???
多分今年最後の更新です。一年ありがとうございましたm(_ _)m 来年もよろしくお願いします!
何故魔王と戦うのか。その答えを見出したフェイは光に包まれて……
◆◆◆
称号「???」を獲得しました。
◆◆◆
光が消えた瞬間、ウインドウが開いた。
(これって新しいクラスを得たってことか!?)
ん? でも「???」って何だ?
「おめでとうございます、フェイ様。神々からの祝福があったようですね」
神々からの祝福……さっきの光のことかな。
「ありがとうございます。でも……」
得たクラスがどんなものが分からないことを告げると、ヴェルリナさんはにっこりと微笑んだ。
「地上には通常、エクストラクラスより上のクラスはありません。あるとすれば、それは新たに作られた時のみ。フェイ様の新たなクラスはこれから生まれるのですよ」
「なるほど……」
つまり、まだ出来ていないということか。
「新たなクラスの創造は神々がフェイ様の意志をお認めになった証……フェイ様は本当に優れたパラディンでいらっしゃるのですね」
「そんな……ヴェルリナさんのおかげです」
実際、俺はヴェルリナさんに聞かれるまで魔王と戦う理由なんて考えてもなかったんだし……
「私はフェイ様の言葉を神々にお伝えしたまでです。この結果は紛れもなくフェイ様ご自身のお力なんですよ」
「ヴェルリナさん……」
ふわっ……
何かを言う前にヴェルリナさんが俺を包容する。全てを赦し、認めてくれるような優しい感触……気づけば俺は反射的に彼女の体に手を回していた。
「こんな素晴らしいマスターに恵まれるなんてフェリドゥーン様が羨ましいです……」
「ヴェルリナさん……」
「フェリドゥーン様より私が先にフェイ様と出会っていれば……でも私なんかではフェイ様と釣り合わないですよね」
「そんなこと!」
俺が驚いた声を出すとヴェルリナさんはふふふと笑った。
「良いのです。むしろ天界から初めて降臨されたフェリドゥーン様のマスターがフェイ様のような方で良かったと思います。きっとこの出会いは必然だったのでしょう……」
「ヴェルリナさん……」
何と言ったら良いか分からない俺……そんな俺にヴェルリナさんはさらにしっかりとしがみついた。
「優しい方ですね、フェイ様は……これで良いのです。良いんですよ……」
*
(魔王イベル視点)
「ガハハハ……愉快愉快ッ!」
ここは誰も入って来れない安全地帯……さらに必要な物を手にするのに身動き一つする必要ないんだもんな!
(やっぱデカい街には贅沢な物がたくさんあるな!)
魔都から移動した俺は栄えている街から街へ移動し、欲しいものを手当たり次第に頂いていた。
(食い物……酒……金……何でも好きなだけ手に入る!)
好きなものが好きなだけ手に入るのに金なんて何に使うのかと言われるかも知れないが、金は在るだけで幸せになるだろ?
(何せスペースは幾らでも広げられるからな)
使わないものでも欲しければ手に入れられるし、保管場所の心配もいらない。ついでに言えば整理整頓の必要さえない。だって、念じれば向こうから飛んでくるんだからな。
(新しい国へ行く前に少し広げておくか)
今いる国の主要な街はもう行き尽くしたし、今度は別の国へ行くつもりだ。新しい場所に行けばまた欲しいものが色々あるだろうしな……先にスペースを広げておくのが良いだろう。
「おい、〔セルフィッシュエデン〕を広げてくれ」
俺がそう言うと無表情な女が現れた。俺の力の説明係だか何だか知らないが、とにかく愛想がない女だ。
「……どのくらい広げる?」
「そうだな。まあ、とりあえず魔都くらいでいいや」
魔都は街としては大きくはない。が、流石にそのくらいスペースを開ければ当分困らないだろ。
「分かった」
女はステータスウインドウのようなものを出して何やら作業を始めた。本来なら俺自身で出来るらしいが、新しいことを覚えるのは面倒ですだから任せているんだ。
「ところでいつまでこんな生活を続けるつもりだ?」
いつまで……? 何言ってるんだ、こいつは?
「いつまでって……いつまでもだよ。俺はずっとノンストレスな生活を送りたいんだよ」
そう……ノンストレス。嫌なものが何もない究極の幸せ。誰もが望み、そして誰も手に入れることが出来ないそれを俺は得たんだ!
「誰かと何かを共有することなくただただ消費する……そんな生活が虚しくはならないのか?」
は?
「いや、全く」
はっはーん、この女はいわゆるお利口さんだな! 誰かのため、何かの為に我慢して頑張ることが美しい……みたいな戯言を教えられ、信じていた口だ。
(馬鹿だよな……我慢しても、頑張っても何にもなりゃしねーのに)
俺は耐えた。そして頑張った。が、盡く邪魔され、さらには其れを皆から責められた。そして悟ったんだ。耐えること、我慢すること、頑張ること、その全てに意味がないことを。
(こいつはまだその真理に到達してねぇんだな……馬鹿な奴だ)
いや、憐れんでやるべきかも知れない。多分、この真理は俺だからこそたどり着けた境地。凡夫共では理解出来ないんだろう……
(なら、この真理を教え、広めるのが俺様の使命………か?)
ブン!
作業が終わり、〔セルフィッシュエデン〕が広がると女は姿を消した。が、まあ、そんなことはどうでもいい。俺は自分が閃いた天才なアイディアを実現すべく、頭を高速で回転させ始めた……
読んで頂きありがとうございました! 次話は年明け1月6日月曜日の朝7時に投稿します! 皆様、良いお年をお迎え下さいませ!
※大切なお願い
皆様のブクマやポイントが執筆の原動力です。「あ、忘れてた」という方がおられたら、是非御一考下さいませ( ´◡‿ゝ◡`)




