知らないこと
嘲笑するイベル! まさかイベル相手に言い負けてしまうのか!?
「誰だって自分が一番可愛いんだ! ヤバいことには誰も関わりたがらない! お前らは変わり者なんだよ!」
か、変わり者……
(いや、大事なのはそこじゃないか)
そうか、奴ら知らないんだ。俺達がどれだけの人に支えられているのかを!
「ま、もう御託は良いよ。とにかく消えろ。どうせ俺の勝ちなんだから!」
イベルは面倒くさそうにヒラヒラと手を振った。
「てかさ……この〔セルフィッシュエデン〕は俺の意のままになる世界だが、その意味本当に分かってるか? いや、分かってないよな。分かってたら逆らったりしないもんな」
こいつ次は何をするつもりだ!?
「俺がその気になればよ、お前らを大気の重みでぺちゃんこにしたり、窒息させたりできるんだぜ……気づいてなかっただろ、お前ら!」
「くっ……」
レイアが唇を噛む。確かにどちらもやばすぎる。どちらも単純な攻撃とは違い、俺達のスキルで防御するのは難しい……
「遊びは終わりだ。潰れろ!」
イベルが上げた手を振り下ろす! その瞬間……
シーン……
一秒、二秒……待てと暮らせど何も起こる気配がない。
「な、何ぃ!? 何故だ!」
「……何? 何なの?」
俺達に何の変化もないことにイベルは戸惑い、レイアが訝しげな声を上げる。が……
「ふん、まあいい! なら、窒息させてやる! 散れ!」
「くっ……」
窒息、これも俺達のスキルでは防ぎようがない……
シーン……
しかし、さっき同様俺達には何の変化もない。勿論息は今まで通り出来ている。
「な、なんでだ! 何で潰れない! 何で窒息しないんだぁ!」
喚くイベルを俺達が呆気に取られて見ていると、足元から歴代魔王が姿を現した!
“まだ気づかんのか?”
”馬鹿だねぇ……まあ、ポッと出魔王の限界かな“
「ああん! 何だお前らは!」
ニヒトとザインがそう言うと、イベルは歯をむき出しにして威嚇する。が、二人は全く気にした素振りがない。
”〔ビフロスト〕が何故お前の〔セルフィッシュエデン〕への侵入を可能に出来たのか考えてみなかったのか?“
”〔ビフロスト〕は〔セルフィッシュエデン〕の機能を奪う魔法だ。そして、それは術者が移動すればその分広がっていく“
”魔帝様が迷路とかたくさん歩いて下さったからよ! もう一〜二割は機能を掌握させて貰ったぜ!“
オズ、ニヒト、ザインの三人の魔王が説明してくれた話は俺も聞いていた。聞いていなかったのは……
「何それ! 聞いてないわよ!」
“一応話したんだがね……”
オズが申し訳なさそうな顔をする。まあ、レイアはあまり魔法に詳しくないから理解出来なかったのかも知れない。俺達だって完璧に理解できていた訳じゃないしな。
「くそっ……だ、だが、一〜二割掌握出来たくらいではこれは防げないだろ!」
部屋の壁に無数の剣が出現する! そして、それは俺達の方へと向かってくる!
「お前らが自由にできるのは精々形のないものくらいだろ! 違うというなら何とかしてみろ!」
魔王達は魔法陣を展開するが、壁の速度は変わらない。やはりイベルの言う通りか……
「串刺しにしてやるッ!」
イベルが勝ち誇ったようにそう叫んだ瞬間……
「〔真紫天使の加護〕!」
「〔絶魔の矢〕!」
「〔マスタークロス〕!」
リィナのバフを受けた俺達のスキルが壁をうちくだく! 大気みたいに目に見えないものじゃなければ俺達でも何とかなる!
「このッ……だが、壁は幾らでも作れるんだぞ!」
壊したはずの壁が一瞬で再生する。壊すことは出来るが……
「〔七光聖壁〕!」
「〔絶魔の刃〕!」
「〔マスターフラッシュ〕!」
再び壁を破壊! が、スキルにはクールタイムがあるし、俺達の体力には限界がある。それに対し、イベルは念じるだけで壁を再生出来る。このままだと……
「がははっ! 俺は何度でも壁を作り直すことが出来る! 持久戦といこうぜ! がははっ!」
イベルが勝ち誇った声を上げると、再び壁が再生する。
(くっ、このままじゃジリ貧だが……)
だが、壁を破壊しない訳にはいかない。俺達は再びスキルを発動した!
「がははっ! いつまで続くかな? 次行くぞ!」
破壊した壁は瞬時に再生して再び向かって来る! 次は──
(……ん?)
スキルを発動する瞬間、俺はあることに気がついた!
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