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対面

 おはようございます! 今日もお越し頂きありがとうございます!

「フェイと一緒だと強くなれそうだしね。ありがたく思いなさい!」  


 相変わらずだなあ、レイアは。


「何で俺と一緒だと強くなれそうだと思うんだ?」


「だって色々とトラブルに巻きこまれてるじゃない?」


「………」


 これには正直ぐうの音も出ない。


「それにフェイは最強を目指してるんでしょ? なら、やっぱり一緒にいれば強くなれそうじゃない!」


 まあレイアが一緒にいてくれれば、正直戦闘は楽になるのは間違いないんだけど……


「じゃあ、レイア。一つだけ聞かせてくれ。君は何で強くなりたいんだ?」


 俺が引っかかっていたのはこれだ。今までの冒険でレイアが信用できる人間であることや背中を預けるに足る力を持っていることは良くわかってる。だが……


(何故強くなりたいのかが分からない……)


 「アルケミスト」は冒険者としては不向きだが、町で商売をするつもりならむしろ大当たりといえるクラス。さらに性格の難を補って余りあるくらい容姿にも恵まれている。何故わざわざ強さを求めるのかが俺には分からないのだ。


「……復讐よ」

「……」


 レイアはボソッと呟いた。普段とは違うその様子がそれが彼女にとってどのくらい重要なのかを物語っていた。


「分かった。少し考えさせてくれ。俺も真剣に考えたい」


「それでいいわ。師匠、少し素振りをして来てもいいですか?」


「ああ」


 レイアは俺と師匠に頭を下げると、顔を伏せたまま道場へと向かった。


「レイアにこのまま武の道を進ませて良いのか迷っているのじゃな?」


 レイアの姿が完全に見えなくなってから師匠は俺にそう聞いた。


「そうです」


「まあ、そうよな。じゃが、だからこそワシはお前と旅をさせたいのじゃ」


 ん? どういう意味ですか、師匠?


「レイアはフェイとの冒険が楽しかったようでな。お前と一緒ならひょっとして復讐以外の何かを見つけられるかも……と思ってな」


「そうでしたか」


 なるほど……しかし、祖父である師匠でさえどうにも出来ないなんてよっぽど込み入った事情なんだろうなあ……


「まあ、無理にとは言わん。聖石のことは分かったら連絡する」


「ありがとうございます、師匠」


 俺はそう言って師匠の家を後にした。





 昼過ぎにはリィナは大分回復し、往診に来てくれたヘーゼルさんによれば近場であれば外出しても大丈夫だろうということだった。


「それにしても何で急にリィナみたいに病気になる人が出てきたんだろう?」


 それは何気ない問いだ。病気にかかる理由なんて分かるようで分からないものなのだから。だが、意外にもそれはヘーゼルさんからあっさりともたらされた。


「この間の封印祭だね」


「「「え?」」」


 思いがけない解答に俺とリィナ、ジーナさんの声が揃う。


(封印祭って、俺が『黄昏の迷宮』にいる間に終わっちゃったお祭りだよな)


 封印祭に間に合うように帰るはずが、最下層へとアバロンに蹴り落とされたんだっけ。


「多分あの時の花火にイシナラの葉や茎を乾燥させたものが混ぜられていたんだと思う」


 イシナラは別名“火薬草”と呼ばれる植物で山火事を起こして自らの生息域を広げるという驚異的な生態を持ち、根と実以外は非常に燃えやすい。そのため、昔は松明などの材料にも使われていたらしいのだが……


「イシナラには大量に吸い込むと中毒になる成分が大量に含まれているんだ。だから、今はどの国でも使ってないんだけど」


「つまり、リーマスに害意を持つ何者かがわざと仕組んだということ?」


「証拠がないけどね」


 もし、これが仕組まれたことだとしたら、とんでもないことだ。


(もしかして迷宮殺し(ダンジョンイーター)の一件も繋がっているとしたら……)


 まさかとは思うが……


「まあ、こう言うのはお偉いさんの仕事でしょ。私達は自分の仕事をしないとね」


 そう言うと、ヘーゼルさんは自分の療養所へ戻って行った。ちなみにヘーゼルさんからはお代を払うどころか、この間のニガハッカの代金まで頂いてしまっている。


“マスター、そろそろ……”


 ヘーゼルさんが来ている間、ミアには剣になって貰っていたが、もう限界か……


「さて、フェイ。もう一仕事あるわね」


 さらにはジーナさんからも催促が……


「えっと、リィナ。もう一つ話があるんだけど、良いかな?」


「良いけど……急にどうしたの?」


 俺は『蒼風の草原』での出来事(ただし、レイアの肩揉みをしたことは伏せた)と聖剣を手に入れたことを話した。


「聖剣って……流石お兄ちゃん!」


「で、リィナにも紹介したいんだけど、いいかな?」


「聖剣を紹介……!? よく分からないけど、私にも見せてくれるってことで良いんだよね?」


 小首を傾げるリィナに曖昧な頷きを返し、俺は聖剣フェリドゥーンを〔アイテムボックス+〕から取り出し、椅子の上に置く。その瞬間、光と共にミアが現れた。


「お兄ちゃん、この娘……」


 やっぱり駄目かな……怒られるなら良いけど、泣かれたらどうしよう……

 リィナとミアの対面、どうなるか!?


 次話は明日の朝7時に投稿します!


※少しでも「頑張れ!」という気持ちを持って下さった方々へ


 ポイントorブクマなどで応援して頂ければ、大変励みになりますので、是非ご一考下さい!!!

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