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依頼完了と待ち望んだ展開

翌朝、僕らは馬車を使って、ヌシの遺体を町の入り口まで運んだ。そしてその足で受付嬢を呼びに行き、それを受け取ってもらった。受付嬢は大変驚きいろいろと説明を求められた。


「いったいどうやってこれを仕留めたのですか、だってこれのために一体どれだけの人が失敗したと思っているのですか」


 なぜだが少し怒っているような口調で問われたのだが、言動とは違って表情の方はずっと興奮しっぱなしである。


「いや、たまたま山について詳しいものがいたので。それで罠なんかを仕掛けて」


 正直後ろに控えている、ヌシの大きさを鑑みると苦しい言い訳なのかもしれないが、それでも興奮して頭が回らなくなった受付嬢には当たり前のように受け止めてもらえた。


「あの一応お聞きするんですけど。あまりに狂暴だったので、生け捕りにできなかったのですが、よかったんですか?」


「ええ、依頼主様も半ば生け捕りは諦めていらっしゃったので。たとえ死んでいても契約通りの額をお支払いいたします」


 町の中から鎧を着込んだ騎士が何人も出てきて、僕らが仕留めたヌシに縄をかける。そして号令と共に町の中へと引っ張っていった。一体どれほどの距離をああして進むのか分からないが、それでもただ大変そうだなと言うことは僕にも理解できた。


「彼らはギルドお抱えての兵士なのですか?」


「いえ、彼らは正確にはこの町の騎士団に所属する騎士団ですが、こういう力仕事の時や。あまり大きな声では言えませんが、もし荒事が起こった時には彼らの力を借りることもあるんですよ」


「そうなんですか、でもこの町は平和そうですけどね」


「まあ、荒事なんてめったに起こりませんけどね」


 なんて雑談を書類手続きをこなしながら二人でしていると、受付嬢の後ろから誰かがやってくるのが見えた。


「やあ、雑談中失礼するよ」


 恰幅の良いその男性は、優雅にタバコをふかしながら僕らの会話に割って入った。第一印象的にかなり偉そうで、あまりかんじが良い人ではなさそうだ。


「君があれを仕留めた奴隷商人ですかな」


「はい」


「私はそこのギルドの長をしている物でね、君の話は部下たち聞いているよ。かなり優秀だが体の弱い奴隷を多くお持ちだとか。それでよくこの獣が仕留められましたな」


 予想通りの感じの悪さを披露してくれたおかげで逆に嫌な気分にならなかった。でも正直この人は嫌いだ。でもこいつがギルドの長なら本当にこれは大きなチャンスだ。


「先ほども説明しましたが、山に詳しいものがいまして」


「ほお、あなたは獣を狩るために獣の知恵を借りたと、なんとまあ愉快な話ですな~」


「金欠なもので、なりふり構っていられなくて」


「それは大変ですな。よろしければ私が奴隷を使った効率の良い稼ぎ方をお教えいたしましょうか」


 ぶちゃけ金欠なのは本当なので興味を惹かれる話ではあるが、話を切り出したのがこの男なので絶対にろくなものではないため、聞いてみるだけ損な気がする。


「それはとても興味深いお話ですが、今回いただいた報酬である程度金銭問題は解決しそうなので大丈夫です。お気遣いありがとうございます」


「それならば、よかった。では別の話をしましょう」


「別の話とは」


「以前に説明を受けられた通り、等会はあなた様のような奴隷商人のために。独自のルートで調達した奴隷を販売しているのですよ~。あなた様には特別な才能があるようだ。ですので特別に当会の秘密の施設へとご案内いたしたいと思いますが、いかがですかな」


 これはまさに待ち望んだ展開だ。まさかこうも簡単に秘密の場所に入れるとは思ってもみなかった。なので僕は二つ返事で受け入れた。しかしこれはよくよく考えるとリスク大木なリスクが伴うことだった。なので僕は一度会話を止め、馬車へと戻る


「商人様お話は終わったのですか?」


「いいや、まだだけど用事ができた。皆を連れて、先に帰ってて」


 馬車の中から少しだけ顔を出した。チセにもらった報奨金を渡すとすぐにここから馬車を出すよう指示しておいた。チセは何も疑うことなく、手綱を握るウーにその旨伝える。


 僕の指示を受けて、ウーは馬車を走らせた。


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