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鑑定の儀式なんてかったるい。

カール伯爵家。

 広大な農地と豊かな自然に囲まれたクリオネア大陸の最南端に位置する領地だ。

 気候は年中穏やかで、作物も良く育つ恵まれた土地。

 領主である、カール・ダリスは領民からも評判の良い領主だ。

 僕、カール・クリスはそんな伯爵家の三男坊として生を受けた。


 赤子だった僕は、すくすくと成長し五歳となった。

 五歳になると、洗礼の儀を受ける。

 鑑定士を、国から呼び寄せ子供の素質をみるのだ。

 鑑定の書と言われる魔法具マジックアイテム

 これを使用して、能力を計る。

 洗礼の儀は、大々的に行われる儀式だ。

 親族、親しい貴族を呼び。伯爵家の大広間で行われる。


「それでは、洗礼の儀を執り行います。クリス様、こちらへどうぞ。」

 大広間に設置された鑑定の書の前に立たされる。

「では、右手をこちらに置いてください。」

 鑑定士の言われるまま、鑑定の書に手をのせる。

 青白いマナの光が本を包み、光はゆっくりと消えていく。

「うむ、よいでしょう。お手を外されてください。」

 手を外すと、鑑定の書には文字が刻まれる。

「ほぅ、どれどれ拝見致します。」

 鑑定士は顔をしかめる。文字を口にする。

「なっなんと!?残念ながらクリス様はマナに適正がございません……」

 俯きながら、父ダリスに鑑定の書を手渡す。

「ばっバカな!?そんなはずがあるか!我が息子だぞ!」

 父は、鑑定の書を受け取り唖然とする。

「まっまさか……カール家にマナを扱えぬもの(ノーレスト)が生まれるとはッ!」

 父は、鑑定の書を投げ捨てる。

 母は涙を浮かべる。親族、来賓の貴族たち騒めき立つ。

「ノーレストですって……可哀そうに」

「あぁ、だが三男坊で良かったな……」

 哀れみの声が大広間を包む。母は、僕を抱き泣き続ける。

「あぁ、クリスよ。大丈夫よ。それでもマナを扱えぬもの(ノーレスト)でも私の息子に変わりはありませんから……。」


 マナを扱えぬものはノーレストと呼ばれる。

 この世界では、マナを扱えないものは差別の対象なのだ。


「母上、大丈夫です。僕には剣がありますから……。」

 僕は、母の涙を拭う。


(上手くいった……。どうやら上手く誤魔化せたぞ!)

 マナを操作できないのは、嘘だ。

 僕は、ここにいる誰よりもマナを操作する素質を持っている。

 だが、《《あえて》》無能を装う必要があった。

 僕には目標がある。

 勇者と魔王を超えること―――。

 勇者が魔王を討伐して平和な世のになった今。

 僕は、再び現れるであろう勇者と魔王を心待ちにしているのだ。

 そのためには、《《自由な身》》が必要なのだ。

 貴族社会に生まれたがゆえに縛られる事を危惧した僕は、あえて無能であることを選んだ。

 三男坊だからと言って油断はできない。優秀な人材であることが分かったら長男でなくても

 家督を譲られる事だってありえる。


「母上、僕は剣を磨き冒険者になりたいと思います」

「あぁ、そうね。そうよね。クリスはなんて強い子なのかしら……」

 母は僕を強く抱きしめる。


 ◇


 洗礼の儀を終え、僕は自室に戻ろうとする。

 三つ上の兄、次兄のデントが僕の部屋の前に立ちふさがり話しかけてくる。

「まさか、俺の弟が無能だとはなッ……今後はお前の事を弟とは思わん」

「そうですか……残念です」

「ちっ、生意気なやつめッ!!!」

 兄は、僕の頬を平手打ちする。

「はぁ~面倒だ……。それで気が済みましたか?」

 打たれ赤くなった右の頬を擦りながら僕は言う。

「本当に、生意気だな……もう一発食らわしてやる!!」

 そう言って手を振り上げる。

「やめろッデント!!!」

 その手を掴み止めに入るもう一人の兄。長兄のマルスだ。

「こいつは私が叱っておくから、クリスは部屋に戻りなさい」

「兄上!離してくれッ!くそっくそがぁ――!」

 デント兄さんはマルス兄さんに腕を掴まれたまま暴れる。

 それを微動だにせず、受け止めるマルス兄さん。

「これ以上、醜態をさらすなら覚悟しておけデント!」

 一喝された、デント兄さんは諦めたように項垂れる。

 兄が止めに入ってくれたおかげで事なきを得た僕は自室に入りそのまま、ベットに横になる。


(―――ステータス)


 仰向けになりながらそう念じると、目の前にステータスが表示される。

 さながら、ゲームのステータス画面。

 現代のホログラムが進化したらきっとこうなるのだろうな。

 と僕は思いながら自分のステータスを確認する。


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 名前:カール・クリス 5歳 レベル:10

 カール伯爵家の三男。転生者。


 タレント:言語理解、マナの操作、マナの蓄積∞、鑑定眼


 スキル:筋力上昇『超』、隠蔽、遮断

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 隠蔽というスキル使い。僕は自身の力を誤魔化した。

鑑定の書で映し出されていたのはタレントもスキルも転生者と言う事も

 隠蔽された状態。誰が見ても能力がまったくない無能と思うだろう。



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