りを見渡す。

 あても何もないので、とりあえず適当な地元民をつかまえて、話を聞こうということに。

 確実に地元民なのは、立ち並ぶ店舗の店員か。


「にしても……どうなってんだこりゃ」


「さすがにちょっと、変ですよね?」


「うむ……ギルドの受付嬢の対応も不自然だったしのう」


「確かに、拙者らに向けられるいつもの視線とは、毛色が違うな」


 俺たちは今、通りの端に目立たないよう佇んでいるのだが。

 通る人通る人、ことごとくがこちらを振り返る。

 チラ見の人もいるし、驚愕をあらわに凝視する人もいる。


「見られてるの、俺、だよなあ」


「だとするならば、理由はやはり……」


「ハンサムだからじゃろ?」


「俺が悪かったからそのネタ引っ張るのは勘弁してくれませんかねぇ!」


「ハンサムはともかく……例の件が、噂になってしまっているんでしょうか?」


「ん? ………………おお! そうか! ヴァルガむぐ!」


 ニナの口を塞ぐ。


 そう、あるとするならば。

 魔導要塞ヴァルガノスで、力将ガルデニシアを倒したことが噂になっているという可能性。


「うーん。あまり目立つのは――」


「ねえねえー、あれってさー」

「え? え!? 嘘? 本物!?」

「まさか、役者でしょ? 顔的に」

「本物は多分筋骨隆々の大男だろうしね。強さ的に」


 街の若い娘が何人か固まって、俺のほうを見ていた。

 そちらに視線を送ると、


「あっ。こっち見たわよ」

「手でも振ってみる?」


 恐るおそる手を振ってきたので、にこやかに振り返すと、娘たちは「きゃー」と黄色い悲鳴を上げた。


「……目立つのも、悪くはないな!」


「コラコラ」


「すごくいい笑顔ですね……」


「むむ」


 ぎゅむ。


「ひててててて!」


 頬を膨らませたニナが、俺の頬を思いっきりつねる。

 つねる、などというと可愛らしい表現だが、竜人の力なので頬がもげそうな痛みである。


 そんな俺たちを見てクスクスと笑う町娘たちに、話を聞いてみることにした。


「えー? ジパングですかー?」

「じぱんぐって何だっけ?」

「超マイナーな島国でしょ?」

「え? 国だったの? 単なる離島じゃないんだ」


 ジパングの知名度は、ここポスクェですらそう高くはないようだ。


「超マイナー……」


 がっくりと肩を落とすナツメと、それを慰めるラティを尻目に、会話を続ける。


「んー。船ですかぁ? あたしたちは知りませんけどー」

「そういうことなら、情報屋に聞いたら?」


「ほう。情報屋。紹介してもらえるのだろうか」


「え? 紹介とかいりませんよー」

「そういうお店だしね?」

「ねー?」

「ほら、あそこ」


 町娘の1人が指差した方向に視線を向けると、でかでかと看板を掲げたド派手な色彩の建物が目に入った。


『ルイス=ミゲルの明るく楽しい情報屋。噂の人気店から、裏町のすっごい秘密まで! 相談無料! 情報高価買取!』


「え、えー……」


「おお。楽しげな情報屋じゃのう」


「ふむ。少々風変わりではあるな」


「いや、風変わりってレベルじゃないだろ」


 それでいいのか、情報屋。


________________________________________


 情報屋の中は外観と違い、カウンターがひとつあるだけのシンプルな造りだった。

 まあ機能的に考えて、それ以外は必要ないんだが……。


「いらっしゃいませ! ようこそルイス=ミゲルの明るく楽しい情報屋へ!」


 入店と同時、底抜けに明るい声が俺たちを出迎える。

 まだ年若い青年が、細い目をさらに細めつつ、カウンターの向こうで満面の営業スマイルを浮かべていた。


「私が店長のルイス=ミゲ――」


 不自然に言葉が途切れ、ルイス=ミゲルだと思われる男が、細い目を僅かに見開き、鋭い眼光で俺を見つめる。


「……」


「……」


 睨みあうこと、ほんの数秒。


「……私が店長のルイス=ミゲルでございます! 本日はどういった情報をご所望でしょうか?」


「まず今の間は何なのか教えてほしいんだが……」


「はい! その情報でしたら銅貨5枚を頂戴いたします!」


「金とんのかよ! でもド安!」


 500円くらいである。


「では頼むのじゃ」


 ニナが銀貨を1枚差し出す。

 ルイス=ミゲルはすぐさまおつりの銅貨5枚を、カウンターの下から取り出した。


「毎度ありがとうございます! 私が驚いたのは、貴方様が噂の『黒金の英雄』と同じ髪色、瞳の色だったからでございます」


「「「「黒金の英雄?」」」」


