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72話:オーゴンジューを貢ぐ男




ギャンブル編………

まだ終わっていないっ………!


それは、闘技場でも勝ち越して、ホクホク顔で帰る時に起こったのだ………!?



「る、ルナ様!?ど・・・どーいう事なんすか!!これ!?」

「な、なんなのよぅ。そんなの当たり前じゃない。今更何言ってるのよぉ。」

「さっきまで稼いたチップ・・・現金に替えれないってどういう事っすか!!!?」


・・・そう、ここのカジノには換金所は無かったのだ。

代わりにあるのが景品交換所。稼いだチップは、何かしらの物と交換ということになる。


つまりは・・・つまりは、僕が今頃コツコツと貯めてきたお金は・・・生命を賭けて集めてきたみんなのお金は、ここのカジノにある景品のどれかになってしまうのである。


「け、景品を売ったらいいですわ。それなら大丈夫でしょ?」

「そんな事言って、それを 売るなんて とんでもない!とか出るんでしょ!!知ってますよ!?」

「そ・・・それは保証できないわぁ・・・。」


ぐぎぎ・・・。ちゃんと僕の目を見て話しやがれクソ女神ぃ。

あんたがこの世界の事で知らねぇ事なんかねぇ筈だろ!


「ちょっとリョウ!いっぱい勝ったんだから、もうルナ様をイジメないで!」


なんも分かってないNEEEEEEお馬鹿さん!!

パーティーのお金が!折角みんなで貯めたお金が、全部戻ってくるか分かんないんだぞ!?



「くっ・・・と、とにかく、換金率の高い景品を片っ端から・・・。」

「んもぅ!情けないわね!腹括って好きな景品を選びなさいな!カジノでどの景品も選び放題なんて、もう二度とありませんよ。」


確かにそう、一理ある。ゲームではいざ知らず、カジノで大勝ちして非売品選び放題。そんな機会もう二度とないだろう。

けどルナ様はこんな事言う権利無いと思うんだ。そうだろう?


「ほらっ、これなんかどうです?鍔に鳥の意匠が施された軽そうな直剣!」

「・・・かっこいいですね。」

「どう?実際に見てみると、一度に2回攻撃できそうな剣だと思わない?」

「・・・思いませんけど。」

「そう?おかしいわね・・・。 じゃあこれなんかどうかしら?メタリックで重厚な長剣。これこそ最強の剣よ!」

「・・・強そうですね。」

「どう?実際に見てみると、ストーリー中盤までの敵なんて1撃で倒せちゃうな〜って思わない?」

「・・・こんな重そうな物、振れないですよ。」

「そう?意外に非力な者でも装備できるのですけどね・・・。」


なんでルナ様はこんなノリノリなんだ?

勢いで誤魔化そうとしてる?


「リョウ、みてみて!!この腕輪カッコいいよ!これにしよう!!」

「あら?勇者ちゃんお目が高いわ。それは装備者が死ぬと、装備者と相手はくだけちって死にます。」

「いやルナ様、死ぬと発動する装備が良い訳ないでしょ。」

「そうねぇ、これだと経験値が入らないのよね。やっぱこれは止めておきましょ。」


いやいや、そっち?

経験値なんてどうでもいいでしょ。この世界で死ぬと発動する装備とかありえないから。


・・・・・・いかんいかん。ルナ様の策略にはまってないか?

