二人の決着
レイアとレイナの死闘……その結末は!?
(レイア視点)
ガキィィィィン!
最後の一撃……二人共それはシンプル極まりない一撃になった。スキルも魔力も魔剣の力も無しのただの斬撃。だけど、二人とも紛れもない全力。だから……
(これは……)
二人の剣が交わった一瞬に伝わってきた想い。それは……
(私を……守りたいってこと?)
意外過ぎる事実に戸惑う私に流れ込んで来たのは……
「ガッ……」
剣は交わり、そしてオスクリタが競り勝った。与えたダメージはさほど大きくない。けど
もう限界だったのだろう。レイナは膝をついた。
(……そうか。そう言うことか)
レイナから流れ込んで来たのは、彼女が一人で抱え込み、無かったことにしたかった事実。私は遂にそれを知った。
「……何故私だったの?」
「分からない。けど、力に適合しやすいからとかそんな理由じゃないかしら。私だってかなりの力を手にしたわけだし」
「そう……」
まあ、それはどうでもいい。大事なのはもっと別なことだ。
「さあ、決着をつけましょう」
レイナが立ち上がった。
「もう分かったでしょう? 私がレナードを殺したのは事実。だから、私は間違いなく貴方の仇」
レイナの手に剣はなく、ただの私に向き合っているだけ。決着とはつまり、殺せということ?
(でも、確かに決着はつけないとね)
全てを理解した今、私はレイナに何かを伝える必要がある……そんな気がした。何故なら……
(レイナ自身がそれを望んでる……)
私はオスクリタを構え、レイナに向き合った。
(私が思う私達の決着……それは)
私は力一杯地面を蹴った!
ブンブンブン……ザク!
私の手から離れたオスクリタが孤を描き、地面に刺さる。そして、私はレイナを力一杯抱きしめた。
「レイナ姉さんの馬鹿! 何で一人で抱え込んで……一人で悪者になるのよ!」
義兄……いえ、レナードは私を狙ってレイナ姉さんに近づいてきた魔星将だった。婚約に乗じて私を攫おうとしたレナードを止めようとした両親は返り討ちに。それを知ったレイナはレナードを殺した。
(私を……守るために)
そう。レイナは私を守るためにレナードを殺し、私が両親の死を自分のせいだと思わないように自分が罪を被ったのだ。
「確かに馬鹿ね……貴方はこんなに強いのにね」
※
(フェイ視点)
リィナが〔龍幻術〕による結界を解くと同時に俺は治療に入った。まあ、できる限りのことは結界を解く前からしていたのだが、やはり回復魔法は生身の体でないと効きが悪い。
「まだ……終わりじゃないわ」
「駄目です、まだ動かないで下さい!」
傷がある程度癒えるとレイナさんはリィナの制止を振りきって立ち上がろうとし始めた。
「魔王の復活を止めないと」
「「「魔王の復活!?」」」
何……一体どういう……
「元々私が魔都に来たのは魔王復活に必要なあるものを破壊するため。勿論、他の魔星将は逆だと思ってるけど」
「魔星将の魔王復活計画ってどれくらい進んでるんですか?」
リィナの問いにレイナさんは淡々と答えた。
「もう最終段階よ。だから、私がここに来たの。でも、魔星将の本当の目的は──」
ドッカーン!
レイナさんの言葉を突如鳴り響いた轟音がかき消す。一体何だ!?
「来たわね……」
レイナさんが睨みつける先には二つの人影……しかも
(な、何てプレッシャーだ!)
これはユベル戦のレイナさんと同じかそれ以上……
「おやおや……君ともあろうものが不覚をとるとは。世の中分からないものだな」
「………」
片方は芝居がかった身振り手振りをしながら喋るが、もう片方は黙ったままレイナを見つめている。
(一見隙だらけだが、全く手出し出来ない……)
悔しいが、今の俺では全く太刀打ち出来そうにない相手だ。
「気をつけて。私と同じ最高幹部クラスの魔星将よ」
最高幹部……道理で。
「まあ、不覚の言い訳は後で聞かせてもらうとして……後はひきついで良いかな。依り代もいることだし、後々のことを考えると場所も都合が良い」
何だ、こいつ何を言って……
「魔星将の……いえ、この二人の本当の目的は魔王の復活じゃなくて抹殺。魔王の力を奪い取るのが本当の狙いなの」
なっ、何だって……!
「そ、そこの子に魔王になって貰って俺達が殺す。そうすれば俺達が魔王の力を手に出来るってわけ」
お喋りな魔星将はそう話しながら手にした巨大な鎌をレイアに向けた。
(魔王の依り代って……レイアのことか!)
ってことはこいつらはレイアを殺す気か!?
(そうか……レイナさんはこいつらからレイアを守るために魔星将に……)
つまり、こいつらが全ての元凶ってことか……
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