質問
あけましておめでとうございますm(_ _)m
今年もよろしくお願いします!
(フェイ視点)
「……とまあ、儂が知っとるのはこれくらいじゃ。つまり、肝心なことは何も知らん」
「いえ、そんなことは」
と口にはするが……
(こりゃ、何も出来ないよな)
師匠が今までそっと見守るしか出来なかったのも頷ける。
「他に聞きたいことはあるか?」
「後は……」
魔都でレイアを探すあての有無や魔都での注意事項等を聞がなきゃな。
「……とこんなとこかの。他になければ、魔都への入り方を説明するぞ」
「よろしくお願いします」
魔都への入り方とわざわざ断るくらいだ。何か特別な手段が……
「と言って何かをする必要はない。強いて言えば、あまり構えないことじゃな」
「……?」
俺が首を傾げると、師匠はカッカと声を出して笑った。
「いや、何。魔都には結界があっての。魔族に敵意を持つものは入れないのじゃ」
なっ……
「魔都は魔族の隠れ家じゃからな。当然じゃろ。だが、それだけじゃ。実際に中で何をしてもどうのこうのなるわけじゃないが」
つまり、入口で敵意のあるものを弾くだけで、中で悪さをしても結界は何もしないということか。
(じゃなきゃ、レイナさんは行動前に魔都から追い出されてるし)
というか、レイアは入れるのか? レイナさんだって魔族だし。
「リーマスの結界に何処か似てますね」
確かにリィナの言う通り、立ち入りだけを制限する辺りはそっくりだ。後、条件が曖昧なところも。
「そりゃそうじゃろ、どっちも儂が創ったんじゃから」
「「!!!」」
驚く俺達の顔を見て、師匠は再びカッカと笑い声を上げた。
「まあ、その話はまた別の時にな。儂も長生きしとるから色々あったということじゃ」
色々……いや色々しすぎでしょ、師匠!
「とにかく行くぞ。時間があまりあるわけじゃないからの」
確かに……って押さないで下さいよ、師匠!
(別に門とかがあるわけじゃないな)
師匠に押されて進んだ先には何もない空間だけ。強いて言えば、文字がびっしりと書かれた石碑が一つポツンと立っているが……
「あ、そうじゃ」
急に何かを思い出したように師匠がそう呟いた。何の邪気もなく、ただ単に今思い出したようなその様子だが……
(これ、ヤバイな)
しかし、俺に為すすべはない。結果、石碑を越えると同時に師匠の声が耳に入った。
「魔族以外の種族はあれこれ質問されることもあるらしいから気をつけての」
え!? それ早く言ってくださいよ、師匠!
※
結界を抜けた先に広がっていた魔都は美しい街だった。
(結構賑わってるな)
地下にあるから勝手に暗いイメージを想像していたんだが……
(あ、そういや地下にあるのは入口だけで街自体は地上にあるって言われたな)
なんでも他種族から追われた魔族がいつでも逃げ込めるように入口があちこちにあるとかで……誰に聞いたんだっけ?
(あ、結界を通る時に教えてもらったんだっけ)
他にも色々……で、俺は何か約束をして……
「フェイ兄! どうしたの?」
急に立ち止まった俺に先を行くリィナが声をかけてくれる。
(何してんだ、俺!)
今は先を急がないと! 早くレイアを探さないと行けないんだ!
「びっくりしたんじゃろ、フェイ。まあ、最初に来た者は大体そうじゃからな」
ジェイド師匠はちょっと自慢げだ。それもそのはず。だって──
(あ、何でだっけ……ってそれよりレイアだ!)
思ったより大きく広い街だ。一刻も早く捜索を開始しないと!
「とにかく宿を探して早速レイアを探しましょう」
「宿の宛ならある。儂について来い」
そうして連れてこられたのは周りと比べて一際立派な家。ここが宿?
「おう、帰ったぞ」
師匠がまるで自分の家に帰ったらかのようにそう一声かけると……
ダダタダ……
奥の方から誰かが全力疾走する音が聞こえてきて……
「ジェイドだ! 本当にジェイドだ!」
奥から走ってきた男の魔族が驚いた声を上げる。すると、あちこちから次々と足音が聞こえてきて……
「うお! 生きていたのか!」
「何十年ぶりだ?」
「久しぶりだってのに先触れなしか。相変わらずだな」
集まって来た魔族がジェイド師匠の顔を見るなりあれこれと騒ぎ出したのだが……
「すまんが、用事があるから後にくれんか?」
師匠がそうボヤくが、誰も聞いていない。結局、その騒動が落ちつくまでにまあまあな時間が費やされることになった。
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