まぁジタバタしたって金は戻ってこないし・・・。この状況を受け入れるしかないか。



・・・あぁ、くそぅ。まだまだ気は進まないが、そろそろ腹くくって真面目に決めるか。


改めて考えてみれば、換金率よりは装備の充実を図るべきか。

でも、このメタリックでキングの直剣は駄目だな。

剣ってファンタジーじゃあオードソックスだけど、うちのパーティーじゃあ使わな・・・いや、今ならカティが居るのか。

だがカティの剣は、シュリ先輩に修繕してもらっている。今更こっちの剣の方が強そうなんで修繕はいいです!なんて言えないし・・・。



剣は今回は止めておくか。

他に従魔達が使えそうな武器か、防具があればいいんだが・・・


「ねぇ、ちょっと。」


向こう方で景品を見ていた筈のメイコが話かけてくる。


「どうしたメイコ。いい物あった?」

「私じゃないわ・・・。ねぇ、アレ、どうするのよ。あんたが悪いんだから、あんたがなんとかしなさいよ。」


急に謂われのない罪に問われてしまう。まぁメイコの言動はいつもの事ですが。


メイコの歩いてきた方を見る。

そこにはピノとイムが居た。2人はあるショーケースを食い入るように見ている。

イムが僕の視線に気付いた。イムはその場でちょいちょいと手招きして、僕を呼んでいる。

・・・どうやらショーケースにかじりついているのはピノの方らしい。




なんとなく嫌な予感がしつつも、ピノの見ているショーケースを覗いてみる。


中にあったのは・・・銃だった。

それもただの銃ではない。バレルからグリップ、ハンマーやシリンダーに至るまで、全てが金色。

銃の部品全てが黄金で作られた、まさしくあの黄金銃だ。


富も名誉も手に入れた象徴かのように美しく輝く黄金色。

換金できないこの世界のカジノで大金を突っ込み、ギャンブルという名の勝負を勝ち続けた者だけが手に入れる事が出来る黄金の銃。

人生の勝利者と言ってもいいだろう・・・交換できる者は、だけど。


黄金銃に群がっている僕達を、目敏く見付けたカジノの従業員が寄ってくる。お客様お目が高いと、聞いてもいないのに黄金銃の説明をしだした。

説明なんていらんからゆっくり見させて欲しい。多分、黄金銃に関してはコイツより僕の方が詳しいし。



・・・しかし本当に黄金銃が存在したとは。

回転式拳銃のタイプだな。銃身が長く、洒落た装飾があしらわれている。

悪霊の屋敷にも似たような銃があったな。どちらかというと、鑑賞用の銃っぽい。こんな銃を実戦で使ってたら、某蛇の人に戦術的優位性が無いとか言ってからかわれそう。


まぁその通りだな。問題は有用かどうかだ。

僕の知っている元ネタの中には、敵を一撃で葬る威力を持っているものがあった。

だが、いくらこの世界でも元ネタ通りの一撃必殺であるとは限らない。

つーか普通の銃の可能性の方が高い。毒針だって魔導武器だって言われたし。ていうか一撃必殺の武器なんて存在したら怖いよ。


そもそもな話、いくら大勝ちしたといえど、全部黄金でできた銃なんて交換出来る訳ねーじゃん!

一体いくつチップがいるんだ・・・・・・?




・・・・・・ん、ゔん゛ん゛。

・・・ギリギリ足りるな。

この世界の黄金ってそれ程でもないのか?なんか人生の勝利者なんて言った自分が恥ずかしくなってきたじゃん。


・・・変わらず、ピノは黄金銃から離れようとしない。

ピノは銃がどのような物なのか知らなかったのに、ここの従業員が説明したせいで、黄金銃が銃である事を知ってしまった。

今はまだ何も言ってきてない。黄金銃の輝きに目を奪われているだけだ。


メイコの言う通り、この責任は僕にある。

前々からピノの武器は銃にすると言ってあるし、更にピカピカの武器にすると約束した。

それを何年も放置してきた。銃が珍しく、高価な物だったって理由があるが、それは言い訳でしかない。

他の娘達には与えているのに、ピノにだけ我慢させてきた。


・・・だがこの銃はどうだ?

僕が想像しているような威力は絶対ないだろうし、装飾や素材、色に実用性は無い。弾丸も貴重かつ高価であるとロリさんから聞いている。維持するのも大変そうだ。

そもそも全部金でできた銃ってのは大丈夫なのか?金は加工しやすい、やわらかい金属だと聞いた事があるが、問題無く使用できるのか?


・・・この銃にするメリットってなんだ?

ぶっちゃけピノが喜ぶくらいだろう。

いいのかそんな理由で?そんな理由で今まで貯め込んできた財産を使っていいのか?



「・・・ねぇ〜♡、リョ〜く〜ん♡」


きたッ!ついにピノが口を開いた。

激アマに媚びた声音。そうですか色仕掛けで来ますか。受けて立ってやろうじゃん。


「リョ〜く〜ん♡わたしねぇ、ど〜っしても欲しいモノがあるんだけど〜?」


僕の身体にしなだれかかってきたピノが、胸を撫で回してくる。

くっ!淫ピハーピーめ、ついに本性現してセクハラまでしてくるようになったか!?

だが私は引かぬ媚びぬ省みぬ!!押し付けられるおっぱいなんかに致命の拳を突き入れる事はできぬのだ!!


「うっく・・・!!だ・・・駄目だぞ、ピノ。流石に高過ぎるっていうか・・・。」

「え〜、何言ってるかよく分かんな〜い。聞こえな〜い。」


き、聞こえてるだろ、こんなに密着してるんだから!

