対決
さて、いよいよバトルです!
聖獣メルヴィルに刺さった槍から現れる敵の強さはどれほどのものなのか……
「おまたせしました」
俺は聖獣メルヴィルにそう言ってからミアの方を向いた。
「行けるか、ミア」
「勿論です、マスター」
その言葉と共にミアは聖剣フェリドゥーンへと姿を変える。よし、いよいよだな。
(この種のアイテムなら魔槍に攻撃しようとすれば多分……)
俺が聖剣フェリドゥーンを魔槍に向けて掲げると……
ブゥン!
俺の背後に何者かが現れた。
(〔超鑑定〕!)
一体コイツは……
◆◆◆
魔槍の化身(本体 : 魔将星イビル)
Lv158
◆◆◆
なっ、なんだこのLv!?……それに魔将星イビルって……
“来ます!”
見た目は全身をフード付きマントで覆った黒い影のような姿だが、威圧感が半端ない。
ズンッ!
化身が手を俺の方に向けた瞬間、体がまるで鉛に変わったかのように重くなる。これは……
(じ、重力か)
その瞬間、〔オートアイテム〕が発動し、ディスペルポーションが重力を取り払った。
「〔ホーリーライト〕!」
奴との距離はまだある。ここは安易に近づかず、遠距離攻撃で様子を見るか。
(こんなLvの奴に通じるかどうかわからないが、“魔将星”なんて名前なら多分闇属性のハズ。なら……)
聖属性は弱点のは──
バシッ!
何とヤツは俺の〔ホーリーライト〕を弾き飛ばしてしまった!
(う、嘘だろ!?)
無傷ではないようだが、深い傷ではない。化身は何度か拳を握ったり、手を広げたりすると、再び俺に向き直った。
(なら、近接攻撃で行くしかないか)
どうもコイツも同じことを思ったらしい。俺が身構えると、即突進して来た!
(早っ……)
ガキンッ!
何とか盾で防ぐが、スキルを使う時間はなかった。
(くそっ……〔デュアシールドアタック〕か〔デュアシールドカウンター〕を狙っていたんだが……)
単純に早いのもあるが、途中で加速したためにタイミングをズラされてしまったのだ。あの不自然な加速は恐らく……
(コイツ、自分にかかる重力を減らしてるな!)
レイアとの訓練を思い出せればうまくやれるか!?
(マズイ!)
その瞬間、思い出した! レイアは近接戦に持ち込んだ後、俺に重力を……
ズンッ!
体が重くなる。が、次の瞬間、〔オートアイテム〕により重さは元に戻る。が……
(ヤバいな。ディスペルポーションは後二本しかない……)
恐らくヤツの方がパラメーターが高い。今は何とか食らいついているが、動きが鈍れば負け確定だ。
ズン!
再び重力か! 離れなくては!
“マスター! 境界を!”
そうか! 流石ミア!
「〔ディバイド〕!」
俺はヤツとの間に境界を引くと同時に後ろへ飛んだ。
(ディスペルポーションで解除できるのは後一回……失敗は出来ないな)
負けるとは思わない。が、きちんと考えないとな。
“マスター! メルヴィル様から授かったスキルを!”
あっ、そうか!
「行くぞ! 〔白鯨の加護〕!」
その瞬間、ヤツには俺が三人に増えたように見えたハズだ。ちなみにスキルの詳細はこんな感じだ。
◆◆◆
〔白鯨の加護〕
自分の幻を創り出す。幻は相手にダメージ
を与えられず、破壊されることはない。ま
た、本体と幻はいつでも位置を交換する
◆◆◆
俺は上と左右から化身に迫る! どうだ、どれを狙う!?
ズン!
重力が上空の俺を襲う。
(ハズレだ!)
既に俺は左から──
シュンッ!
ヤツは左手を瞬時に槍のように変形させて伸ばす!
(カンがいいな! 当たりだ)
まあ、さっきまでならな。
「〔グランドクロス〕!」
「€£№§¢¿ッ!」
狙われた瞬間、右にいた幻と入れ代わった俺は攻撃中で無防備な体にスキルをブチ込んだ!
(流石に一撃では無理か。でもっ!)
スキルを発動した瞬間、俺は上空にいた幻と位置を入れ替える。そして……
「〔デュアシールドアタック〕!」
「€£№§¢¿ッ!!!」
この手応え、スタンを引いたな!
(そして、最後の……)
最後は左から……
「〔クルセイダー〕!」
「€£№§¢@$#%&№‡¿ッ!!!」
盾を使ったスキルは一回しか使ってないのにこの威力……凄いな!
グッ!
ん? 掴まれた……
〔マスター! 自爆する気です!〕
なっ!
ドッカーン!!!
だが、幻も含めて俺達は無事。ミアの〔ディバイド〕のおかげだ。
(凄いスキルだが、幻を一度に消されると入れ替われないな)
幻は破壊はされないが、攻撃を受けると一瞬歪む。その時には入れ替わりは出来ないのだ。
(だが、使い方さえ間違わなければ間違いなく凄いスキルだ。聖獣メルヴィルには感謝しないとな)
読んで頂きありがとうございました! 次話は来週月曜日の朝7時に投稿します!
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