分かち合う力
フェイがリィナのスキルを? フェイが発動したスキルの効果は一体……
発動したのはリィナのスキル。これで奴の炎を食い止めて……
「がははっ! そんなもので止められるか!」
蒼い炎の勢いが増す。確かに俺ではリィナみたいに的確な配置は出来ないからな。でも……
「〔サランウォール〕!〔七光壁〕!」
今度はメルヴィルさんから貰ったスキルとリィナのお母さん、クラウディアさんのスキル。さらに……
「〔聖盾〕! 〔聖壁〕! 〔反射装甲〕!」
これは神聖オズワルド共和国の聖騎士達のスキル。一つ一つでは通じなくても重ねてみんなで協力すれば……
「なっ……何ぃ!?」
蒼い炎が止まる。流石のイベルも予測してなかったか? いや、そろそろこっちのネタに気がついたか……
「俺の炎が止まった? それにお前、何故そんなにスキルを連発できる!?」
「これはお前を倒すために授かった力だ、イベル」
「何ぃ?」
眉間に皺を寄せるイベル。そうだ、お前にはこの力が分からないんだよな……
「俺のもう一つのレジェンドクラス、『繋ぐ者』のスキル、〔絆〕は仲間になった人や同じ想いを持つ人達とスキルを共有出来る力がある」
「スキルをきょ……共有だと!?」
「そうだ。だから俺は俺が習得していないスキルを使えるし、スキルを連発することも出来る。こんなふうに!」
俺は炎属性のスキル、〔煉獄〕と〔極炎〕、〔神炎〕、〔業火の吐息〕、〔鬼火〕を発動させた!
グォォォッ!
荒れ狂う炎がイベルに襲いかかる!
「なっ!」
イベルは蒼い炎で防御する。勢いで勝っていた俺の炎もしばらくすると流石に押し負けていく……
「かかか! 大したこと、ねぇな。スキルの共有だか何だか知らないが、ザコのスキルなんざ、所詮……」
「〔大津波〕、〔大寒波〕、〔氷結地獄〕、〔白銀の導き〕、〔雪靴神の吐息〕……」
ピキィィィン!
凄まじい凍気が瞬時にイベルの炎さえ凍らせる!
「だから意味ね──」
再び燃え盛るイベルの蒼い炎……だが、既に俺はスキルを発動し終わっている。
ブン! ブン! ブン! ブン!
真空波にカマイタチ、無属性魔法……今度は目に見えない斬撃を放つスキルのオンパレードだ!
「くそっ……だが、いくら攻撃しても俺には効かねーぞ!」
俺が放った雷系のスキルをイベルは蒼い炎で防御する。流石にこっちを攻撃する余裕はないようだが……
(だが、やはり分かってないみたいだ)
この〔絆〕というスキルの本当の力は……
ピィィィン!
次は俺の〔マスタークロス〕、〔クロスフラッシュ〕を始めとした聖属性スキルのラッシュだ!
「だから、効かねーよ!」
イベルはそう言った瞬間……
ピィィィン! ピィィィン! ピィィィン
イベルを取り囲むように三方向から聖属性のスキルが降り注ぎ始めた!
「な、何ぃ!? 何がどうなってる!」
「既に説明したぞ、イベル。〔絆〕はスキルを“共有”する力だと」
「だからなんだと……いや待て、待て待て待て!」
……ようやく気づいたか
「気づくのが遅いわね、イベル!」
「”共有“だから私達もフェイと同じことが出来る。それに……」
ゴゴゴ……
今まで微動だにしなかった〔セルフィッシュエデン〕が急によろめくように傾いた!
「何だ!? 何が起こってるんだ!」
焦るイベルが外の様子を映すウインドウを開く。するとそこには……
「な、なんじゃこりゃあああ!!!」
対魔王連合軍から〔セルフィッシュエデン〕に向けて聖属性のスキルによる攻撃が放たれている。雨……いや、滝のように浴びせられる攻撃にさしもの〔セルフィッシュエデン〕も影響を受けているらしい。
「地上にいるザコも同じようなことを!? ふざけんな! チートじゃねーか、こんなの!」
ドカーン! ドカーン!
イベルの動揺のせいで防御力が下がったせいか、〔セルフィッシュエデン〕の揺れがどんどん大きくなる! よし、チャンスだ!
“ほう……我々も?”
”フェイ、君は優しいな“
レイアのスキルで呼び出した魔王達ともスキルを共有出来た! これで……
ボゥゥゥ! ピキィィィン!
炎と冷気が飛び……
ブンブンブン! バリバリバリッ!
斬撃と稲妻が走る。色んなスキルが次々に飛び交う!
「く、くそ……こんな……」
イベルの蒼い炎がどんどん小さくなっていく!
「何故だ……俺は魔王になり、誰にも負けない力を手に入れたはずなのに……」
「いくら魔王でも一人で出来ることなんて限られてるんだよ、イベル。これが分かち合う力だ!」
「くっそぉぉぉぉぉ!」
濁流のように押し寄せるスキルにイベルは押し潰されるように消えていった……
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