〔黒炎刀陣〕
遂にレイナが本気を見せる!?
レイナの周りに現れた黒炎が燃え盛る。が、黒い何かが覆った次の瞬間、それらは急速に縮み始めた。
(あれは何だ?)
”レイナさんの魔剣が放つ黒炎を重力で圧縮してる! あれは危険だよ、フェイ兄!“
リィナの警告はレイアにも伝わってるはず。が、レイアの構えには微塵も隙が生まれなかった。
「私のスキルと魔力を合わせた技〔黒炎刀陣〕、受けてみなさい!」
縮んだ黒炎はダガーのように細く、小さくなっている。パッと見たところ大したことがない技に見えるが……
ヒュン! ヒュン! ヒュン!
風切り音!?
ドッカーン! ドッカーン! ドッカーン!
レイアの周りで凄まじい爆発が起こる。な、何だこの威力は!
“圧縮された黒炎が相手にぶつかる瞬間に開放されて、大爆発するみたい。見た目が小さいからって……ううん、小さいからこそ危険ね”
小さいから見逃しやすいのに威力は無茶苦茶ってことか。何て技だ!
「凄い技ね」
爆発した黒炎の生み出した煙が消えて現れたレイアは無傷……オスクリタの力か。
「でも、受け止めて見せる。あなたの全力、完璧に受け止めてみせるわ!」
※
(レイア視点)
分かる……レイナの考えが。
(最初に放たれた〔黒炎刀陣〕は牽制でなく、警告。この技の危険性を私に分らせるための)
その証拠に三発とも私に何の影響も与えない位置に打ち込まれていた。
(そして、この奥の手を切らざるを得なかったのは……追い込まれてるから)
レイナが劣勢だと言う訳じゃない。レイナは私が疑っていることに焦っているのだ。だから、何かを考える余裕を無くすためにこの技を使った……恐らく危険過ぎて切るつもりがなかった切り札を。
(つまり、どうやっても隠し通したい秘密ってことね)
なら、私がすべきことは一つだけ。
(レイナを倒す。そして、私の力を認めさせる)
レイナが思うような守られるだけの子どもじゃないってこと。そして、全て自分一人で背負い込まなくてもいいんだってことを証明しないと!
「凄い技ね」
流石レイナ。自分の持てる全ての力を生かした凄まじい技だ。
「でも、受け止めて見せる。あなたの全力、完全に受け止めてみせるわ!」
そう……私はもう子どもじゃない!
ダッ!
私は駆け出した。さっきの技の弱点は威力が高過ぎること。近づいてしまえば、おいそれと使えないはず!
「速い……けど、甘い!」
レイナにオスクリタを振るう瞬間、私の体は後方へと吹き飛ばされる。これは斥力!
「魔力を反転して止める力ではなく、弾く力を生む………貴方に出来ることが私に出来ないと思ったの?」
失望したような声と共に黒いダガーが飛んでくる。でも……
(甘いのはあなたよ、レイナ!)
私はオスクリタの重力で体を無理矢理片足を地面へと押しつける!
(片足じゃ踏ん張れない……飛ばされる速度を落とせても後ろに下がるのは止められない……普通なら)
でも、私にはアドンから託された力がある。足の指一本でも加速出来る〔竜剣同化〕の力が!
ビュッ!
再びレイナに肉薄すると同時に振るったオスクリタをレイナは何とか防御する。その表情には少なからず驚きがあった。
「ふぅん、予想通りってこと?」
「簡単には行かないってだけよ、レイナ」
ドッカーン!
私がかわした〔黒炎刀陣〕が背後で大爆発を起こす。やはり自分と距離がないと発動できない技みたい。
「そう……でも、こんなことも出来るんだけど」
三本の〔黒炎刀陣〕が薄く広がりレイナの魔剣を覆う。まさか……
「これはどう!」
ブン!
私はレイナの斬撃をかわすために反射的に後退してしまう。しまった、距離が……
シュッ!
まるで矢のように黒いダガーが飛んでくる!
(……かわせない!?)
流石レイナ。私が飛び退いた瞬間を狙った攻撃。足は完全に止まっていて、この瞬間には動けない……
(でもっ!)
私の獣が教えてくれる。このピンチからの逃げ方を……
スッ!
私はオスクリタに斥力を発生させ、撫でるように黒いダガーに沿わせる。すると……
クン……
ダガーの軌道が僅かにズレる。が、そのせいで二本のダガーは僅かにぶつかった。
ドドッカーン!
限界まで圧縮された黒炎はその些細な衝撃で大爆発を起こした!
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