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アラクネア

 コロシアムで魔物(しかも強化されている)と戦うことになったアバロン。果たして勝機は……

 魔物は俺達に突進すると同時に足を槍のように突き出してくる。その手数の多さといったら……


(くそ……蜘蛛にしたって足が多すぎだろ!)


 しかも奴の皮膚は硬い。聖剣を軽く振ったくらいじゃほとんど傷がつかないのだ。


「出方が分かるまでは回避優先!」


 俺は豹炎悪魔(フラウロス)のオーラを伝声管のように伸ばして皆に指示を伝える。とにかくこいつの動きが変則的過ぎて中々対応が困難だ。


(俺達のこと、良く見てやがる……)


 蜘蛛だからか? 俺達の中で一番隙の有るやつを確実に狙ってくる。逃げ場のないコロッセオという特性を活かした戦い方だ。


(……いや、こいつにとっては狩りか?)


 胸糞悪い話だが……


「やばいやばいやばい……こいつは改造個体じゃねーかぁぁぁ!」


 ドレイク……? 何だか動きがみるみる悪くなっていくぞ!?


(不味い、あいつ、ドレイクを集中狙いし始めた!)


 しかも、あいつについて何か知ってるのか? 


「イーサン、少し引き付けてくれ。俺はドレイクをフォローする」


「命令するな……と言いたいところだが仕方ないな」


 多分似たことを考えていたんだろう。イーサンはドレイクを狙う魔物の背をとり、斬りつけた!


「ギッ!」


 魔物の足の硬さを考えれば、大したダメージは無かったはずだ。が、今のイーサンは奴にしてみたら狩りの邪魔をする不快な虫だ。即効潰したいはず……


「こっち向いたな……〈閃光撃〉っ!」


 イーサンの〈閃光撃〉は強烈な光を放って敵の視界を奪うスキル。イーサンは目立ちたがり屋のワンマンプレーヤーだが、実は持っているスキルは援護向きのものが多い。


「ギャギャギャッ!」


 魔物が自分の周りを当てずっぽうに攻撃する。ちなみにスキル発動前から豹炎悪魔(フラウロス)のオーラでゴーグルを作っているから俺達には影響はない。


「どうした、ドレイク!」

「あばば……終わり終わり終わり!」


 ドレイクに近寄って声をかけるが、会話にならない。


(駄目だ、完全にパニクってるな)


 くそっ! 時間がないんだよ、ドレイク!


 ボカッ!


 あ……しまった。


「終わり終わり──あ、アバロン大兄ぃ!」


 気がついたか……非常時だ。結果オーライとさせて貰うぞ。


「どうしたドレイク。何か知ってるのか?」


「アバロン大兄! 早く逃げないと! あいつはヤバい。ヤバいヤバいヤバいヤバ──」


 ボカッ!


「はっ、アバロン大兄!」

「知ってることをはやく話せ。時間がない」


 イーサンのスキルの効果は長続きしない。奴が復活する前に対策を立てないと!


「あいつは間違いなく魔物を人為的に改造した新種、改造個体です!」


 なっ……魔物を改造!?


「何でも魔物を神の作り出した正しい姿に戻すための研究だとか言われてますが、実際にはより強くするための改造が施されます」


 おいおい、聖王国の奴らは馬鹿なんじゃないか? 神のためか何だか知らないが、魔物を強化してどうするんだ?


「噂では軍隊の代わりに使うつもりだとか。それはともかく、俺が知っている限りまだまだ完成には程遠かったはずです。強化すれば寿命が数時間ほどしか保たなかったはず。なのに!」


 そうか。大体分かった。つまり、普通の魔物じゃないってことか。


「アバロン大兄! 逃げましょう! 改造個体は実験体でも元の魔物の二〜三倍の強さになります。ましてやあいつは間違いなく完成体。半端なく強さにまで強化されてるはずです!」


「確かにやばそうだな」


 多分ベースになった魔物も相当強い奴なんだろうな。


「だが、逃げ場なんてねーだろ。やるしかない! ドレイク、ヒールの準備だ。イリーナとの連携も忘れるな!」


「アバロン大兄!」


 ドレイクが泣きそうな顔をする。みっともないと思うかもしれないが、実は俺も泣きたい。何でこんな目に合うんだよ……


(だが……こんなところで死ねるかッ!)


 気に入らない。何もかも気に入らない。俺達を見世物にする奴らも、魔物を改造して戦わせようとする輩も、それを黙って見ている奴らも!


(一発殴ってやらないと気が済まねぇ!)


 聖王国……この腐った国はぶっ潰してやる!


「大丈夫だ。俺に考えがある。任せとけ!」


 俺はドレイクの返事を待たずに駆け出した。


(イーサンのスキルの効果が切れる……奴が動き出すぞ!)


 イーサンとノーマンはそれぞれ少し離れて隙をうかがっている。いいぞ、ナイスな判断だ!


(とにかく出来ることを片っ端から試してみるか!)


 まずはこいつをぶっ殺す! 俺達が食われると思ってる奴らに吠え面をかかせてやるぜ!

 読んで頂きありがとうございました! 次話は来週月曜日の朝7時に投稿します! ただ、テンションが高まったら早まるかも! その時はご容赦頂きたいm(_ _)m 


 何? ブクマ登録しているから大丈夫ですと?


 ありがとうございます!


※大切なお願い

 皆様のブクマやポイントが執筆の原動力です。「あ、忘れてた」という方がおられたら、是非御一考下さいませ( ´◡‿ゝ◡`)

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