試練の始まり
遂に始まった第五章! よろしくお願いしますm(_ _)m
ゲートを潜るとそこは森の中……だが、何の問題もない。オズさんから聞いていた通りだからな。
「街中に出てくれたら便利なのに」
レイアはそう愚痴るが、それはあまりに怪しすぎる。元々この転移システムは迫害された魔族の避難経路なんだから目につかないことが大切なんだからな。
「神殿まではすぐですよ、レイアさん。フェイ兄、道へでたら馬車をお願い」
「分かった」
〔アイテムボックス+〕がある俺達は馬車が必須という訳じゃない。が、変に目を引くのは得策じゃない。だから、わざわざ持ってきたのだ。
(聖王国……どんなところかな)
戒律を守って暮らす厳しい国だと聞いたことがある。あまり堅苦しいと窮屈だな……
”大丈夫じゃ、マスター! 気楽に行こう。何か旨いもんでもあると良いのじゃが“
う、旨いものって……遊びに行くんじゃないぞ!
”……まずは仕事。みんな困ってる“
“そうね、ニア。偉いわ……ニアの言う通りよ、
ネア! 目的を忘れないで”
“わ、分かっとる! てか、ミア、なんかキャラ変わってないかの?”
やれやれ……まあ、仲が良いのはありがたいけど。
(ニアも大分喋るようになったしな……)
まあ、でも確かに聖王国にはヴェルリナさんに会いに行くんだ。気を引き締めないと。
「神殿についたらフェイ兄はミアを見せてパラディンだと伝えてね。レイアさんは……」
「分かってるわ。仲間その一ね」
そう言って片目をつぶるレイアだが……その正体は仲間その一だなんてとんでも無い。何せ今や歴代の魔王から認められた魔王を超える存在、『魔帝』なのだ。
(ある意味一番聖王国に不釣り合いな人物だよな……)
ま、俺がパラディンってのも似合ってるとは言えないか……
“そんなことありません! マスターは最高のパラディンです!”
(ありがとう、ミア)
すかさずフォローしてくれるミアに礼を言うが、内心リィナの聖女っぷりには負けてしまうと思ってる。
(何せ今や魔族と人間の橋渡し役だものな……)
魔族都市ルトラシェラはワガママ放題の魔王イベルと戦う道を選んだ。だが、だからと言って人類から受け入れて貰えるどうかは分からない。リィナはその橋渡しを任されているのだ。
(しかも、物資の調達までするつもりだもんな……凄いよ、リィナは)
バトルの時も防御や回復は勿論、最近は幻術を使った攻撃までこなすようになってるし……弱点なんてないんじゃないか?
”……マスターを除けばの“
ん? 何か言ったか、ネア?
「見えてきたわね」
レイアがいうが早いか、神殿が見えてきた。眼の前の神殿は聖王国の首都であり、信仰の中心地。一体どんなものが待ち受けているのか……
*
聖剣を掲げ、駄目元で以前出会った聖王国の騎士、シオンの名前を出すと、俺達は食堂へと通された。
(まずは第一の試練、だな……)
事前にリィナが調べてくれた情報によると、聖王国を訪れた勇者──この国では聖剣を持つ者をこう呼ぶのだ──は皆試練と呼ばれる儀式を受けるのだとか。
(えっと最初の試練は……確か『清貧の儀』だったか)
この地を訪れた初代勇者は命をかけて魔物の群れから人々を守る。だが、人々がその礼として差し出たのは貧しい食事だけ。しかし、勇者はその貧しい食事を感謝して頂くという伝承になぞらえた儀式らしい。
”命をかけて魔物と戦ったのに貧しい食事だけとは……ケチな奴らじゃ。次は助けてもらえぬぞ“
“初代勇者は食べ物を神の恩寵と考えたんです。命を救われた礼に神より与えられた恩寵を見ず知らずの者に分け与える……その慈悲深さに涙したと伝えられています”
”ふぅん……めでたいやつじゃ“
”でも、やさしい……“
ミアとネアがそんなことを話しているとニアがぽそりと呟く。確かにな。スゲー人だな、初代勇者は。
(……俺、何もしてないけど良いのかな?)
何がでてくるか分からないけど、俺はまだ何も働いてないんだが……
「勇者様、聖女様。大したものはありませんが、どうぞ」
そう言って運ばれてきた料理は、新鮮なサラダに果物。更に温かなスープだ!
「皆様、まずは前菜をお召し上がり下さいませ」
前菜ってことはまだあるのか? すっごく豪勢だな! 清貧の儀じゃなかったのか!?
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