青嵐団再び
感謝の緊急更新!
後半では久しぶりにネアが登場!
「えっと、この辺りかな? 山と川に囲まれてて……」
「なるほど。なら、こっちかな?」
「ごめんなさい。チズってよく分からなくて」
「ニーナくらいの年齢なら当たり前だよ。それよりも助かったよ。ニーナに教えてもらわなかったらかなり危険な目にあっていたと思う」
買い物の後、ニーナちゃんとジーナさんは地図を見ながらあれやこれやと話している。どうやらギアス荒地についてあれこれと聞いているらしい。
(買い物でも随分助かったよな)
両親の手伝いで覚えたのか、物の相場や店の良し悪しをよく知っていて、“これはあそこの方が安い”とか“この店のものは質が悪い”などといったことを教えてくれた。
(銀貨一枚じゃ安すぎるんじゃ……)
ボーナスとか出すことを考えた方が良いかもしれない。
(そう言えば、あいつらは大丈夫なのかな……)
ニーナちゃんを雇っていた奴らは青嵐組というたちの悪い集団──いわゆるヤクザだ──に属していたらしく、荷物を取りに行った時はかなりの人数に取り囲まれた。
(まあ、自衛が必要なときのために用意だけはしていたんだけど……)
結局、規則を盾に一歩も譲らないジーナさんに押され、奴らは渋々言うことを聞いた。でも、他にも被害にあっている人がいないかな……
(でもそれはジーナさんの言う通り、クロムウェルの行政府の仕事か)
“しっかりと報告する”って言ってたし、大丈夫だろう。
「あ、フェイ兄。ただいま」
「お帰り、リィナ」
「心配してくれてありがとう」
「まあ、念のためだけどな」
実はニーナちゃんことがあってから〔白鯨の加護〕を使って、リィナのことを見守っていたのだ。まあ、リィナのことだから何があっても大丈夫だろうけど、それとこれはまた話が別だ。
「あの子が……あ、レイアさんは?」
「クロードさんと訓練場にいる。俺もそろそろ合流しようかな」
ニーナちゃんのことは既に説明済みだ。
「あ、じゃあ、終わったころに何かつまめるようになにか作ろうかな。聞いたレシピを試してみたいし」
「それは楽しみだな。二人にも伝えておくよ」
宿の料理も美味しいけど、リィナの料理は別格だからな! ブリゲイド大陸のダイナミックな食材がリィナの手にかかるとどうなるか……今から期待に胸が高鳴る!
※
【クロムウェル : 東出口】
準備とニーナちゃんからの聞き取りに二〜三日かけた後、俺達はいよいよギアス荒地に行くことになった。
(ま、試しに行ってみるだけだけど)
今回の目的はニーナちゃんから得られた情報を確かめるのと考えた対策や連携が上手くいくかを確認することだ。
(まあ、今回の調査で拠点が作れれば良いが、それは……)
目的地である大地の裂け目まではかなりの距離があるため、一気には行くことは出来ない。そのため、何箇所か拠点を作る必要があるのだ。
「オイオイ、人間が東出口を使ってるぞ」
ん? 何だ?
俺達を見て何か言ってるのは……ニーナちゃんに怒鳴りつけていた奴とその仲間っぽい奴らだ。
「くっさい獣人と同じ出口を使うなんて正気を疑うぜ!」
「ギアス荒地に行くなんて馬鹿じゃないのか? あんなとこに言ったって何もねぇっての!」
「いやいや、そんなことも分からない獣人並みの知能しかないんじゃねーの?」
「あはは、そうか! それで分かった! 奴らは獣人並みの知能しかないから奴らと同じなんだ! 人間に生まれたくせに情けない奴らだな」
何だ、アイツら。意味の分からないことをペラペラ喋ってるな。
“マスターの深いお考えがあのような下衆に理解出来るはずもありません”
げ、下衆って……ミアは大分怒ってるな。
“大方あのジーナとかいう娘にやられた腹いせじゃろうが……ちいとばっかし腹が立つのぅ”
あ、これはネアか。
(しかし、こいつもよく分からない奴だよな)
元を辿れば信用できる相手じゃないのだが、これと言って不審な動きもない。というか、馴染んでいるフシもある──って今はそんなことを考えている場合ではないか。
“にしてもこのままというのも……よし、マスター! 少し出るぞ”
(何だって?)
その瞬間、ネアの気配が膨れ上がった!
「なっ!」「ぎゃっ!」「はう!」
突如現れた謎のプレッシャーに男達はビビって尻もちをつく。何せ元はあの豹炎悪魔だからな。
“うっ! 駄目か”
が、プレッシャーは一瞬で消え、ネアは俺の中で項垂れた。
“上手くいくと思ったんじゃが”
一体何をしようと思ったんだ???
“でも、ネアのしたかったことは出来たみたいよ”
ミアが腰を抜かした青嵐団の奴らに視線を送る気配がする。うん、確かに十分過ぎるな。
読んで頂きありがとうございました! 次話は来週月曜日の朝7時に投稿予定ですが、緊急で更新するかもしれません(๑•̀ㅂ•́)و✧
この機会にまだの方はブクマを(笑)
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