服越しにチ○ビ責めをするんじゃない!!



「・・・・・・なに?何でこんなに頼んでるのに買ってくれないの!?だったらこうよ!!!」


急に豹変したピノが僕を押し倒した。

当然ながら、モン娘達が人間形態でも腕力で勝てないので、僕はされるがままである。床へ無様に転がり、更に素早くマウントポジションを取られてしまった。


「ふっふ〜ん!リョ〜君のクセにわたしを焦らすから悪いのよ!諦めなさい!!」


・・・この体勢でそんな事を言われたら、また違うものを決心してしまう。

馬乗りになっている事が恥ずかしいのか、ほんのりと頬が赤くなっているところもポイントが高い。やはり淫ピはこうでなくては。



「・・・ふ〜ん、ど〜しても買わないって顔ね。なら仕方ないわ。対リョ〜君用に作ったあの奥の手を使う時がきたってわけよ。」


ただもっこりな事を考えてただけなのに、勘違いしたピノに奥の手まで出させてしまったらしい。

ピノが背中に手を回すと、サッと何かを取り出した。

それは、棒の先っちょに数枚のピノ自身の羽根が固定されてあるだけの物であった。


あの棒、嫌な予感がする・・・と我に返ると、いつの間にか僕達の側にイムとメイコが立っていた。

2人の両手には、ピノと同じ物が何本も握られている。


「ちょっと待て、話し合おう。それとできればもっとエッチな拷問がいi・・・」

「うっせーし!買うって言うまで止めないし!!そ〜れ!コチョコチョコチョ………!!!」

「・・・・・・こしょこしょこしょ………。」


そ、そんな古典的な・・・あ、アヒイイイイイィィィィィィ!!!!!

そ、そんな!!くすぐりには強い自負があったのにぃぃぃぃぃぃぃ!!!ハーピーの羽根だからなの!?ら、らめぇ!!しんじゃうゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!


「早く降参しなさい。頭を斬り落とすわよ。」


メイコはなんで刀を抜いてるの!?せめてくすぐって!!

あ、アヒイイイイイ!しょこだめええええええ!しゅごいのおおおおおおおおおお!!!!!



「あ…!あ…! アッーーーーーーーーー!!!」





◆◆◆





テーブルにご馳走が並べられる。

僕の前には、もちろんステーキが。

幼い頃からバリバリのゲームっ子である私だ。ファンタジーの世界に来たからには、得体の知れない肉を分厚いステーキで所望する。

まぁこの肉は魔物の肉ではなく、しっかりと牛肉らしいが。

だが残念な事に、リョウ君の身体では分厚いお肉は食べ切れない。昔の身体ならワンポンドくらいペロリだったのに。

ファンタジーに来たからには、ワンポンドステーキと酒と煙草といい女をペロリとイきたいリョウ君ですどうぞよろしく。



「んふ、ぐふふ・・・。」

「ピノ。嬉しい気持ちは分かりますが、食事の間は仕舞いなさい。」

「なぁに〜ルシル〜?あっ分かった。武器買ってもらったわたしに嫉妬してんでしょ?」

「そうではありません。武器なら私も買っていただいております。」

「でも調理器具じゃ〜ん。」

「・・・お黙りなさい。近々、シュリ様に武器を新調していただくのです。ご主人様にも許可をいただきました。」

「それも調理器具じゃ〜ん。」

「・・・・・・・・・。」


お〜お〜。調子に乗ってんなぁ淫ピちゃん。止めてさしあげろ。メイドさんが可哀想だろ。


「ピノ。」

「・・・はぁ〜い。」


僕が一声かけると、ピノは今まで頬ずりしていた黄金銃を仕舞った。

まったく、仲間にマウントを取らせる為に買ってやったんじゃないというに。


・・・カジノの景品交換所で、モン娘達のくすぐり地獄にアヘ顔ダブルピースをかました僕は、無理矢理黄金銃を買わされてしまった。

思わず掘られたような叫び声を上げてしまったが、別に失敗だとは思わない。


・・・いや、一般人も沢山居る場でアヘ顔晒した事じゃなくてさ。黄金銃を買った事の方ね。

改めて見させてもらったが、やはり全ての部品が金でできているようだった。金銭的にも価値はあるだろうし、弾丸さえあれば普通に銃としても使えるそうだ。

・・・だがその弾丸は入っていない。景品交換所には無かったし、買おうにも現金がないからだ。

肝心の威力の方は、まだ未知数。お預けという形になっている。




「・・・さて、料理ももう来たわよ。明日のダンジョンの事を話すんでしょ?さっさと始めましょ。」


そう言って、また缶チューハイを開けるルナ様。

さっさと始めるってのは、話の方ですか?酒の方ですか?


