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賊という類の者たちとの出会い

「なるほどな、まあ見てみる価値はあるだろうな」


 ダラス達を引き連れて、補助道具置き場を見に行く。そこにも又多くの冒険者が集まっているが、その中でもひときわ体格がいいダラスはよく目立った。その証拠に多くの冒険者たちは彼女を見るや否や道を開けてくれた、何だか脅しているみたいで申し訳なく思う。


「へ~思ったよりもいろいろあるんだな」


 こうして中身を見てみると、非常食やつるはしなどの道具に加えて効果があるのか分からないへんなお守りなんかもあった。なんと言うかフリマの会場に迷い込んだみたいだ。


「商人様、これは?」


 チセが何か見つけたようなので、見に行ってみると、彼女は工事現場などで使うような黄色の作業用のヘルメットを持っていた。ご丁寧にも安全第一の文字まで書いてあった。


「へ~こんなものまであるんだ~」


「おそらくこれは帽子のように見えますが」


「その通りかぶってごらん」


 チセは僕の言う通りヘルメットをかぶる。僕は彼女の顔の輪郭に合わせゴムを止めて揚げる。


「うん、サイズも合ってるみたいだね」


「かぶったのはいいのですが、どういったものなのですか」


「まあ、正直にいうと頭を守るための帽子だからね。とにかく硬いんだ」


 僕はチセのヘルメットを軽く裏拳で叩いてみる。コンコンと軽やかな音が鳴るがチセは顔色一つ変えていない。どうやらしっかりとダメージを遮断してくれているようだ。


「あの、商人様、この真ん中のガラスは何でしょうか?」


「ああ、これはね」


 僕は軽くガラスの周辺を見てみると、ギリギリチセの手が届きそうなあたりにスイッチを見つけた。それを押してみると、僕の予想通りヘルメットの正面に取り付けられたライトが光を放つ

「なるほど! そう言う仕掛けなのですね」


 僕がやった通りにチセもスイッチのオンオフを切り替えて楽しんでいた。


「なんだ兄ちゃんやけに物知りだな」


 僕らの背後から、腰の曲がった二人組の男が現れて声をかけてきた。身に着けている装備から町人や係の人いうわけではなく、僕らと同じ冒険者だと思われる。だがそれを差し置いても怪しさが全身からにじみ出ている。


「たまたまですよ」


「でもよ見てたぜ、今日初めてダンジョンに挑むんだろ」


「ええ、そうなんですよ」


「なら、俺たちと一緒に行かねぇか。流石に最深部までは連れて行ってあげられねぇか、一応ある程度の情報ならあるからよ、もし何か成果が上がったらもちろん山分けで。どうよ悪い話じゃないだろう」


 なるほど、確かに悪い話ではないが、なんかこの人たちからは怪しさしか感じない。でも情報は欲しい果たしてどうしたものか


「止めとけ、商人」


 悩んでいる僕にダラスがこっそりと耳打ちをする。


「どういうこと?」


「お前、見て分かんねぇのか。あいつらどう見ても賊の類いだろうが」


「うん、ごめんもっと詳しく説明してくれると助かる」


「は~。お前はよー」


 ダラスは僕の前に出ると、怪しい男二人組をにらみつける。


「はっきり言うぞ、お前らのような雑魚の腕なんか必要ねぇんだよ」


「何だとビギナーが偉そうに」


「偉そうに、何だ最後まで言ってみろよ」


 ダラスに圧に男たちはじりじりとあとずさりしていく。それに合わせてダラスは一歩また一歩と歩みを進める。そしてそんな状況がいつまでも続くはずはなく、男たちは逃げていった。


「くそっ、覚えてやがれ」


「けっ、仕掛けて来いよつまんねえな」


「いや、平和で終わったんだからいいんだよ。それとありがとう」


「全く、あんなのわっかりやすいのにいちいちつられんなよ。あんなのにいちいちかまってちゃあ、ダンジョンに入る前に夜になるぞ」


「そうかもね」


「それに腕っぷしならあたしで物足りるし、索敵ならおまえんところの色ボケ狼で十分だろ。それなのに、あんな雑魚に何求めんだ。むしろ後ろの医者に危険が及ぶだろ。分かったか? 商人」


「うん、なるほどね」


「待ちなさい、色ボケ狼とは誰のことですか」


「いや、どう考えてもお前だろ」


「なるほど、分かりました。ダラス、あなたは今日夕飯抜きです」


「おい、ふざけんなよ」


 ダラスはそう言ってウーに突っかかる。どうやらにぎやかなダンジョン攻略になりそうだ。


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