最後の試練……?
遂に目的の神殿についたアバロン(アハロン)を待っていたのは……
(アバロン視点)
散々待たされて神殿に入った次の日、朝食を終えた俺達の元にここまで同行した衛兵がやってきた。
(これ、試練を言われるパターンだな……)
昨日は神殿に着いても何もかさせられなかったからちょっと安心してたんだが……やはりそうは行かないか。
(だが、ドレイクから聞いてた限りだと試練はもう終わったと思うんだが……)
だが、どうも今までとは勝手が違うらしいからな。試練が追加されている可能性もなくなはな──
「勇者アハロンよ。よくぞ試練をやりとげた」
あ、終わったのか?
「試練を終えたそなたの心身には今、神の恩寵が宿っている。教皇様はその聖なる力が見たいと仰せだ」
聖なる力……とんだお笑い草だ。
(そいや、教皇ってのは国王みたいなものだったよな)
いよいよトップと対面……終わりが見えてきたのだろうか。
「支度をせよ。そして教皇様に汝らが宿す神の力をお見せするのだ」
何でもいいが、行けば良いんだろう? 今までのことを思えばヨユーだぜ!
*
(う、嘘だろ?)
俺達が案内されたのはなんとコロッセオ。しかも、観客席じゃない!
(おいおい、ここまで来てまさか見世物にされるのかよ!?)
真ん中の闘技場には俺、ドレイク、イーサン、ノーマン、イリーナの四人。相手はまだ姿を現してはいない。
「こ、こんなの聞いてないぞ!」
「まあ、いいじゃねえか。これで終わりらしいし。それよりどんな敵も俺の敵じゃない」
慌てるドレイクにテンションを上げるイーサン。何とも対照的な二人だが……
「来るなら迎え撃つのみ!」
「イリーナは聖女だからな。迎え撃つのは俺達だ」
戦う気マンマンのイリーナをノーマンが諌める。お前達、役割逆じゃないか?
「それにしても……いよいよ教義とは関係ないことをやらせるようになってきたな」
ノーマンの言う通り、今までは曲がりなりにも教義通りにするんだという理屈があった。だが、今回は教皇の命令と言うだけだ。
(まあ、大差ないようにも見えるが……)
だが、こいつには何か見えているのかも知れない。聞いてみるか。
「何か気になるのか?」
「いや、これで終わり……ってのがな。良い意味かどうか分からなくてな」
「……?」
一体どう言う意──
ドンドンドーン!
やかましい銅鑼の音が鳴り響く。いよいよか!
「頑張れよ、勇者様! 大穴狙いであんたらに有り金全部賭けたんだ!」
賭け……? 何の話だ?
(てか、今、”大穴狙い”とは言わなかったか?)
あり得ねぇよ、こいつら。
「ざけんな! もっと死んでくれよ、勇者様よぉ! 俺はあいつに賭けたんだ!」
こっちの方が酷いな……
(人の命を何だと思ってるんだよ)
何が神聖オズワルド共和国だ! 俗物だらけ、煩悩だらけじゃねーか!
「男はともかく聖女様があいつに食われるのが今から楽しみだ!」
「今回の聖女様も美人だからな……泣き顔が早く見たいぜ!」
しかも、むちゃくちゃ悪趣味な奴もいるな……こんな奴らが神の教えに従うだとかお笑い草だ。
(それにしても、”食う“だと? 相手は魔物か?)
まあ、人間相手よりは気は楽か。
ガガガ……
俺達が出てきた方とは反対側の出入り口に降りていた鉄格子が上がっていく。いよいよお出ましか。
「皆、言いたいことは色々あるだろうが、まずは戦うぞ!」
「おう!」「任せとけ!」「勿論!」「ああ」
ドレイク、イーサン、イリーナ、ノーマンがそれぞれ気合いの入った声を上げる。色々何のある奴らだが、こう言うところは頼もしいぜ!
(さて、どんな奴が出てくるか……)
何かが近づいてくる気配がする……来るぞ!
ズシン……ズシン……ズシン……
足音と共に見えたのは槍のような足先。しかも複数ある。
(蜘蛛みたいだな。タランチュラ系……しか足音からすると巨大種か?)
タランチュラ系は毒が厄介だな……とにかく分散して的を絞らせないように戦うか。
「おい、散──」
その時、急に足音が速くなり、相手が姿を現した!
(なっ! こいつは!)
蜘蛛の体に人間の上半身……何だ、この魔物は!?
「魔物……か?」
「何だ、こいつは?」
ドレイクもイリーナも知らないらしい。まあ、俺でさえ見たことないんだから当然か。
ズシンズシンズシン!
来た! とにかくやるしかない!
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