「いただきま〜す!!あたしジビエ食い亭の料理初めて!おいしそ〜!!」


話もそっちのけで料理に手を付ける勇者様・・・とモン娘達。

どうやら始まるのは話ではなく酒だったらしい。勇者様が言うんだから間違い無い。


こっそり注文した酒のジョッキを掴m・・・掴めない。

・・・・・・無い。ジョッキが無い。

・・・イムちゃん。そのジョッキはどこから取ったの?また飲み過ぎて潰れる気かな?

あぁ、パワハラ上司に強要されたかのようなイッキ飲み。死ぬ気かコイツ?



「はぁ〜・・・まぁみんな、食べながらでいいから聴いてね。取り敢えず、明日から例のダンジョンの攻略していくぞ。僕とカティ、従魔4匹で6人パーティーだ。ルナ様はお留守番でよろしいですよね?」

「あら?私も行くわよ。ダンジョン。」


・・・・・・ん?

よろしいですよね?と、自分から聞いててなんだけど・・・え?行くの?


「ルナ様、ダンジョンにまで来て頂けるんですか?」

「頂けるわよぉ〜リョウちゃん。セリスの代わりだって言ったでしょ?ダンジョンだってちゃんと行きますわ。」

「・・・危険ですけど?」

「誰に言っているのです?私は女神ですわよ?」


なんとまあアグレッシブな女神様だ。

だがこれは嬉しい誤算。いや、そもそも僕の女神様のイメージが間違っているのだろう。戦う事なく、天界で仕事ばかりしているのだと思っていたが、現場に出てバリバリ働くタイプだったみたいだ。


「えーっ!!ルナ様も戦うんですか!?楽しみだなぁ。どんな武器使うんですか!?」

「何を言っているのかしら勇者ちゃん?私は採取でもしていますから、魔物は倒しておきなさい。あ、素材は剥ぎ取りますから邪魔しないように。」


・・・ただの寄生プレイヤーだったわ。僕のイメージは間違ってなかったな。



で、ルナ様が行く気マンマンみたいだけど、この世界に6人パーティーって決まりがあるから、この中の1人はお留守番なのよね。

初めて入るダンジョンで寄生虫をパーティーに入れる余裕はない・・・と言いたいところだけど、回復魔法と大容量アイテムボックスを持っているルナ様は、戦わないとしてもパーティーに必須の存在だろう。


カティの卒業課題の為に行くんだから、カティも確定。

そ〜なると戦力的に・・・僕が要らなくない?


「・・・・・・リョウ、いかないなら、イムいかない。」

「そうでございます!ご主人様の命令無しでは、私達は戦えません!」

「そ〜よ、わたしだってサボりたいし。」

「あんただけ楽しようって?最低ね。」


モン娘達から非難轟々である。

なんでや・・・ルナ様だって戦わないって言ってるし、非戦闘員2人も要らないじゃん。


「・・・はぁ〜。リョウ、この娘達は従魔よ?貴方が居ないでどうするのよ?」

「いやいやルナ様。僕は戦力になりませんし。」

「そういう事じゃないわよ。貴方だから魔物は従っているのですわ。私と勇者ちゃんが連れて行ける訳ないじゃない。」


今日の顛末をみてるとそうは思いませんけどね。イムだけだよ?僕を待ってたの。

まぁそうか、やっぱりあかんよな。主人である僕が行かんと従魔は戦わないよな、普通に考えて。



「じゃあ、従魔の誰かに留守番してもらわなきゃいけないな。」

「はいは〜い。わたし残る〜。いいよね?」

「私が残るわよ。貴女はジューを試してきなさい。」

「え〜、ダンジョンって狭いし翔べねぇしでさ〜。メ〜コが行って少しは鍛えてくればいいじゃん。ガリガリですぐ死にそうなんだから。」

「は?大きなお世話よ。」


このパーティー行きたくないやつばっかりかよ。

まぁピノとメイコが行きたがらないのはいつもの事。こういう時に犠牲になるのは大体・・・


「ピノ!メイコ!いい加減にしなさい。ご主人様、今回は私が待機しておきます。」


と、ルシルが買って出るのだ。

う〜ん。今回のダンジョンは時間が限られてるし、できればルシルに来てほしかったんだが。


「引き続き、シュリ様のお手伝いをさせていただきたく思います。いかがでしょうか?」


シュリ先輩の?

