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オズの正体

 オズの導きで亡念の魔冠と対峙するのは……

「さて、色々と聞きたいこともあると思うが、とりあえず目的を果たしてしまおう。私がこうしていられる時間もあまり長くはないからな」


 オズさんはそう言うとレイアを手招きした。


「亡念の魔冠が君を呼んでいる。前へ」


 亡念の魔冠がレイアを……


(でも、レイアにはもう戦う理由がないんじゃ……)


 それに俺自身、レイアには少なくとも今は休んで欲しいと思ってる。亡念の魔冠は何故レイアを……


「無理しなくてもいいわ。別に私が行っても良いの」


 レイアが何かを言い出す前にレイナさんが前へ出た。


「多分私でも大丈夫。亡念の魔冠からすれば、第二希望かも知れないけど、私にはまだ戦う理由があるし、やり遂げたいこともあるだから……」


「ありがとう、レイナ姉さん。でも、大丈夫」


 レイアは前へ進み、オズさんと向き合った。


「いいのか? 亡念の魔冠が何を君に授けるのかは分からないぞ」


「別に毒を盛られる訳じゃないでしょ?」


「ふふふ……君は面白い娘だな」


 オ、オズさんが笑った! こんなのは始めてだ!


(それにレイアもいつも通りだな)


 レイナさんが隠していた真実を知って、混乱してるかもと思ったんだけど……


(いや、混乱してない訳じゃないか)


 けど、何も考えずにオズさんの前に出ている訳じゃない。きっとレイアなりの考えを持っているに違いない。


(なら……まあ、大丈夫か)


 俺は実はレイアが自暴自棄になってしまうことを心配していた。だって、(かたき)だと思っていた相手が実は味方で被害者だと思っていた人が義兄が加害者だったんだ。俺なら何もかも信じられなくなるよ。


「亡念の魔冠はただ与えるだけ。与えられた力や情報をどうするかは君次第。使わなかったり、忘れたり、無視したりしても構わない」


「分かったわ。ありがとう」


 レイアはオズさんに礼を言うと、亡念の魔冠の前に立った。


「亡念の魔冠に呼びかければ、コンタクトが始まる。用意が出来たら呼びかけるんだ」


 いよいよか……


「いつでも良いわよ。さあ、私に何をさせたいの?」


 その瞬間、部屋中が光に包まれた!


(レイア視点)


(……ここは)


 光が収まった後、私の前には丸いテーブルと椅子があった。


“大変な運命だな、君も。まあ、かけ給え”


 椅子は全部で十二脚。そのうちの一つにいつの間にか座っていた人が私にそう言った。


(あれ……この人……)


 言われた通りに椅子にかけながら記憶をたどる。声をかけてきたこの人、私知ってるような……


”中々新鮮な体験だ。大抵の人は君のような自然な応対はしてくれないからな“


 ……?


“なんだよ、自慢かよ!”


 更にもう一つ人影が現れる。この人達は一体……


「初対面なんだから、自己紹介くらいしたらどうだ。はしゃぐ気持がわからないではないが、毎回毎回同じことを言う私の身にもなってくれ」


 声と共に現れたのはオズ。彼はこの円卓で私と一番遠い席に座っている。


”ざっくり言うとな、俺達は魔王だ。いわゆる先輩という奴だ。俺はザイン。まあ、暇があったら覚えてくれてもいいぜ“


 ま、魔王! じゃあ、ひょっとしてもう一人も……


“正確には我らはもう魔王ではない。魔王は常に一人。それに我らは既に死しているからな。精々元魔王の亡霊といったところだろう”


“あんだよ! 俺はざっくりっただろ!“


“お前は雑すぎるんだよ、ザイン”


”あんたが細かすぎるんだろ、ニヒト“


 二人は言い争ってるけど、どこか楽しそう。じゃれ合ってるだけなのね、多分。


(それに“ニヒト”って……先代の魔王の名前じゃない……)


 魔王ニヒトの肖像画は子どもの頃に嫌というほど見せられたから、記憶にあるはずだわ。


「二人共、そのくらいにしておけ」


 オズがそう言うと、他の席から笑い声が漏れた。姿は見えないけど他にもいるのね、今までの魔王が。


「だがまあ、これで我らのことは分かったと思う。ちなみに私は初代魔王のオズだ」


 オズが魔王……しかも初代!


(ただ者じゃないと思ってたけど……)


 ていうか魔王ってこんなふうに繋がりがあるの? 何で……


「私が生きた時代も魔族は他種族から、いや世界から迫害されていた。だから私は魔都を作った。だが、それだけでは不十分だ。生きていくには居場所だけではなく、希望が必要だ。目的、目標と言い換えても良いが」


 目的……


(姉さんがいなくなった後、私に復讐という目的がなかったら何をしていただろう)


 ひたすらにレイア姉さんを、止められなかった自分を責めていたかも知れない。そうならなかったのは復讐という目的があったからだ。


「迫害される魔族魔族に希望を与えるため、私は魔王というシステムを作った。具体的には魔族の願いを元に魔王を選び、力を与えるシステムだ」


 今は自分達は魔都から出られない。でも、いつか自分達を救う魔王が現れる。そうすれば、何処へでも自由に行ける……


「だが、魔族の置かれた状況は今も昔も変わらない。いや、むしろ悪化していると言える。私のやり方は間違っていたのかも知れないな」

 読んで頂きありがとうございました! 次話は来週月曜日の朝7時に投稿します!


また場合によっては緊急でストックを投下することがあるのでまだの方は是非ブクマ登録をお願い致します(๑•̀ㅂ•́)و✧


※大切なお願い

 皆様のブクマやポイントが執筆の原動力です。「あ、忘れてた」という方がおられたら、是非御一考下さいませ( ´◡‿ゝ◡`)

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