〔邪炎嵐(イビルストーム)〕
豹炎悪魔のスキル、その威力は……
◆◆◆
〔邪炎嵐〕
◆◆◆
スキル名がポップアップすると同時に黒い豹炎悪魔が黒い炎に包まれる。その熱量たるや触れてもいないのに肌が火傷しそうなくらいだ。
(これはヤバい!)
なるべく離れなくては!
“お兄ちゃん!”
リィナの声と共に近くの地面が光る。俺は迷わずそこへ滑り込んだ!
ドォォン!!!
〔邪炎嵐〕と名がついているが、もはや熱の嵐というよりも爆発に近い。盾では防ぎようもない攻撃だ。
(危なかった……)
俺は豹炎悪魔の拳が地面に空けた穴に入って爆発をやり過ごしていた。
「フェイ、大丈夫?」
虹色の防壁からレイアが姿を現した。この防壁もリィナの力なのか?
(まだクラスも得てないのに……)
いかん! 今は豹炎悪魔に集中だ!
「行くぞ、レイア!」
そう言って俺が駆け出すと、レイアは嬉しそうな笑顔を浮かべた。
(相変わらず好戦的だなぁ……)
こういうところが普段は玉に瑕なのだが、今は心強い。
(ここが攻め時……)
豹炎悪魔はスキル攻撃を放ったことにより今は硬直しているハズ。つまり、絶好のチャンスなのだ。
「〔剣の舞〕!」
〔剣の舞〕はLv÷3の回数の斬撃を連続で放つ強力なスキルだ。一撃のダメージは通常の七割程度になってしまうが、今のレイアなら最大十二回の攻撃が可能になる!
ザシュ! ザシュ! ザシュ! ザシュ!
斬撃が次々とヒットするが、硬い皮膚に阻まれ、豹炎悪魔にはダメージがあまり入らない……
ガキン!
しかも五発目の斬撃は硬直が解けかかった豹炎悪魔の腕甲で防がれた。マズイ!
ブンッ!
その瞬間、さっき〔邪炎嵐〕からレイアを守った虹色の防壁が現れた。よし、これなら大丈夫か!
パリィン!
だが、虹色の防壁はあっさり破れ、レイアは豹炎悪魔の拳で吹き飛ばされた!
(レイアッ!!!)
だが、俺が今すべきなのはレイアの心配じゃない。俺は攻撃直後の豹炎悪魔目がけてギフトを放った!
「【ディバイド】ッ!」
「ガァァァッ!」
角の分断にのみ力を集約させた攻撃に豹炎悪魔が今までとは違う苦しみ方を見せる。そして……
ピシ……
ピシピシピシ……
や、やったか?
パリーン!
よし、角が破壊できた!
「オ、オノレ!」
急に豹炎悪魔の輪郭がぼやけ、体のあちこちから黒い炎が吹き出した。
「グ、グググ……」
だが、黒い炎は自分の意思で出ているわけではないらしく、豹炎悪魔は鬱陶しそうに抑えようとしている。
“お兄ちゃん、レイアさんは大丈夫だから今のうちに!”
よしっ!
「行くぞっ!」
俺が盾を構えて突進すると、豹炎悪魔は炎弾を飛ばして応戦する。
(さっきほどの熱量はないな……)
角を折る前はガードしても肌が焦げそうなほどの熱量だったが、今はさほどでもない。
(これなら……)
俺は盾を前に構えて徐々に距離を詰める。
「ッ! ナメルナ!」
近づいた俺に豹炎悪魔は拳を振るう。だが、その動きも最初と比べれば雲泥の差。これなら……
「〔デュアシールドカウンター〕!」
カウンター気味に放ったスキルは本来武器破壊のためのものだが、生身でも効果を発揮する。例えば……
ガツッ!
頭部にクリティカルヒットした〔デュアシールドカウンター〕が豹炎悪魔にスタンを付与した。もしやと思って使って見たのだが、やはり状態異常耐性も下がっているみたいだ。
「〔グランドクロス〕!」
縦横二回の斬撃ダメージに最後の聖属性ダメージまで綺麗に入った!
(結構削れたよな)
これくらいの攻撃で倒れるはずはないが、同じようなダメージを後一〜ニ回与えればHpが七割くらいにはなるはずだ。
(そうだ! 試してみるか)
俺はスタンから回復しつつある豹炎悪魔にから距離を取り、〔超鑑定〕を発動した。
◆◆◆
豹炎悪魔
Lv???
Hp 29800000/30000000
※角が破壊されたため、弱体化中。ステータス、状態異常耐性が大幅な低下したことに加え、一部のスキルが使用不可になっている。角の再生まで後287秒。
◆◆◆
な、なんだって……
圧倒的なHp……倒せるのか!?
次話は明日の朝7時に投稿します!
※少しでも「頑張れ!」という気持ちを持って下さった方々へ
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