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亡念の魔冠

 レイナさんから情報を聞いたフェイ達は魔都の奥へと進みます……

(フェイ視点)


 魔王を生んだ冠──亡念の魔冠はレイアとレイナさんが戦った墓所の更に下にあるとのことだった。


「”同志の魂よ、魔の深奥へと誘いたまえ“」


 レイナさんが詠唱すると、階段が現れた。これで下へと行くんだろう。


(しかし、連れてきて良かったのかな……)


 一緒に来たのはリィナ、レイナさん、そして……レイア。


(でも、声をかけない訳にもいかなかったしな)


 迷いつつも亡念の魔冠のことを話すとレイアはやはりというか何と言うか、自分も行くと言い出したのだ。で、それを止める言葉も思いつかず、連れてきてしまったという訳だ。


「レイナさん、辛くなったら言って下さい。ジェイドさんやフェイ兄から回復アイテムを預かってますから」


「ありがとう。辛くなったら頼らせてもらうわ、リィナ」


 リィナによれば、レイナさんはレイアと戦う前から大分無理をしていたらしい。そのため、戦いのダメージよりもその無理の反動が体に出てきているらしいのだ。


(長い間思い詰めていたんだもんな……)


 本当はゆっくり休んで欲しいが、まあ難しいだろう。何せ目的であったレイアが魔王になるというシナリオは回避出来たとは言え、今度はこんな事態だ。


(あのマイペースな師匠でさえ真面目に働いてるんだもんな)


 今日師匠が同行していないのも魔都のあれこれやイベル対策に追われているからだ。不謹慎なようだが、働いている師匠を見たのが個人的には一番の衝撃だった。


「魔都にこんな場所が……」


「魔星将でもごく一部しか知らない場所よ。今となっては知ってるのは私だけかも」


 レイアの呟きにレイナさんが答える。その会話はぎこちないが、それも今は仕方ないか。


(何せ誤解とはいえ、ずっと憎んで来た相手なんだから……)


 悪いのはレイナさんでもレイアでもない。悪いのは……


「着いたわ」


 物が何も無いだだっ広い空間にそれは浮いていた。周りを筒状の光が覆っているが、あれが結界なんだろうか。


(それにしても何ていうか……)


 何ていったら良いんだろう。厳かで、それでいて前なら知っているような。そんな不思議な感覚だ。


「もう少し近づいてみましょう。触れなければ何の影響もないわ」


 立ち尽くす俺達にレイナさんがそう声をかけられて、俺はハッとした。そうだ、もっと近づいてみないと!


 カツ、カツ……


 何も無い空間に俺達が進む靴音が響く。近づくにつれて段々と亡念の魔冠の姿が見えてきた。


(立派な冠だけど……)


 亡念の魔冠は何と言うか普通に立派な冠だった。ゴテゴテて飾られてはいないけど、素人が見ても使われている材料や技術が一級品だと分かるほど凄い品だ。


(でも、最初に感じたプレッシャーは何だったんだろう)


 この部屋に入った瞬間に感じたあれは何だったんだろう……


「今は意識がこの冠自体に行ってるからよ」


 レイナさんが口に出してない疑問に答えてくれる。


「この冠には魔都にいる魔族達の想いが集まってくる。喜び、悲しみ、希望、絶望……その他諸々のね。波長の合う人は冠から漏れ出るそれらを感じるんだけど、あなた達も感じる側みたいね」


 ……ってことはレイナさんもそうだったってことか。


「レイアは大丈夫か?」


 俺は後ろを振り替えってレイアに声をかけたが……何だが顔色が少し悪いような。


「声が……いえ、大丈夫。何でもないわ」


 声……いや、それより本当に大丈夫なのか?


「回復魔法をかけましょうか?」

「大丈夫……ありがとう、リィナ」


 心配するリィナの申し出を断るレイア。本当に大丈夫なのか?


“済まないな……多分私のせいだ”


 この声……あっ!


「どうだろう、思い出して貰えるかな」


 眼の前には輪郭しかない人の姿。そして、この声……オズさんだ!


(夢の中でしか会えないはずなのに!)


 そして、俺はオズさんから言われていたことを思い出す。俺がオズさんから助言を受けて、レイアが魔王になる未来を変えようとしていたこと。そして……


「この空間は私のいる魔都の中心部に近いからな……こうして出てくることが出来る。まあ、出てこないと君たちに構おうとする亡念を制御出来ないというのもあるが」


 オズさんはそう言うと、レイナさんの方を向いた。


「辛い役目だったが、よくぞやり遂げたな」

「全ては私が望んだこと。ご助言感謝します」


 労うオズさんにレイナさんは頭を下げる。二人は知り合いなのか。


(って言うより、俺みたいにオズさんの助言を受けていたのか!)

 読んで頂きありがとうございました! 次話は来週月曜日の朝7時に投稿します!


また場合によっては緊急でストックを投下することがあるのでまだの方は是非ブクマ登録をお願い致します(๑•̀ㅂ•́)و✧


※大切なお願い

 皆様のブクマやポイントが執筆の原動力です。「あ、忘れてた」という方がおられたら、是非御一考下さいませ( ´◡‿ゝ◡`)

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