・・・確か魔剣の修復中は店を閉めておくつもりだったと言っていたか。修復にはまだ時間がかかるだろうし、その間ルシルを向かわせて、少しでも恩返しできればいいか。


「・・・そうだな。ルシル、頼めるか?」

「お任せ下さい!!」


胸を張って答えるルシル。

・・・なんでこんなのには従うのに、戦いには従わないのか分からない。


「あのちっさい人間に恩を売っとくの?そーゆう事ならしゃーないわね。」

「仕方ないわね。我慢して行くわ。」


ピノとメイコも納得したようだ。

つーか、恩を売るんじゃないからな!こっちが返してんだぞ!大体お前らが悪いんだぞ!もう既に注文しちゃってるから!



「・・・メンバー決まった!?じゃあリョウ!!どれがいい!?なに使う!!?」

「うるさっ・・・はぁ?何?」


明日のパーティーが決まるのを待っていたであろうカティが、デケェ声で脈略のない事を聞いてくる。


「何の話だ?」

「武器だよ武器!?どれ使う?あたしいっぱい持ってるから貸してあげる!?」


武器の事かよ。

一体何があってそういう話になったのか?ていうか、いっぱい武器持ってるって何だよ。

・・・そういえば、武器を沢山装備してる写真を見た事があったな。あの写真を見て、カティの金は底をついてるだろうと思ったんだった。


「いや、僕は銅の剣があるんで。」

「武器や防具はもっているだけじゃダメなんだよ!?ほらっ、コレなんかリョウにぴったり!!」


似合う服を見繕ってるかのように取り出された1本の鉄の槍。

こんな場所で武器出すな!


「槍なんて使えるわけねーだろ!!」

「え〜、ママと一緒でカッコイイのに・・・じゃあコレは?」

「いやいや、鎖鎌とか・・・・・・ちょっと格好いいじゃないか。」


鎖鎌いいじゃん。忍者みたいで。

憧れるよね。鎖を回しながら敵と対峙したい。逃げる相手の足に投げ付けたいよね。


「・・・止めときなさいな。貴方みたいな不器用が使っても、自分の足を切り落とすのがオチですわよ。」


ルナ様に言われなくても分かってますよ。

けど男の子だもの。憧れるんだああやって振り回す武器は。ヌンチャクとかガンプレイとかね。


「・・・んふっ。貴方は木のハンガーでも回してなさいな。お似合いですわよ。」


なんだよ、あれだって普通に格好いいだろ!?ていうかネタが古いよ!?



「なるほど、じゃあコレだったらリョウにぴったりだね!」


なるほどとか言いながらデカい斧出してんじゃーねよ!理解してねぇじゃねーか!!


「・・・って、カティ。さっきから何処からそんな大きい武器出してるんだ?」

「え?アイテムボックスだよ。」

「アイテムボックスぅ?なんだカティ、アイテムボックスなんか持ってたのか?」


カティが持ち上げて見せてくれたのは、まだ新しいリュクサックだ。最近手に入れたって感じか。


「ケイト君が貸してくれたんだよ!」

「はぁ?ホ・・・ケイト君が?」


あの余さんが貸してくれた?

・・・まぁ王族なら魔導具くらいいくらでも持っているだろう。それを貸してくれたって事は、カティを支援してくれたって事か。


「・・・他にも何か貸してくれてるのか?」

「うんっ!暗い場所を明るくしてくれる魔導具とか、ダンジョンの中で魔力溜りを作ってくれる魔導具とか・・・あとコレ!見て!この指輪!装備した人の攻撃が強くなるんだって!スゴいでしょ!?」


カティは綺麗な指輪を自慢げに見せびらかしてくる。

なんか装備品にしては派手な指輪だな。それに左手の薬指って・・・。コイツ、意味分かってつけているのか?

