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幻のフェイ

 表紙入り三日目! 応援大感謝の緊急更新です!


 最後のオチが書きたくてさせてもらった話です(笑) 是非ご一読下さいませ!

(フェイ視点)



(終わった……のか?)


 黒い雷に突っ込んで行った時は流石に焦った。が、その後、リィナに似た女の子は消えてしまった。


(何か話していたみたいだけど……聞き取れなかったな)


 あの子と戦うことがリィナの試練だったのかな……?


「……終わりましたね」


 リュドミーラさんがそう呟くのを聞き、俺は安堵した。が……


(幻術となんの関係があるんだ、これ?)


 姿がそっくりなもう一人の自分と戦うなんていう試練じゃないのは分かる。だけど、幻術って相手に幻を見せるんだよな? 自分を見てどうするんだろう……


「この試練に何の意味があるのかが腑に落ちない……という顔ですね」


 ゔ……バレてる


「幻術は幻を見せる魔法……言い方を変えれば存在の在り方を誤魔化す技とも言えます。例えば、穀物を果物に、鳥を魚に、山を谷に見せることも可能です」


 ………


「ですが、穀物は穀物ですし、魚は魚、山は山のまま。何かが変わった訳ではないのです。相手にそれを悟られないようにするのが、術者の力量なのですが……高い力を持てば持つほどある落とし穴にはまりやすくなります」


 高い力を持てば持つほどはまりやすくなる落とし穴……?


(それがこの修行と関係があるってことか!?)


 全然分からない……


[それは自分もまた騙されてしまうということです」


 !!!


「幻術は相手に都合の良い幻を見せる技ですが、自分もそれに騙されてるようでは本末転倒です」


 確かに……だが、そんなことが有り得るのか?


(かけられた相手はともかくかけた本人が幻術にかかるのか……?)


 ないとは言えない。だが……


「あなたには忘れたいこと、信じたくないことはありませんでしたか?」


 俺が信じたくなかったこと……それは


(父さん母さんが病死したこと、パーティを追放されたこと、アバロンが封印を破壊しようとしたこと……)


 いずれも昔の話だが、今思い出して暗い気分になるな。


「嫌なことを思い出させてしまってごめんなさい。幻術を使えれば、それらを見なくて済むように出来るのです。そんな手段があれば、自分から騙されることを選ぶことがないとは言えないでしょう?」


 ……なるほど。


「ですから、幻術を学ぶものは自分のことをよく知らなければなりません……特に自分の嫌なこと、普段目を背けている部分を」


 それでリィナはもう一人の自分と戦った……つまり、あのリィナにそっくりな子はリィナにとっての嫌な自分ってことか。


「この修行はそのためのものなのです。見たくない自分、嫌な自分をあらかじめ知っておけば、避ける必要はなくなるでしょう?」


 そうか……


(クロードさんが心配してた通り、無茶苦茶難しい試練だな)


 凄い術者でもクリア出来なかったことも頷ける。


(それにしてもリィナ、大丈夫かな)


 大変な思いをしたんだし、大分疲れてるんじゃないかな……


「私もすぐに彼女の元に行きますが……その前にリィナに声を行かれますか?」


「はい、お願いします!」


 頑張ったリィナをいっぱい褒めてやらないとな!




(リィナ視点)



 ……終わった


(なんか不思議な気持ち……今までの自分とは違うみたい)


 まあ、そんな訳もないんだけど。それくらい周りの世界が違って見えるってこと。


(靄も晴れた……)


 この世界に満ちていた靄もどんどん晴れてクリアになって──


(!!!)


 誰か近づいてくる!


(お兄──)


 目の前に現れたのはフェイ兄。いや、でも、もしかしたら……


(また私の心の中にある幻かも……)


 さっきの戦っていた私は多分、私の心が創り出した存在。多分、ここはリュドミーラさんの幻術の力で自分の心の中にあるものが幻として出てくるんだろう。


「リィナ、お疲れ様。大丈夫か?」


 優しい声をかけてくれるフェイ兄。私の理性は“気をつけないと!”と警告を飛ばしているが、私の感情が訴えるのは正反対の内容……


(フェイ兄だ!)


 思わず駆け寄り、抱きしめる。理性は尚一層声高に警告するが、私の感情はそれを誤魔化す甘い言い訳を囁き始めた。


”幻なんだからいいじゃない。何も我慢することないんじゃない?“


 そうだ……普段は恋人じゃないから、兄妹だからと色々我慢しているけど、幻なら我慢しなくていいよね? だってここは幻術の中で、現実じゃないもんね。


「フェイ兄、フェイ兄!」

「大変だったな、リィナ」


 幻のフェイ兄が優しい言葉をかけてくれることをいいことに私は思いっきりフェイ兄に抱きつく。ああ、幸せ……


(それにしても龍人族の幻って凄い。まるで本物みたい……)


 普段なかなか補給出来ないフェイ兄成分も存分に補給出来──


「あの……申し訳ないんだけど、それは本物のフェイさんですよ」


 唐突に聞こえたリュドミーラさんの声……え? それってどういう……

 読んで頂きありがとうございました! 次話は来週月曜日の朝7時に投稿します! 表紙に生存し続けたりとかテンションが高まることがあれば早まるかも! 勝手で申し訳ありませんが、その時はご容赦頂きたいm(_ _)m 


 何? ブクマ登録しているから大丈夫ですと?


 ありがとうございます!


※大切なお願い

 皆様のブクマやポイントが執筆の原動力です。「あ、忘れてた」という方がおられたら、是非御一考下さいませ( ´◡‿ゝ◡`)

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