これから
今年も今日で最後……この忙しい日に読みに来て下さりありがとうございますm(_ _)m
(リィナ視点)
ユベルと戦ってから数時間、私達はひたすら歩き続けた。
(レイアさん、大丈夫かな)
まず心配なのは体のことだ。レイアさんはユベルとの戦いで負った怪我の治療が出来てない。あのまま動き続けるなんて自殺行為なのだ。
(レイアさんは何かと無茶するし……)
加えて、多分今のレイアさんは冷静じゃない。無理もない。今まで追っていた敵が眼の前に現れたんだから。
(それにしても、追っていた敵がまさか実のお姉さんだなんて……)
血が繋がっていることは一目見れば分かる。そんな二人に一体何があったんだろう。
(しかも、お姉さんは魔星将……)
謎だらけの存在、魔星将。分かっているのは魔王復活を目的としているらしいってことと圧倒的な戦闘力を持っているってこと。そして、何故か私達人間に害をなすような行動をとっていることだ。
「間もなく入口じゃ。この辺りで一旦休憩しようかの」
「分かりました、師匠」
そう言うとフェイ兄は手際よく準備を始めた。勿論私も手伝う。
パチパチ……
程なく火がつき、辺りに暖かな光と音が満ちる。おかげで大地の裂け目の奥は暗く寂しい洞窟から少し落ち着ける空間になる。
「ありがとうな、フェイ。ふぅ……疲れた疲れた」
ジェイドさんはそう言うが、あまり疲れた様子はない。流石というか何と言うか。
「新しいレベル封じの宝玉は問題ないか、フェイ」
「はい。ありがとうございます、師匠」
フェイ兄が以前から持っていたレベル封じの宝玉はユベル戦で完全に壊れてしまっていた。だから、今フェイ兄が持っているのは例の砂漠の紅薔薇を元に作られた新しいレベル封じの宝玉だ。
(私達に合流する前に聖獣様の所に寄って分けてもらったらしいけど……まるでフェイ兄の持っていたレベル封じの宝玉が駄目になるって分かっていたみたい)
勿論、強敵との戦いで駄目になるかもしれないという推測は当然なんだけど、タイミングが良すぎると言うか……
「ここから先は魔族都市……安心して話が出来るのはここまでじゃ。何か聞きたいことはあるかの?」
勿論ある。いっぱいあるけど……
「師匠、レイアの過去について教えて下さい。話せる範囲で構わないので」
そう、まずはレイアさんについて!
(それにレイアさんの話は全てに繋がっているし)
レイアさんの過去と関わりがあるお姉さんは魔星将、そして多分魔星将となった理由もそのことと関わりがある可能性が高い。
「……そうじゃの。まぁ、儂も全てを知ってる訳じゃないのじゃが」
ジェイドさんはそう言うと普段より少しトーンを落として話し始めた。
「話はそう……レイアの姉、レイナの婚約にまでは遡る」
五年前、クラスを授かると同時にレイナさんはある魔族の男性と婚約をした。
(クラスを授かるのと同時に成人と見なされるのは魔族も同じ、か)
ちなみにこのタイミングで婚約し、準備ができたら結婚というのは良くあることらしい。で、相手の男性はレイナさんの幼馴染み。レイアさんもよく懐いていたという。
「仲の良い姉妹じゃったせいかの……レイアも最初は浮かない顔をしておったが、直ぐにレイナを祝福してくれた」
長命故に子どもが少ない魔族にとって、若者の結婚はこの上なくめでたいことらしく、二人の婚約を街中の魔族が祝福した。
しかし……
「じゃが、ある日レイナは婚約者とレイナの両親を殺し、姿をくらませた」
………
「レイナは兄のように慕っていた義兄や心から愛していた両親を殺したレイナを激しく憎み、復讐を誓った。そして、リーマスにいた儂に弟子入りするために魔族都市を出た」
魔族は他種族からの風当たりが強い。混血とは言え、住み慣れた魔都を出て人間の街へ出るのは相当な覚悟だ。
「何故そんなことをしたのか……それは儂にも分からん。だが、レイナは婚約者もレイアも本気で愛しておったと思う」
愛した人を手にかける……そんなことって
(私ならそんなこと、考えられない)
でも、そんなことがレイアさんの目の前で起こってしまったんだ。
(でも……レイアさんは正しいのかも知れない)
どんな事情があってもレイナさんのしたことは正しいとは言えない。愛した人が間違ったことをしたら……やっぱり止めるべきなのだろう。
(だけど、姉妹で殺し合うなんて……)
そんな悲しいこと、私はレイアさんにして欲しくない……でも
(私、レイアさんにどう声をかけたらいいの……)
分からない。例え期日までにレイアさんを見つけたとしてもどうしたらいいのか……
(どうするの、フェイ兄……)
読んで頂きありがとうございました! そして今年もお世話になりましたm(_ _)m
次話は明日、元旦の朝7時に投稿します! 来年もよろしくお願いしますm(_ _)m
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