余さんはそういうつもりで指輪を渡したのか?それを頭ファンタジーで受け流すカティ・・・考えただけでも不憫で見れたもんじゃない。

いや、そもそもここはファンタジーの世界。左手の薬指がそういう意味を持っているかどうかも分からない。

ヨハンナさんはどうだったか・・・思い出せん。



「カティ、ケイト君は指輪を渡す時は何も言わなかったのか?」

「えっ!!? いやっ・・・あー、う〜。え、えーっと・・・それなんだけど・・・。」

「求婚されたのか?」

「ええっ!!?何で知って・・・ちがっ、そょんなことにゃいちょあ!!!」


そんな事ない事はないな。コレは。

・・・そうかぁ。ホムト君は、勇者の事を思って動いている人間なのだと思っていたが、勇者を抱き込もうとする貴族達でもあったわけか。

ていうか王子様だよね?結婚とかするなら、他国の姫様とかじゃないの?知らんけど。


「リョウ!リョウ聞いてよ!!ホムト君は何回も結婚しようって言ってくるけど、あたしは全部断ってるの!!!ホントだよ!!!ほんっっっとうなんだから!!!!?」

「声がデケェってもう・・・でも指輪はしっかり受け取ったんだろ?」

「こ、これはスゴい魔導具だから使ってって言われたんだもん!!?確かに渡す時にいっつもみたいに褒められて、それで薬指に・・・・・・あっ・・・ひ、ひだりての、くすりゆび・・・・・・!?? にゃあああああああああ!!!??ちがっ、ちがうもん!!!??うわああああああああああああん!!!!!」


・・・ふむ。やはりこの世界でも指輪の位置は同じか。馬鹿は人目もはばからず泣き出したけど、放置しとけばいい。イムあたりが慰めるだろう。



・・・さて、オシリ王国の王子様・・・か。幸せにしてくれるんなら、カティが誰と結ばれようが何も言う気は無いのだが・・・?

この状況だもんなぁ。カティを抱き込んで何かしらに利用しようって下心があると思った方がいい。純粋に好きで求婚している可能性もあるが、王子様だっていうんだからほぼ無いとみていいだろう。

・・・大人の階段登ったってのは僕の勘違いだな。この様子では一歩たりとも登ってなさそうだ。


一方でカティが卒業出来るように、魔導具の支援をしてくれているようだ。

だがまぁこれも好感度アップの為の行動だろう。立場上、魔導具や金は腐る程持っているだろうしな。


・・・いかんな。悪者と決めつけて、邪推ばかりしていては。

そういえば、カティとホムト君はクラスを授かる前からの付き合いだ。なら勇者だからという理由で近付いて来た訳ではないか。

学生同士でパーティーを組んだ時にも大体一緒に居るしな。僕よりも過ごした時間は長いし、濃密な関係なのだと思う。


ふ〜む、そう考えるとカティの事を思って動いてる人間のような気がしてきた。カティだって信用しているからこそ、長く付き合っているのだろう。

僕への第一印象は最悪だったみたいだが、味方だと思っていいかな。・・・それなら、その権力でこの状況をどうにかしてほしいものだが。



・・・しかし、ホムト君といい、オモチさんといい、関わり合いたくもない身分の人間ばっかりだな。

もしかしたらシュリ先輩も?

可愛さと人の良さに深く考えなかったが、間違いなくいいとこのお嬢さんだよなぁ。流石に2人程ではないだろうが。


「・・・そろそろ覚悟を決めたらどうかしら?このまま進んで、貴族連中と衝突しないなんてありえませんわ。」

「そうっすねぇルナ様。まぁ何かしらあるでしょうね。」


それが良い事なのか悪い事なのか分からんけどね。

できればその辺をゲバルド氏やリュドミラちゃんにやって欲しかったのだが・・・まぁその内来るだろう。


「事が起こってから考えればいいのよ。今出来る事を精一杯やった方がいいですわ。」

「そうですね。ありがとうございますルナ様。」


・・・ルナ様に言われたからか、なんか上手いこと言われた気がする。

だが考えてもどうにもならない事なのは事実。暫くはカティの課題に集中するしかないか。



「ほらほら、大丈夫よリョウちゃん。私がついていますわ。」


どこから取り出したのか、木製のジョッキを僕の前に置くルナ様。

ニコニコ笑っているルナ様からは、何も読み取れそうにない。


チラッとカティの方を見る。

・・・こっちを見る余裕は無いようだ。またイムが肩抱いて親指立てている。


・・・ふ〜。

そうだな、たまには頭カラッポにして夢詰め込んでみるか。

こっちの世界に来て初めての酒だぜ?やはり我らが女神、ルナ様であるな!


ジョッキを傾け、中の液体を勢いよく流し込む・・・






信じられないくらい、甘い飲み物だった・・・。




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