苦戦……
強敵現わる……!
「〔励声叱咤〕!」
〔励声叱咤〕は敵の敵意を集めるスキルだが、レベルが違いすぎるせいか手応えがない……
だが、豹炎悪魔は俺の方を向くと、炎弾を立て続けに放ってきた。とりあえず注意を引くことは出来たようだ。
(ミア、大丈夫か?)
豹炎悪魔の炎弾をミアの盾で防いでいるが、負担がかかってないか心配だな。
“大丈夫です。マスター、私のことはお気づかないなく”
そういうわけにも行かないと思ったのだが、多分ミアが言いたかったのは余計なことを考えていては勝てない相手だということだろう。
「周りの人のことは私が!」
ジーナさんがリィナと共に周りの人を避難させてくれている。よし、これで戦いやすくなるな。
「〔飛刃∶三連〕っ!」
ズバッ! ズバッ! ズバッ!
三発とも綺麗に入ったのだが、豹炎悪魔の表皮に薄く傷をつけた程度でダメージはほとんどない……
「ウルサイ!」
豹炎悪魔はレイアの方を向き、炎弾を放つ。よしっ、今だ!
「〔ディバイド〕!」
豹炎悪魔の上半身と下半身に境界を引く!
「ギャァァァ!」
豹炎悪魔は苦悶の声を上げるが……
(ミアのギフトを受けてあれだけのダメージなのか!?)
腹部に傷を負い、血を流してはいるが、さほど深い傷じゃない……俺はあわよくば両断出来たらとさえ思っていたのだが。
「キサマッ!」
豹炎悪魔が俺に向かって飛びかかって来た!
ドッカーン!
俺は回避に成功したが、豹炎悪魔の拳は大砲のような音を立てながら赤煉瓦亭の壁に大穴を空けた。
(周りにも気を配らないと……)
だが、そんな余裕があるだろうか……
「クラエッ!」
豹炎悪魔が振り落とす拳を紙一重でかわすと、ヤツの拳は地面に大穴を開けた。
(オイオイ……)
まともに食らえばヤバいな。俺は次々に放たれる拳を必死で回避&防御した。
(一体どうしたら……)
一見、豹炎悪魔の攻撃を凌げているように見えるかも知れないが、実はそうではない。何せ決め手がないのだ。このまま戦闘を続けてもジリ貧だ。
(何か突破口があれば……)
勝算なんていう確実なものじゃなくていい。今のこのどうしょうもない状態を変える何かがあれば……
「フェイ、角よ! 角を狙って!」
突然レイアはそう叫びながら〔飛刃∶三連〕を放った。
(角……何で?)
レイアの放つ三つの斬撃は土埃の中、全て一点に向かっている。まさかこの視界の中で角を狙ってるのか!?
“お兄ちゃん!”
え、リィナの声! まるでミアみたいだ。
“説明は後でするから、とにかく今は角を狙って! 角を砕けば豹炎悪魔は弱体化するの!”
何故そんなことが分かるんだ? ……いや、それは後でいい!
“豹炎悪魔はここ!”
リィナの声と共に土埃の一部が白く光る。ひときわ明るいのは角なんだろう。
「行くぞ!」
突進だ!!!
「シネ!」
豹炎悪魔が振るった腕は視界が遮られている分、狙いが甘い。簡単に避けることが出来た俺は角目がけてスキルを放つ。
「〔グランドクロス〕!」
マトモに入った〔グランドクロス〕はいい手応えだが、角にはヒビ一つ入らない。
(一撃じゃ駄目か)
だが、さっきよりはいい感じだ。このままヒットアンドアウェーを繰り返して……
「ガァァァ!」
くっ……豹炎悪魔の怒声で土煙が晴れてしまった!!!
「〔疾風切り:二連〕!」
〔疾風切り:二連〕は移動しながら斬りつけるスキル。レイアは斬りつけると同時に後退することで被弾を避ける。
(で、俺が引き付ける……だな!)
俺は再び斬りつけるが、これは豹炎悪魔が腕甲で受け止めた。
“私だって!!!”
聖剣フェリドゥーンが白い光を放つ。すると、腕甲にヒビが入り、聖剣フェリドゥーンは豹炎悪魔の腕を傷つけた!
「ガッ!」
完璧にガードしたのにダメージを負ったことに驚いた豹炎悪魔が後退する。そこへすかさずレイアの〔飛刃∶三連〕が飛ぶ。リィナのサポートのおかげなのか、全てが角に当たった。
(普通ならあり得ないことだけど、今はこれが決め手になるかも)
角はまだ傷一つない。だが、こっちだってまだまだ行けるぞ!
◆◆◆
〔邪炎嵐〕
◆◆◆
げっ……スキル攻撃か!
豹炎悪魔のスキル攻撃……フェイ達は凌げるのでしょうか!?
次話は明日の朝7時に投稿します!
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