天国か地獄か……
興味を持って頂きありがとうございます!
微エロ回です。苦手な方はブラウザバックを推奨します。尚、飛ばしても先の展開には影響ありません。
事件はまたまだ収まりそうにありません……っ!
「リィナ! 大丈夫か!」
家に帰るなり、俺はリィナの部屋に直行した。返事がなかったので、そっとドアを開けて様子を窺うと……
(寝ている……良かった)
俺はリィナの額に手を当てて、体温を測った。
(大分高いな……)
だが、しばらくすると体が冷えるようだから、何か温かいものを作っておくか。
グツグツ……
作ったのは温めた牛乳にパンを浸した粥だ。少し砂糖を入れて食べやすくしたこの粥が風邪を引いた時の定番メニューなのだ。
「よし、こんなものか」
ゴソ、ガタ、ガタガタ!
リィナの部屋からだ。起きたのかな?
(少しよそって持って行ってみるか)
俺は皿に出来立ての粥を入れ、俺はリィナの部屋の扉をノックした。
「お……お兄ちゃん、私……寒……い」
「リィナ!」
俺は粥を落としそうなスピードでリィナの元へ駆け寄った。
「リィナ! 大丈夫か? 明日には薬が貰える。だから、今はこれを食べて温まるんだ!」
「これ……お兄ちゃん……が?」
「ああ。だから食べてみろ。温まるから」
「うん」
リィナはスプーンを持ち、粥を掬おうとするが、寒気でうまく掬えない。
「ほら、口を開けて」
「!」
俺がスプーンを取って口元に運ぶと、何故かリィナは赤くなったが……何でだ?
「うん。お願い、お兄ちゃん」
リィナはそう言うと口を開ける。
(!!!)
が、甘えるように口を開ける仕草が何か色っぽい。確かにこれは妙に気恥ずかしいな。
(やめろ! 意識するな! これは看護。そうだ! 正しく看護なんだ!)
弱ったリィナが甘えてくる可愛さから目を背けるという難題を俺は見事耐えきり、何とか皿は空になった。
「どうだ?」
「ありがとう、お兄ちゃん……」
そうは言うが、顔色は悪いままだし、悪寒は止んでない。
(何か温まるものは他にないか……)
そう考えながら立ち上がろうとした俺を突如リィナが引き止めた。
「やだ!」
え!?
「……どこにも行かないで」
俺の手を握るリィナの手は冷たく弱々しく。体と共に心も弱り、心細いんだろう。
「すぐ戻ってくるよ。俺の毛布を──」
「お兄ちゃんがいい」
へ?
「私、お兄ちゃんに温めて欲しい」
え、え―っとそれはどういう?
だが、上目遣いで縋るように訴えてくるリィナの可愛さはドラゴンでさえ言うことを聞いてしまうレベル。拒否するなんて有り得ない。俺は毛布を持ち上げ、リィナのベッドに入った。
「もっとこっちに来て」
隣にいれば良いのかと思いきや、それじゃ駄目らしい。俺が躊躇いながら近づこうとしていると、リィナはモゾモゾと移動し俺の背中に手を回した。
「!」
「温かい……」
リィナはそう言うと更に体を密着させる。もしかしてこの柔らかい感触は……
(駄目だ! 余計なことは考えるな!)
だが、誘惑は他にもある。鼻孔をくすぐる甘い香りに絡められた足の滑らかな感触。ヤバい……五感の全てから俺の鋼の自制心を粉々にしかねない情報が──
「……お兄ちゃんもしっかりギュッとして」
俺は暗示にかかったかのように言われるがまま、リィナの腰に手を回した。
(細い……そして……)
駄目だ! 何も考えるな!
「……おやすみ、お兄ちゃん」
これは天国なのだろうか、地獄なのだろうか。だが、そのどちらだろうと俺に出来るのは一つだけだ。
「おやすみ、リィナ」
※
(ほぼ一睡も出来なかったな)
窓から差す朝日を見ながらそう思う。が、それは俺の長く険しい荒行の終わりをも意味している。
(グッジョブだな……俺の自制心)
まあ、流石に危ない場面もあったが、終わりよければ何とやらだ。
(ベッドから出て、リィナを起こすか)
このまま顔を合わせるのはマズイしな……
「んっ……」
しまった! 体を動かしたせいでリィナが起きてしまった!
「おはよう、お兄ちゃん……」
リィナはまだ寝ぼけているらしく、あくびをしながら起き上がる。が、徐々に記憶を取り戻し……
「ごめん、お兄ちゃん! 私昨日……」
そう言って顔を赤らめながらリィナは寝間着の乱れを直す……ヤバい、可愛いすぎる。甘えてくるリィナも可愛かったが、恥ずかしがっているリィナも可愛い……
(駄目だ! これ以上、ここにいちゃ駄目だ!)
俺は本能的に自分の自制心の敗北を悟った。何せ一晩中戦った後にこの不意打ちだ。これは逃げるわけじゃない。そう、戦略的撤退だ!
「朝ご飯の支度をして来るよ。リビングに来れそうなら来てくれ」
俺はそう言ってリィナの部屋を出た。
次話は……どうなる!?
明日の朝7時に投稿します!
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