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ダンジョン入場、足元注意

 それからしばらくしてもらったネームプレートは首からかけるタイプの物だったので、チセの分は僕が首周りの長さに合わせて調整して。全員に行き渡らせた。チセはあれからヘルメット以外にも小瓶とつるはしを持って行こうとしたが、つるはしはダラスが持つことになった。ちなみに包帯があったので教えてあげたが、衛生の問題に不安が残るということで拒否された。流石は医者だ。


「それじゃあ、行こうか」


「おう」


「はい」


「頑張ります」


「それでは行ってらっしゃいませ」


 僕らはダンジョンの入り口をくぐった。


 中に入ってしばらく歩いたが、ここはまだ浅瀬なのでKなり人の手が入っており、それほど明かりを必要としないし、時折人と合う。だがそれを差し置いても、地上にいる間は絶対に観ないような、岩肌の道や、時折現れる。様々な色に光る鉱石を目の端に入れながら僕らは進んでいった。


「しかし、思ったよりも平和だね」


「そうですね。今のところ怪しい気配はしません。それよりもご主人様この辺りは足元に気を付けてくださいね。転んだりしたら大変ですので」


「前にもこういうところに来たことがあるから、大丈夫だよ」


「そうだったんですね、なら心配ありませんね」


 ついつい気が緩んでしまい会話が弾んでしまう。だが今のところはあっちの世界にもところどころにある、観光用に整備された洞窟とあまり大きな差はないような気がする。


「あ、やばい」


 そんなことを思っているつかの間の油断が仇になり、僕は地面から突き出ていた。小さな岩の塊に躓いて体制を崩してしまった。何とか逆の足を前に出す子が出来ればと思ってたが、転生した時に強化された神経がそれが出来ないことを告げていた。このままでは転んでしまう。僕は目を瞑った。


「危ない」


 誰かの声が響く、それと同時に僕の体は地面に激突するが、想像してたよりも痛みはなかった。


「大丈夫ですかご主人様」


 ゆっくりと目を開けると、僕の代わりにウーが地面に横たわっていた。


「まったく、言った傍からこれなんですから。しっかり足元を確認して進んでくださいね」


「はい、ありがとうございます」


「礼には及びません」


 頭が少し冷静になったことでようやく状況が読めてきた。どうやら僕は地面に激突するに前にウーに抱き留められたようだ。しかしウーの僕も体を支え切ることが出来ず。そのまま倒れこんでしまっていた。


「おい、商人何どさくさにに紛れて押し倒してんだ」


「押し倒してないよ」


「その体制で言われてもな~」


 確かに第三者から見れば、僕がウーを押し倒していると思えるような姿勢になっている、僕の頭を守るために、ウーが手を回してくれているのが逆に洞窟内でいちゃついているようにも見えなくはない。ってなにを考えているんだ。ウーは大切な仲間で決してそんなよこしまな気持ちを抱いていいい相手ではないのに


「その、ご主人様そのままだと立てないので、一度離れていただけると助かるのですが」


「ああ、ごめんすぐにどくよ」


 僕は慌てて立ち上がり、そして彼女から目を反らした。僕の視界の外でウーがズボンに着いた細かな砂をはらっている音がする。その時僕の背後からダラスが現れなぜか肩を組み顔を耳元に寄せてきた。


「おいおい、お前さ~そこはあれだぜ、怪我してないかって言ってほっぺ触ったり、頭打った~って言ってキスするとかそう言う場面だぜ」


「いや、絶対違うでしょ。まあ確かに怪我がないかどうかは大事なだけどさ」


「分かってんなら何んでいかなかった」


「だから、それとこれとは・・・」


 そこまでいった時、僕とダラスの顔の間に鋼色の鉄の槍が現れた


「そうですよ、ダラスご主人様に余計な事を吹き込むのはやめてください」


「でもよ、お前も実際ちょっと残念だと思ってるんじゃねぇのか」


「ご主人様、今日の晩御飯は牛肉のステーキにいたしましょう」


「おい、それ冗談だよな」


「それはあなた次第ですよ。ダラス」


「とにかく、危ないところを助けてくれてありがとう」


「どういたしまして」


 こんな感じで明るく笑っていれば、とてもかわいいんだけど。怒ったら誰も彼女には逆らえないんだろうなとこの時震えあがりながらも感じ取った。


「あの、そろそろ探索を再開しませんか?」


「そ、そうだね」


 チセが会話に入ってくれたおかげで何とか空気をリセットすることが出来た僕らは一度それぞれ汚れを取ったり、武器をしまったりと準備を整えて再び歩きだした


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