強欲
伝えたい情報がありすぎて視点を入れ替えすぎてしまいました。すみませんm(_ _)m
聖剣エクステリアに宿る悪魔の囁きにアバロンは……
(んな訳あるかッ!)
何を馬鹿なことを! 自分が一番に決まってるだろーが!
(単に俺は自分一人が助かればそれで良しとするような小せえ人間じゃねーってことだ)
大体今は食うが食われるかの勝負をしてるんだ。俺が生き残るためにもイーサンを死なせるわけには行かねー!
“ほぉぉ……自分だけでは満足しないと。お前は強欲な人間だな”
(何とでも言いやがれ! 欲があることの何が悪いってんだ! これが俺の生き方だ!)
こちとら無茶だの無謀だのなんてのは言われ飽きてるんだよ!
”面白い……面白いぞ、人間……“
そうかい、そうかい。なら、そろそろ黙ってくれよ。もう本当にイーサンがやばい。くそっ、一か八か何か投げてみるか……
“お前の欲……見届けたくなった。見物料代わりに我が力の一部を貸してやろう……”
な、何だって?
*
(青嵐団の男、ノーマン視点)
(くそっ……万事休すか……)
俺は皆から遠く離れて戦いの様子を見守っていた。自慢じゃないが、俺はただのチンピラ上がり。冒険者であるイーサンや修行を積んだドレイク、それに身体能力に優れた獣人であるイリーナみたいな戦闘力は持ってない。
(だから、俺の役割は戦況の分析といざという時の介入……)
俺の手には閃光弾がある。敵がイーサンの閃光を警戒したら、その裏をかいて俺が──というのが作戦だ。といっても、今はそれくらいしか出来ないが……
(くそっ……どうしたら)
閃光弾を投げれば相手の動きは止められるかも知れない。が、その後が続かない。
(むやみに近づいたら糸に絡め取られる……かと言ってこのままでは……)
どこを見てもリスクだらけ。どうしたらいいんだ………何を優先したら……くそっ!
(そうだ、アバロン組長は!)
俺がアバロン組長の方へ目をやると……
(な、何だ!?)
アバロン組長の持つ聖剣が……歪んでる?
(いや、違う……歪んで見えるんだ!)
聖剣が辺りの物を手当たり次第に吸い込んでいく。何だ、あの力は!
「ガ……ギッ!」
魔物も動きにくそうだ。つまり、それくらい吸い込む力が強いということ。
ズン!
遂に奴がバランスを崩し、倒れ込んだ。どうも今までの戦いで無数についた傷口から体液が奪われていってるみたいだな。
「ギギャ!」
だが、魔物は動けないイーサンの方を向いたままアバロン組長に尻を向ける。やばい、あれが来る……
ブシュッ!
この攻撃、遠くから俯瞰で見ている俺には辛うじて分かるが、そうじゃなきゃ反応さえ出来ない。何せ予備動作が小さい上に攻撃の出が速すぎるのだ。
(くそっ、アバロン組長……何とか避けてくれ)
俺が祈るような思いで見ていると……
ゴゥゥ……
糸の塊が聖剣に吸い込まれていく。いや、飛んで行った塊だけじゃない。辺りの糸も根こそぎ吸い込んでいる!
(今だ!)
ここが一発逆転のチャンスだ!
「イーサンとドレイクは俺が!」
俺はそう叫ぶと手に閃光弾を握りしめながら駆け出した!
*
(アバロン視点)
ノーマンの声を聞いて俺は駆け出した。奴にも分かっているようだ。ここが最大にして唯一のチャンスだということを。
(ここで決めるッ!)
突進からの全力ブルストライク! 狙うは当然頭だ!
(あばよ、化け物!)
俺が剣を振ろうとした瞬間、何かが俺に噛みつく。これは!
(小さい蜘蛛!? これはこいつの……)
やっと分かった。俺達と戦っている間、こいつはこの小さい蜘蛛に糸を張らせていたのだ!
(くそ……このままじゃ止めを指す前に動きが止められる!)
周りにいる小さい蜘蛛は一匹や二匹じゃない。奴ら、親玉のピンチに駆けつけてきたな!
(しかし、今更止められない……)
駄目でもやるしか……
「大兄ッ!」
カッ!
ドレイクが叫んだ瞬間、視界を奪う閃光が走る! 俺は反射的に勿論豹炎悪魔のオーラで作ったゴーグルで自分の目を守っている。
「〔身体能力強化〕! 決めろ、アバロン!」
「勇者としての意地をみせてやれ、アバロン!」
さらにイーサンのバフとイリーナの檄が飛ぶ。
(ああ、分かってるさ!)
噛みつかれようが、閃光が走ろうが、俺は動きを止めてない。剣は最初の狙い通りに奴の頭を切り裂いた!
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