新たなステップ
応援感謝! 緊急更新!
ネアも遂に味方に! 残る課題は……
(フェイ視点)
【クロムウェル冒険者ギルド : 会議室】
「拠点の設営は順調なのですが……少し困ったことがありまして」
次の遠征のための計画を話し合っていると、ためらいがちにグレゴリーさんがそう言った。
(何か問題が出てきたのかな?)
クロードさんが正体を明かしてからは協力してくれる獣人が爆発的に増え、拠点はどこも物資と人で溢れている。問題らしき問題は見当たらなかったんだけど……
「協力してくれる獣人が増えたのは望ましいのですが、物資とスペースが不足ぎみで」
なるほど……
(拠点は元々俺達だけで使う想定だったからな)
俺達が作った拠点は今や小さな村レベルの規模がある。最初に作った拠点では商売のために常駐する獣人まで出てきたくらいだ。
「人数が集まったことで聖獣復活のための遺跡調査は順調だが、ムムム……食料か」
「獣人の皆さんから買取った岩塩をオルタシュで売ったお金で食料を買い付けて運ぶようにはしていますが、流石に満足に行き渡るレベルではないですよね……」
量もそうだが、実はどう輸送するかがネックなのだ。何せギアス荒地は危険な場所だ。一度に運べる荷物の量は限られる。
「フェイの〔アイテムボックス+〕がなければ既にアウトね。かといってこれ以上フェイに頼るわけにも行かないし」
「俺ならもうちょい行き来する頻度を増やしても大丈夫だ」
獣人達のためになるなら、少しの無理くらい!
「フェイ兄が倒れたらそれこそみんな困っちゃうよ。それに私達の目的は大地の裂け目の探索。私達なしでもグレゴリーさん達が暮らせるシステムを作って行かないと」
「なるほど、確かに」
俺達なしでも成り立つように、か。流石リィナだ。先のことまで考えてるな。
(しかし、〔アイテムボックス+〕なしでどうやって……)
そもそも移動中にも食料はいるのだ。まあ、最近は調理した蛇竜獣の肉──これが意外と旨い──を食べる手もあるが……
“運ぶのが難しいなら作物を各拠点で育ててはいかがでしょうか”
ギアス荒地で農業をするってことか!?
“元々ギアス荒地は豊かな農作地帯だったはずです。聖獣がいなくなって荒れ果てたとしても何も育たないということはないはずです”
うーん、今のギアス荒地を見ていると草一本生える気がしないが……
(そうか! つまり、何らかの原因で植物が生えない土地になっているだけで、本来ならもうちょっとマシなはずってことか)
“そうです! 私の拙い言葉をご理解下さるなんて流石です!”
いやいや、十分分かりやすかったぞ?
“確かに聖獣は土地の守り神というべき存在ですが、いなくなったからと言って辺りが破滅するようなことは有りえません”
聖獣がいなくなったら、普通の土地に戻るだけってことか。
(うーん、どう伝えたらいいか……)
理屈は分かるが、あのギアス荒地に作物……ちょっと想像しづらいよな。
「……って話なんだけど」
突拍子もない話だが、皆がは何も言わずに聞いてくれた。そして……
「確かに……一理あるな」
最初に口を開いたのはクロードさんだ。
「ギアス荒地の荒れっぷりは、我らがアタカマ様を守れかったせいかと思っていたが、それだけでは説明出来ないな」
「アタカマ様?」
「私達がお守りしていた聖獣様の神名だ」
やっぱりミアの言った通りみたいだな。
(じゃあ、わざわざギアス荒地をこんな状態にした理由があるのかな……)
魔星将の残虐さを考えたら、理由なくやったという可能性もあるが。
「おそらく聖獣様の復活を阻止するためだろう。この状態では新たな聖獣様を迎えることは出来ないからな」
なっ……じゃあ、このままじゃクロードさんや獣人達の計画は上手く行かないってことか!?
「逆に言えば、拠点での作物栽培を広げてギアス荒地を豊かにしていけば聖獣様が復活出来る条件が整うってことですね」
……っ! なるほど
(流石リィナだ!)
確かにそう考えれば、全てが繋がるな。
「となると……まずはギアス荒地を不毛にしている原因とそれへの対処法を見つけ出さなければならないな」
クロードさんはリィナに感心したように頷きながらそう言った。一見難しそうな問題だが……
「それならウチのパーティには専門家がいますよ」
「え? 専門家?」
レイアだけが、俺の言葉に驚いた声を上げた。
読者の皆様も“はぁ?”かもしれませんね(笑) 一応、彼女は元々アルケミストなので……
読んで頂きありがとうございました! 次話は来週月曜日の朝7時に投稿します! ただ、テンションが高まったら早まるかも! その時はご容赦頂きたいm(_ _)m
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