真相は……
レイナさんから語られる真相にフェイ達は……
(フェイ視点)
「つまり、私はレイアから家族を殺し、憧れを奪い、踏みにじった女なの。レイアが……いえ誰から憎まれても当然の人間なのよ」
やはりそうなのか。
「分かったかしら。だから、貴方達も私を憎み、全力で殺しに来なさい。じゃないと、死ぬのは貴方達よ」
そう言って踵を返したレイナさんは“明日まではここで待つわ”と言い残して姿を消した。
”……うむ、えらいことを知ってしまったの“
“レイア様が可愛そうです”
二人が口にしたそれぞれの感想……確かに俺もそう思う。
「魔族にとって魂というものは決して汚してはいけない神聖なものらしいわ。それを切り刻むというのは確かに許されざる罪……なのかも」
俺も師匠に聞いたことがある。何でも魔王は同胞の魂に応えて復活すると言われているらしく、遺体は墓地に埋葬し、魔王復活の導きとなるのが理想らしい。
(魔族が魔都を離れたがらないのは、他種族からの迫害以外に確実に魔都に埋葬されたいからって言う理由もあるって師匠は言ってたな)
まあ、そんな理由がなくても魂を切り刻むってのはやり過ぎだろう。自身で言う通り憎まれて当然なのかも知れない。
※
それから俺達は一端師匠の家に帰り、レイナさんに会ったことを話した。迷ったが、レイアにも全て話したが、居場所を見つけたことに礼を言われただけだった。
(どうしたんだろう……何か心此処にあらずって感じだけど)
もっと正確に言えば、別のことに気を取られているって感じだ。
「バフは戦いが始まると同時にかけるね。後、やっぱり周りに被害が出ないほうが良いんですよね?」
「墓所はな……」
「レイナさんの反応は分からないですけど、戦う前に結界を張ってもいいか聞いてみましょう。レイナさんも魔族だし、墓所は壊したくないはずですし」
確かに……でも
”壊したくないなら何でそんなとこで戦うんじゃ?“
“レイナさんも結界を張る術を持っているのかもしれないですね。或いは私達を魔王復活の木糧にするつもりかも”
”なるほど……それなら一石二鳥じゃな“
“……変なところに感心しないで、ネア”
二人がいつも通りだな。でも……
「レイアさんは何か確認しておきたいことはありますか?」
一通り作戦を確認した後、リィナはレイアにそう話を振った。というのも、いつもと様子が違うのだ。
(話は聞いている、よな)
なら何が違うかと言うと……異様に静かなのだ。
(いつものレイアなら、暴走しかねないくらい前のめりであってもおかしくはないのにな)
だが、今は落ちついている。憎んでいた仇と明日戦うというのに……
「いえ……完璧な作戦をありがとう、リィナ。託宣の聖印のことも分かった。おじいちゃん、フェイありがとう」
「いえ……」「ああ」「ふむ」
感謝を述べたレイアに俺達は戸惑いを隠しきれなかった。それくらいレイアの言動はらしくなかったのだ。
「それで、お願いがあるんだけど」
ん? お願い?
「ここまで巻き込んでおいて申し訳ないんだけど……最初の一太刀は私にやらせてもらえないかしら。後はリィナの作戦通りで構わないから」
最初の一太刀だけ……自分で口火を切りたいってことか?
「私は構いませんけど……フェイ兄は?」
「俺もそれで良いよ」
俺とリィナの何かを聞きたげな視線に気づいたのだろう。レイアは薄く笑った。
「特に理由はないわ。ただ、戦う前に確かめたいことがあるだけだから」
※
作戦会議の後は就寝。明日決戦ともなれば睡眠は必要を通り越してもはや義務とも言える。が……
(……眠れない)
そして焦ると余計眠れない。ミアとネアも心配してくれるのだが、どうしても……
(庭に出てみるか)
布団で悶々としていても埒があかないしな。
ガラ……
部屋のドアを開けると、月の光が目に入る。
(今夜は三日月か……綺麗だな)
そんなことを思っていると不意に声がかけられた。
「珍しいわね。眠れないの?」
レイアか。
「眠れないって程ではないけど。レイアは?」
「私はちょっとだけ月を見たくて」
そう言うレイアの横顔は綺麗過ぎるほど綺麗で現実感がない。
(一体どうしたんだろう……)
だが、どうやって聞いたらいいか分からない。今のレイアからはそんな危うさを感じる。
「いよいよ明日ね」
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