結末──その1
ついに豹炎悪魔との戦いに決着が! この物語ももう少しだけ続きます!
(一体どうなったんだ?)
倒れたままの豹炎悪魔を前にリィナのご両親も戸惑っているようだ。その場にいる皆が固唾を飲んで見守っていると……
ピィィィン!
再び光に豹炎悪魔の体が包まれ、光が消えた時には三体の人影が現れた。
「……」
遠目で見た感じだと“角がついた人間”と言った感じだろうか。豹炎悪魔とは似ても似つかぬ感じだが……
「クッ……我は……」
その内のニ体が目を覚まし、頭を振りながら体を起こし始めると、様子を伺っていた皆の緊張感が急に高まった。
(女の子なのかな?)
人影はどれも髪が長い。まあ、髪が長いから女の子とは限らないのだが……
“気をつけて下さい。【フュージョン】によって意識は既に豹炎悪魔の頃とは別物になっているはずですが、敵意がないとは限りません”
少し息を見出したミアがそう警告してくれた通り油断は禁物だ。先ずは様子を見ないと……
「「!」」
二体はまず自分達が大勢の人間──つまり俺達だ──に囲まれていることに気づき、その次に自分達がマントのようなものを羽織っただけで他に何も身につけていないことに気づいたようだ。
「っ!」
これは魔法の気配……まさか!
ブンッ!
一瞬にして二人が消える。しまった、逃したか!
“とりあえず、今は残った一体を封印しましょう。この一体があれば他の二体も追跡できるはずです”
ミアはそう言うと残った一体に向けて手をかざす。すると、女の子は光に変わり、ミアの体へと吸い込まれていった。
“とりあえず今できることは他にありません。帰りましょう”
何だかよく分からないが、確かに今できる事はないな……
※
その後、封印内の調査や俺達からの聞き取りの結果、封印内にはもう豹炎悪魔はいないことが明らかになった。
(あの赤黒いオーラは豹炎悪魔の魂みたいなものだったんだけど、精神と肉体の境界を取っ払ったせいで肉体もほとんどが封印から出てきちゃったんだっけ)
その後、三つに分割する際に肉体と精神の境界も再設定されたものの、その際に豹炎悪魔の存在がかなり変化したらしい。
(まあ、角を除けばぱっと見は普通の女の子だったもんな)
封印から逃げ出せたのも存在の在り方が大きく変わったことが影響しているらしい。まあ、だからといって、そのまま放置できる訳ではないが。
「マスター、ここにいたのか?」
む? この声にこの口調は!
ノックもせずに自室に入って来たのはミアだが、ミアじゃない。ミアなら絶対しないような煽情的な格好をしている今、彼女の体は別の存在が意識を支配しているのだ。
「早くミアに体を返せ、豹炎悪魔」
「だから妾はもう豹炎悪魔ではないというておろうが」
実はミアが自分に封印したはずの一体はこうして時折ミアの体を乗っ取っているのだ。原因はミアの力不足らしく、力さえ取り戻せば抑え込めるとのこと。まあ、悪さをするわけじゃないし、長い時間ではないので特段困ってはいないが……
「さて、マスター。今は家には誰もおらんな」
?
「じゃあ、よいな?」
「待て!」
俺は上着を脱ぎ捨てた彼女をすかさず制止した。
「何度も言ってるだろ! ミアの体を使って何をする気だ!」
「何って先ずは……」
「いや、言わなくていい! 言わなくていいから早く服を着ろ!」
いや、困ってるな。よく分からないが、ミアの意識を乗っとってるコイツはやたらとこういうことをしたがるのだ。
「つまらんのう……それにそろそろ名前をつけてくれても良かろうに」
ぶつくさ言いながら服を着るのに安堵しながら、ふと考える。名前か……確かにないと不便だけど。
(でもいずれ消えるのに名前と言われてもな)
名前って便利とか不便とかの基準でつけたりつけなかったりしていいものなのかな?
「ふむ。記憶を見るに、恐らく生真面目なことを考えとるな。まあ、ミアはそういうところも尊敬しとるようじゃな」
「勝手にミアの記憶を見るな!」
本当、コイツは……
「大丈夫じゃ。こんなこと、ミアは気にはせん。流石に実はもっと触れてほしいと思ってるとか口にしたら%&§‰」
な、何だ?
「申し訳ありませんでした、マスター」
「お、おう」
ミアに意識が戻ったんだな。
(それにしても、戻る直前、アイツが何か言いかけてたな)
何だったんだろう、一体……
ミアは今後大変になりそうです(笑)
次話はあの人達の話です! 明日の朝7時に投稿します!
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