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新たな依頼、ヌシ猪捕獲作戦~後編~

「お疲れ様」


僕はロープから手を離しウーに声をかける。


「お疲れ様です。しかしこんなにうまくいくとは思わなかったです」


「うん、やっぱり経験者の策は一味違うね」


 フィリアが考えた策はこうだ。まずはフィリアが木の実が入った袋を持って一人で山に入り猪を探す。見つけたら木の実を使って猪を誘導し、準備した待ち伏せポイントまで誘導する。木の上に待機しているチマとポタが接近を感知し知らせる。それを受けて待ち伏せポイントで待機している僕が木に括り付けた大きな布を猪の目の前に広げる。そうすると猪の生体上突然視界を塞がれると急停止するため、あとは芋づる式に仲間にぶつかりこける。その隙をついてウーが槍で仕留める。一応討ちもらしたときのためにダラスが待機している。


 という物だが、本来は弓矢などを使って仕留めることが多いため、うまくいくか正直フィリア本人にも分からなかったが、やってみると案外うまくいくもので僕らは順調に子分猪を倒していた。それと同時にウーからの提案で以前獲得したスキルの練習しておきたいとのことだったので、それもかねてこうして狩りを行っている。


「しかし、なかなかヌシは出てきませんね」


「当然だ。元々猪は臆病な生き物なことに加え、群れのトップとなると一番警戒心が強くなければならない。そういうことを考えるとそうそう姿を現すものじゃない」


「なら気長にやるかしないね」


 僕は広げられた布を元に戻し再び罠を仕掛け直す。その間にチマとポタが倒された猪をかたづける。この猪はいずれ皮や肉などは有効活用するため、一旦どけておく。


「しかし、子分の数もそれなりに多いですね。私としては腕試しにちょうどいいのでかまいませんが」


「疲れないの?」


「ええ、元々体力はある方ですので」


 ウーはチマたちに混ざって猪のかたづけを行う。仕留めた猪は一旦馬車に乗せて持ち帰り、その後で解体作業を行う手はずとなっている。


「今夜はお・に・く、お肉祭り~」


「お肉祭りなのです」


「二人ともなにその歌」


 おそらく自作であろうなぞの歌を歌いながら、二人で協力して猪を運んでいる。あの猪絶対一番に食べられるだろうな。まあそれも自然の摂理なので仕方がないと言えなくもない。


「手伝おう」


「フィリア、ありがとう」


「フィリアも歌おうよ」


「私は・・・・わかった」


 なんだかんだチマとポタには甘いフィリアも混ざり、三人仲良くあの謎の歌を歌いながらあとかたづけを行う。その姿を見ていると出会ったばかりの殺気に満ち溢れた彼女からは想像できないような変化だと思う。


 それでもこれが本来のあるべき姿ではないかと思える。あんな年から犯罪に手を染めないといけないと残酷にもほどがある。それもきっと僕が日本育ちだからということが所以なのだろうけど。それでもフィリアにもチマとポタにもこのまま健やかなに大人になってもらいたい。


「ご主人様、次のポイントへ移動出来そうですか。いかがいたしますか」


「ああ、ごめん今行くよ」


 あまり同じポイントで狩りをしていると、地面に血の匂いが染みついてしまい、イノシシが警戒して近づかなくなってしまうため、定期的に待ち伏せポイントを変える必要がある。そのためにこの山にはすでに数か所、同様の仕掛けの罠を仕掛けている。ウーに呼びかけられた僕の次のポイントへの移動を開始した。



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