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仁義

 卑劣なユベルの脅しにフェイはどうする……!?

「俺を結界に捕らえたから安心だとでも思ったのか? くくく、んな訳あるか!」


 ユベルの声と共にレイアを捕らえた壁が不気味な点滅を始める。これは一体……


“これはまさか……”


“うむ。こやつ、この大地の裂け目を破壊するつもりじゃ”


 なっ……


「どうする、男爵? ここが爆発してもこの結界にいるお前は助かるかもしれん。が、あの女や龍人族は助からん。それでも俺を殺すか? あん?」


 こいつ、まさか最初からそのつもりでここを戦場に選んでいたとでも言うのか!?


“フェイ、いいからそいつに止めを! どうせ、そいつが約束を守る保障なんてないんだから!”


 レイア……


「煩いぞ、女!」


“がっ!”


 ユベルが壁の形を変え、レイアに猿ぐつわのようなものをつける……くそ、ユベル! 卑怯だぞ!


「さあ、どうする男爵!」

「くっ……」


 こんなの初めから答えなんて決まってる。俺が聖剣の切っ先を下げるとユベルは口元に笑みを浮かべた。


「くくく……だよな、だよな!」


 ユベルの元に〔クロスディバイド〕でバラバラにしたヤツの体の破片が集まり、くっついていく!


(再生か? ネアが傷口を焼いたはず……)


“ありえません! 〔クロスディバイド〕で境界を設定したはず。元からないものを再生するなんて真似は最早神の領分です!”


“落ち着け、ミア。あれは再生ではない。〔合成〕でくっつけただけじゃ。お主が体の境界をどう設定しても異物をつけることはできるじゃろ? つまりはそういうことじゃ”


 つまり、ヤツの回復は形だけということか。


「……チッ、腕が動きにくいな。男爵、お前何をしたんだよ」


 ユベルがぎこちない仕草で右の拳を握ったり開いたりしている。やっぱりネアの言うことは正しいみたいだな。


「くそ……魔星将たるこの俺に対する無礼、絶対許さん。礼は後でたっぷりするとして……とりあえず」


 ユベルの拳に闇属性の魔力が宿る。あれは〔コラプサーズエンド〕の劣化版か?


「とりあえず憂さ晴らしをさせてもらうか……分かってると思うが、かわすなよ?」


 くっ……


“駄目です、マスター! あれは危険です!”


“今からでも遅くない! トドメじゃ。何なら妾が!”


 駄目だ……俺には自分のために仲間を犠牲にするなんてことは……


「俺をこんな目に合わせやがって……この人間風情が!」


 ユベルが拳を振りかぶ──


 ドス……


 その瞬間、聞いたことがない音がした。加えて、ユベルの動きが止まっている。そして何より──


(ユベルの胸に……手?)


 いや、手刀だ。だが、どう形を変えたとて手で体を、しかも魔星将の肉体を傷つけるなをなんて真似が出来るはずが……


「だからお前は下劣だというのだ、ユベル」


 女の声……しかもこれは……


「ぐ……貴様っ、裏切るのか?」


「裏切る? お前と私は仲間だったことがあったか? 私はお前を魔星将とは認めてない」


 え、じゃあ、ユベルを刺したのは魔星将? 


(でも、この声は──)


 似てる。口調はまるで違うが、聞けば聞くほど確信できる。


(けどまさか……)


 いくらなんでもそんなこと……


「お前のやり方は目に余る。魔王様の名をこれ以上汚す前に死ね!」


「が、がががッ!」


 ベコン

 ベコベコン!

 ベコベコベコン!


 ユベルの体が見えない力で押し潰されるように小さくなっていく。一体どうやればあんなことが……


“恐らくユベルの〔コラプサーズエンド〕と同じ力じゃ。あれをやつの体内に発生させているのじゃろう……”


 な、何だって!


(ユベルの切り札をあんなに簡単に使うなんて……本当に相手は同じ魔星将なのか?)


 まだ顔も見えない相手だが、敵なのは間違いない。ユベル相手でさえここまで苦戦したのにさらに強い奴がいるなんて……


「……ふぅ」


 ユベルの体が跡形もなく消え去ると、つけていた鎧は地面に落ちた。


(顔は……やっぱり見えないな)


 ユベルの体で隠れていた体はフードのついた外套で覆われている。細身だな……女性か?


「さて……」


 ズン!


 腹の底に響くような音と共にリィナの結界が解ける。そして、そこには……


「クロードさん! それに龍人族の戦士達!」


 大地の裂け目を覆っていた水晶は消え、代わりに封じられていた龍人族が解放されている!


「勘違いするなよ。私は下衆と同じになりたくないだけだ。人間相手に仁義を曲げるなどもってのほか」


 ………


「じゃあ、私は行く。後は好きにしろ」

「……俺とは戦わないのか」


 何故そんなことを言ったのかは分からない。……いや、俺は確証が欲しかったんだろうな。


「何故だ? これは君とユベルの戦いだろう? ……まあ、我慢しきれなくなって横槍を入れたのは私だが」


「……名を聞かせてもらえませんか?」


 ぴく……


 フードの人物がまるで動揺したように動きを止めた。


「名を教える理由がないな」

「理由なら──」


 その時──

 突如現れた人物の正体はまさかの……


 次話は来週月曜日の朝7時に投稿します! ただ、テンションが高まったら早まるかも! その時はご容赦頂きたいm(_ _)m 


 何? ブクマ登録しているから大丈夫ですと?


 ありがとうございます!


※大切なお願い

 皆様のブクマやポイントが執筆の原動力です。「あ、忘れてた」という方がおられたら、是非御一考下さいませ( ´◡‿ゝ◡`)

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