絆
クロード族長の〔龍活性〕で現れた龍人族の戦士達! 果たして本懐を果たせるのか!?
「「「オオオ!」」」
雄叫びを上げながら龍人族の戦士がユベルに迫る!
「聖域をよくも!」
「クロード族長になんて仕打ちを!」
「許せん!」
その鬼気迫る気迫はヤツが常に貼り付けていた薄笑いを剥がすほど。だが……
「死にぞこないが! 消えろ!」
ユベルは怪しい印を結び、魔力を込める。これは魔法か!
(ヤバい、何かくる!)
思わず体が動くが、クロードさんはそんな俺を軽く手で制した。
「〔合成魔法:炎嵐〕!」
ブワッ! ガガガッ!
激しい炎が強風で煽られ爆発的に燃え上がる。
(火属性と風属性の合成魔法か!)
くそっ、これじゃ……
「大丈夫だ。これは既に見た。それに……」
クロードさんが指差した先には巨大な盾を構えた龍人族が突進していた仲間をカバーしている。
(俺の〔デュアカバーガード〕みたいなスキルか?)
無論、全員無事と言うわけじゃない。だが、回復魔法なしで傷はどんどん消えていく。これは……
「今の同胞達はいわゆる幻体。闘志が折れなければ何度でも復活出来るんだ」
さらに仲間が回復する僅かな間を繋ぐように魔法や弓矢が雨あられとユベルに降り注ぐ! 連携も完璧だな。
「くそ……調子に乗り上がって! なら、歯向かう気も起こらなくなるくらい叩きのめしてやるよ!」
ユベルは雷雨や石礫の嵐など様々な魔法で龍人族の戦士達を攻撃する。が、彼らは一向に怯むことはない。
(凄い……)
龍人族の攻撃は正直あまりユベルに届いてない。だが、それでも彼らは諦めない。それは多分……
(ヤツの手の内を俺達に見せるため……)
今までユベルは鎧の力しか使って来なかった。だから、ヤツ自身の力は分からなかったのだが……
(しっかり見るんだ。彼らのくれたチャンス、無駄には出来ない!)
大体俺達はここに来るまでも色んな人に支えられてきたんだ。それはきっと、ここで勝ち、聖域を取り戻すためのものだ!
「くそ……負け犬共のくせにうじゃうじゃと……!」
あのユベルが焦っている……俺との戦いでは怒ることはあっても焦ることはなかったのに。
「我らが闘志、お前のような外道に折れるものか!」
「折れるのは貴様だ、ユベル!」
なおも続く龍人族の猛攻! ユベルは次々に魔法を放つが、龍人族に同じ魔法は通じない。いくらヤツでも手詰まりになっていく……
(そろそろユベルの焦りはピークだな)
ユベルの顔にはもう余裕がない。もしかしてこのまま押し切れるか……!?
「ゴミクズの癖に調子に乗りやがって……いいだろう。地獄を見せてやるよ!」
ユベルの目の前に漆黒の球体が三つ現れる。それは三角を作るように並んだ状態で回転し始めた!
ゴゴゴ……
得体のしれない音を立てながら漆黒の球体が回る速度を上げていく! な、何をする気だ!
「今のうちに攻撃だ! 魔法や弓矢で攻撃だ!」
龍人族の猛攻! しかし、その攻撃は漆黒の球体に吸い込まれていく!
(何だ、あの力は……)
全てを飲み込む力……あれが完成したらどうなるんだ!?
「闇属性の三重合成魔法……くらえ、〔コラプサーズエンド〕ッ!」
ビンッ!
一瞬のうちに龍人族の戦士達が消えた!
(一体何が……)
だが、次の瞬間……
ダッ! ズバッ!
魔法を放った直後の隙をついたクロードさんの速攻がユベルに一太刀をいれる。速い!
(いや、そうじゃなくて、まさか……)
“そうだ。これを見せたかったんだ”
クロードさんが念話で俺の疑問に答えてくれた。
“あの鎧も加わったユベルを倒すことは困難。勝機があるとすれば、術後の隙に最大級の一撃を入れることだけだ”
た、確かに。ヤツの攻撃力と防御力の前では持久戦なんて成立しないだろう。だけど、それって……
“私が盾になる。フェイ、君がユベルを倒すんだ”
(そんな……!?)
“今の私は君と違って幻体だ。しかも、攻撃力は君のほうが高いのは間違いないだろ”
(でも……)
龍人族の戦士達は今までのように復活しない……完全に姿が消えたから時間がかかるのか? それとも……
「馬鹿女め、油断しあがって!」
変形が間に合わずに手傷を負ったユベルがネアの同胞に向かって文句を言うが、あれはお前が生んだ隙だろ!
“何もかも人のせいにする……典型的な小物じゃな”
“……”
ネアとミアも俺と同じ意見らしい。
「次やったら承知しねぇぞ! それはともかく不意打ちとは言え、俺に傷をつけられて嬉しいか、龍人?」
クロードさんが切りつけたユベルの左腕からは青い血が流れている。だが……
「だが、俺には再生能力もある! こんな傷、意味ね~んだよ!」
何とみるみる間に傷は塞がり、流れていた血は止まった!
「残念だったな! 仲間を犠牲にしたのにもう傷は消えちまっぜ? ククク、何をやろうとお前らに勝ち目はないんだよ!」
注:ユベルの〔コラプサーズエンド〕は要は小型のブラックホールです! 分かりにくかったら申し訳ありませんm(_ _)m
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