見守り
レイアと明日会う約束を取り付けたフェイはジェイド師匠の家へ戻ります。
「今日は本当に色々あったな……」
師匠の家に戻ってからは飲めや歌えの宴会。で、男勢は俺、女性陣はリィナを囲み、あれやこれやの質問責めにあった。
(まあ、師匠は肝心なことを話さないからこっちに役目が回って来る訳だな)
しかも、話しているうちに俺達にも関心を持ってきたみたいで話がどんどん膨らみ、中々帰してもらえなかったのだ。
“まあ、マスターのお力や実績を考えれば当然ですが……マスターの事情も考えて欲しいものです”
ちょっと怒った顔でそう呟くミア。けど……
(……そんな顔も可愛いな)
”!!!……“
あれ、伝わっちゃった?
“あ、ありがとうございます”
”これ、マスター。ミアが照れて引っ込んでしまったぞ“
ネアか。悪いな。
“全く……マスターの不意討ちは無自覚じゃから始末におえんな”
不意討ち……? なんのことだ?
(そう言えばニアの様子はどうだ?)
”相変わらずじゃ。まあ、ミアとは仲良くやっとるようじゃが“
ユベルから奪い返したネアの同族、ニアはネアと違い、感情の起伏が緩やかで今一つ何を考えているのかが分かりにくいようだ。まあ、性格は人それぞれはだしな。
(まあ、ミアが頑張ってくれてるならひとまず任せてみよう。ネアも見守りありがとうな。助かるよ)
“正直妾は何も出来ておらんが……”
(少し距離を置いた位置から見えることを教えてくれると助かるよ。今はミアが主役だから、俺達はいつでもサポート出来るようにしておかないとな)
そう、こう言うのはタイミングだ。そう言う意味でネアが果たしてくれている役割はかなり大きい。
”そうか……なら頑張らんとな。ありがとうなのじゃ、マスター“
(こっちこそいつも助かってるよ、ネア)
本当に皆良くやっ……は、はわわ
“そろそろ休んだ方がいいな、マスター”
(だな……ちょっと今日は色々あり過ぎたしな)
”そうじゃな……まあ、まだ終わっとらんというのが申し訳ないのじゃが“
ん?
“とにかく寝るのじゃ! じゃないと始まらん!”
一体なんなんだ……? でも、流石にもう限界……
※
眠りに落ちた瞬間、俺は全てを思い出した。
(そうだ、俺は!)
初めて歩く魔都で迷わなかったり、レイアの居場所が分かったりというのは全て事前に教えてくれた人がいたからだ!
”ご苦労だったな、戦士フェイ“
人の形をした光が現れ、そう声をかけてくる。輪郭すら曖昧なその姿のせいで顔はおろか性別さえ分からない。
(この人が魔都の結界になった人だったな)
リーマスの結界のように人が礎になっていることには驚いたが……どちらも師匠が作ったものなら当たり前かもしれないが
(あの結界はルーカスさんかクラウディアさんのスキルだと思っていたんだけど、違ったんだな)
まあ、俺もリィナもそれらしいスキルを覚えてないから変だとは思っていたけど。
“あなたの助言のおかげです、オズ様”
”様はいらん。それに私は大したことはしていない“
そうかな? レイアの居場所は俺達だけじゃ分からなかったと思うけど。
“レイアの説得、見事だった。これで未来を変えられる可能性がかなり高まった”
魔都の結界になっているオズさんはどうも少し先の未来が見えるらしい。魔都に入る際、オズさんはその未来を変えるために協力して欲しいと頼まれたのだ。
(他人事じゃないからな……)
オズさんの見た未来とは、レイアが一人でレイナさんと戦い、敗れたために魔王が復活するというもの。何故レイアが負けることで魔王が復活するのかなどと言った詳しいことは分からない。が、実現させる訳にはいかない未来だ。
”これでレイアが一人で戦う可能性はほぼなくなった。欲を言えば、レイアをレイナと戦わせたくないのだが……それは無理だろうな“
“そうですね”
例え全てを話してもレイアが止まることはないだろう。今のレイアにとっては復讐が自分の全てなんだから。
”次はオスクリタだ。あの魔剣の真の力を解き放つのだ“
オスクリタの真の力……
(まだ隠された力があるのか?)
レイアの魔剣、オスクリタは今まで通常の魔剣では考えられない力を発揮してきた。なのにまだ隠された力があるのか!?
“私が見た未来ではレイナがレイアにオスクリタの真の力を引き出せていないと嘲る場面があった。未来を変える次の鍵はおそらくあの魔剣だ”
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