決戦!
遂に三章ラストバトル! 魔星将ユベルの実力はいかほどのものか……
それから、俺達は手分けをして聖獣の過ごす場所を整えたり、大地の裂け目で戦う準備をしたりと然るべき支度を始めた。相手は魔星将、準備は入念にしないと……
「いよいよだな」
“ですね” “じゃな!”
しっかりと準備したからだろうか。出発する朝になってもあまり緊張感はない。むしろ、いよいよか!という闘志のようなものさえ燃えてくる!
“……! 流石マスターです!”
何かミアにも伝わってるのかな。まあ、二人も気合い十分だし、いい感じだよな。
「フェイ、おはよう!」
「おはよう、フェイ兄! 早いね」
集合場所にレイアとリィナがやってきた。二人も調子良さそうだな。
「おはよう、みんな」
クロードさんもやってきた。これでメンツは揃ったな。
「よし、じゃあ行こうか」
近いと言っても大地の裂け目までは距離がある。暗くなる前につくためには、俺達の足でも朝早く出ないと駄目なのだ。
「フェイ、みんな!」
この声は!
「ジーナさん!」「ジーナ!」「ジーナ嬢!」
拠点を出ようとしたその時、何とジーナさんが現れた!
「頑張って欲しいけど……無理はしないで。必ず勝つと信じてるけど」
ジーナさん……
(こんな弱気なジーナさんは初めて見るな)
まあ、相手は魔星将だ。ジーナさんはリィナやクロードさん、それにルーカスさんやクラウディアさんと一緒に魔星将の力の分析や対策の考案までしてくれていたし、その脅威が良くわかるんだろう。
「大丈夫よ、ジーナ。私達も強くなったし」
「今回は少しはフェイ兄の助けになれるはず」
レイアとリィナがそう言ってジーナさんを励ます。
(レイアとリィナは確かに滅茶苦茶パワーアップしたよな)
実はクロードさんも含めたパーティ全員で何度もシミュレーションをしたのだが……ハッキリ言って二人は凄すぎる。助けどころか二人で魔星将を倒してしまうんじゃないかと思っくらいだ。
「リィナ嬢、安心してくれ。私も力を取り戻せた。魔星将の打倒は勿論だが、フェイのことはこの命に変えても守ってみせる」
クロードさんまで……
(だけと、クロードさんのパワーアップ度合いも凄いよな)
元々凄く強い人だったんだけど、〔龍活性〕を使った時のクロードさんは無敵なんじゃないかと思うほどだ。
「……ごめんなさい。私が励まさなきゃいけないのに」
ジーナさんはそう言って頭を振り……次に見せた顔はいつものジーナさんだった。
「思いっきりやってきて! 帰ってきたら祝勝会が出来るように準備してるから!」
祝勝会……お祝いパーティってとこか。良いかもな
「ありがとう、ジーナさん」
「期待してるわ、ジーナ」
「楽しみだ」
楽しみも出来たところでそろそろ行──
「アリステッド男爵! 頑張って下さい!」
「獣人族の守り神! ご武運を!」
いつの間にか拠点にいる獣人達が俺達にエールを送ってくれてる。
(あれはニーナちゃんとグレゴリーさんだ)
わざわざこんなところまで……
(必ずいい知らせを持って帰るぞ!)
魔星将を倒し、ギアス荒地に平和を取り戻すんだ!
※
「……何もいないわね」
昼過ぎに大地の裂け目に着いた俺達は警戒しながら入ったのだが……トラップどころか魔物さえいないな
(これは一体……)
辺りには瘴気さえほとんどない。魔星将が待ち構えてると思ったんだが……
「好都合じゃない。先に龍人族が封じられている水晶とやらを探しましょ」
「そうですね」
レイアの提案にリィナも頷く。俺達が灯りの光量を上げて探そうとした瞬間……
「その必要はないぞ、人間」
「「「「!!!」」」」
突然振ってきた声に身を固くして、声の主は……空中!
(何だ、アイツは……)
空にいたのは人型の何か。だが、額に生えた角と灰色の肌、そして禍々しい光を湛えた金の瞳がソレが人外の存在であることを示している。
「私が魔星将ユベル。よくぞノコノコやってきたものだ。その無謀さだけは褒めて──」
ドカッ!
「──無謀なのはアンタよッ!」
ユベルの体が突然吹き飛び、壁に激突してからレイアの怒声が聞こえる。
(いきなり〔竜剣同化〕! 最初から本気だな!)
アドンさんの技を引き継いだレイアはあの超スピードと攻撃力を得たのだ。
「くそっ、何だいきなり……」
だが、ユベルはさほどダメージを受けた様子はなく立ち上がる。
「人間の技にしてはまぁまぁだが……」
やはり強敵。だが……
「〔龍幻術〕!」
幾筋もの黒雷がユベルを貫く。流石の奴もその威力に片膝をつく。が、その時には既に……
「〔龍撃剣:豪〕!」
〔龍活性〕でパワーアップしてからの〔龍撃剣〕がユベルの体を袈裟斬りに!
「ッ!」
黒い血しぶきがヤツの体からほとばしる! やった! 大ダメージだ!
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