「はい! 黒金の英雄については銅貨3枚で――」


「とっとけ馬鹿野郎」


 銀貨を数枚カウンターにばら撒いて、店長からいろいろと話を聞いた。


 いわく、『黒金の英雄』は今流行している演劇の演目で。

 その元ネタは、魔導要塞ヴァルガノスを1人で陥落させたという噂の人物にあり。

 その人物は、黒髪金眼の……『黒金の男』であるという。


「演劇……」


 俺は頭を抱えた。


「なるほど。それでこの注目のされ方か」


「一躍、有名人ですね……」


「さすがリュースケじゃな!」


 無邪気に喜べるニナが羨ましい。


「まあそれはいいや。今更どうしようもないし……。本題に入ろうか」


 ジパングについて、話を切り出した。


「ほほう。ジパングでございますか」


「心当たりはあるだろうか」


「勿論でございます! ルイス=ミゲルの情報屋は、正確で綿密な嘘偽りない情報の宝庫でございますからして!」


 そこまで強調されると逆に疑わしい上に鬱陶しい。


「ジパングに渡るのでしたら、ロサ・マリア・デ・ロス・アンヘレス海賊団にお願いするのが、一番安全確実かと」


「ろさまり……え、何ですか?」


「ロサ・マリア・デ・ロス・アンヘレス海賊団でございます」


「ロサ・マリア……。どこかで聞いたような……」


 思い当たることがあるのか、ナツメは顎に手を当てた。


「はい! ロサ・マリア様についての情報は銀貨――」


「……世界に5人しかおらぬ、Sランクの冒険者のひとりじゃ」


 ルイス=ミゲルを遮って、ニナが複雑な顔で答えを告げた。


「……! ロサ・マリア……! 『薔薇色の』ロサ・マリアか!」


 ナツメが好戦的な笑みを浮かべる。


「あっ。私も、聞いたことがあります!」


「また、大物が出てきたものじゃな……」


 え、誰?


「そうか。ニナ殿なら面識があってもおかしくはないな」


「まあ、の。しかし海賊をしているとは初耳じゃが」


 ニナに関係するのなら、ドラッケンレイの関係者か?

 まあこの場でする話ではない。


「海賊団と名乗ってはおられますが、その実、略奪行為は行っていないようでございます。……ほとんど」


 ギルドからの正式な依頼で、船を出すこともあるという。

 密輸は頻繁に行っているが、危険なモノを運んでいるわけではないので、国やギルドも黙認しているのだとか。


「……何で『薔薇色の』?」


「はい! その情報なら――」


「知っておるから金は払わぬぞ。ロサ・マリアは凄腕の剣士なのじゃが……」


「えっと、確か血を見るのが大好きで……」


「うむ。自らが斬った相手の返り血を浴びて、真っ赤に……薔薇色に染まったその姿から『薔薇色の』と呼ばれているらしい」


「なんで『赤色の』じゃないんだ?」


「彼女がとても美しい女性だから、薔薇と称されたと聞くが」


「よし! ロサ・マリア・デ・ロス・アンヘレス海賊団と交渉しよう!」


「……」


「……」


「まあよいが……何か引っかかるのう……」


 女性陣にジト目で睨まれる。


 ルイス=ミゲルに料金を支払って、俺たちはロサ・マリア(以下略)海賊団の縄張りがある、『裏町』へとその足を向けた。


________________________________________


 ガチャ。


 リュースケたちが退出したしばらく後。

 情報屋のカウンターの奥、おそらくルイス=ミゲルが普段生活している部屋へと続く扉が開く。


 現れたのは、真紅の長髪をなびかせる美しい女性。

 女性といっても、年齢はまだ20歳には至らないだろう。

 赤い髪とオレンジの瞳は、彼女が赤竜人であることを示している。

 軽皮鎧を纏い、腰に片手剣を吊り下げている様子から、冒険者かそれに類する存在だと思われる。

 ただし装飾過多にも見える煌びやかな片手剣は、一介の冒険者が持てるほど安い代物ではない。


「誘導ご苦労様、ルイス=ミゲル。でも、情報屋の仕事じゃなかったわね」


「いえいえ。ロサ・マリア様はお得意様でございますからして。このくらいはサービスでございます」


「そ。アリガト。じゃ、ワタシは後を追うから。ふふ、楽しみね」


 ピーン。


 ロサ・マリアと呼ばれた女性は、楽しげに笑いながら金貨を1枚指で弾く。

 ルイス=ミゲルが眼前に飛来したそれを片手で掴んだとき、すでに彼女の姿は消えていた。


「毎度、ありがとうございます」


 ルイス=ミゲルは、自分だけしかいない空間で、お決まりの文句を呟いた。


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