62話:むだでしたの〜〜
「・・・あれはね。4階のダンジョンコアルームと3階のモンスターハウスを、通風口に見せかけたもので繋げていたの。仕掛けを解く者が現れた時の為の保険にね。だからあのポイズンギガゾンビが出た部屋だけは、3階にあったのだけど実は4階だったのですわ。」
「はぁ・・・。確かに地下に進むには、4階じゃなくてあそこを通る必要がありましたもんね。だからボスが出たんですね。」
「そーよ。それとあの学校と電車のエリアは、実は地下じゃないわ。ダンジョンは上に大きくするか下に大きくするか決めたら、もう反対側には階層を作れない設定なのよ。」
「なんですかそれ・・・? という事は・・・ダンジョンの入口は、2階層にあったって事ですか?」
「せ〜かい!細かい事言ったら、3階に入口があったの。地下1階だと思っていた場所は、実は地上1階と2階。学校エリアが2階で、隠してあった病院エリアが1階、ダンジョンコアルームだったのよ」
正解って言われても・・・何が何やらめちゃくちゃっすよ・・・。
ダンジョンは見た目の規模と中の規模が全然違うというけども、もうそこまでいくと真剣に考えるのが馬鹿馬鹿しいな。
・・・馬車に揺られて、数時間が経過。
ファンタジーの冒険に馬車は付き物。だが、未舗装の道を数日もかけて移動するのは大変だろうなーと思っていたのだが・・・。
街の外の道は綺麗に舗装されている。そして案の定、馬車の揺れは少ない。昔乗ってたボロい軽トラの方が揺れるってもんだ。
移動時間も、昔は2週間以上かかると聞いていたのだが、今では10日程でいいらしい。
そうそう、人間って進歩するものなのよ。
楽になった事を感謝しないとね・・・ただまぁ、情緒は無いなあ・・・。
それでも移動時間は10日もあるんですよ。時間にして約240時間。
馬車と並走しているピノとメイコには悪いんだが、暇なんですわ。
だからルナ様とペチャクチャお喋りさせてもらっています。今の話題は、懐かしの悪霊の屋敷のついて。
もうこの世に存在しないダンジョンだからか、ルナ様は盛大に秘密を暴露している。
多分ここまで言うって事は、今後参考になる事は無いんだろうなぁと思う。
「・・・ルナ様、最後に1つ。どーしても分からないとこがあるんですけど?」
「もう粗方タネ明かしはしたと思うのだけど。他に何かあったかしら?」
「学校エリアの隠し階段の事ですよ。アレを発見できたのはメイコがヒントをくれたから発見できたんです。・・・でもメイコってボスの魔物だったから、ダンジョンコアルームから出れない筈ですよね?何であの場所に立っていたのかなぁって・・・?」
「・・・・・・何よそれ。知らないわ。」
「は?知らない?・・・そんな訳ないでしょう、ルナ様。あそこにメイコが立っていたから、ダンジョンを制覇できたんですよ?ポイズンギガゾンビの時みたいな仕掛けがあったんじゃないんですか?」
「貴方、自分でも言ったじゃない。ボスに設定された魔物は、ダンジョンコアルームから出られないわよ。あそこは通路だし、階層も違うわ。ましてや、あの時のアラクネさんはダンジョン側の魔物。ダンジョンマスターに不利な行動は、原則できないのよ。」
「・・・じゃああの赤い着物の幽霊はなんだったんですか?僕のパーティー、みんな見てますよ?」
ルナ様は下唇を尖らせ、不満気な表情で黙ってしまう。
何故ここで黙る。最後ここだけなんだよ。しっかり答えてもらわないと困ります。
「・・・リョウ、こんな話知ってるかしら?」
「なんですか?」
「ホラー物の映画とかゲームを作っているとね・・・たま〜に、制作者の意図していない映像や音が作品に入り込んでいる事があるらしいわ。」
「・・・えーっと、それって・・・どういう意味ですか?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
◆◆◆
ルナ様は馬車が出発する前に2つの事をした。
1つは、レア種ミノタウロスのドロップアイテムの進化。
金貨5枚も払ったのだから、忘れてもらっても困るが。
ルナ様が何気なく指パッチンをすると、周りに変化が起こり始める。
なんと、既に染め上げているみんなの外套や、僕の服にまで変化が起こったのだ。
外套は草色に変わり、所々に金色の刺繍が施された豪華な物に。
多分だが、色はセリスの鎧をイメージしているのか。ルナ様も洒落た事をするもんだ。
そして僕の着ている服は、強く鮮やかで、目の覚めるようなショッキングピンクに・・・・・・
って、なんでやねん!!!!?
なんじゃこの最高に悪目立ちするイカれピンクは!!?
誕生日に詳しいベテラン芸人かっつーの!!!
「ふっ・・・リョウ。安心なさい。あの有名な赤い彗星の専用ザクⅡは、赤いイメージがあるけど、実はピンク色なのよ。」
だからなんですか?それで僕がピンクを受け入れるとでも?
ていうかもう似たようなキャラ出てるんで。ややこしくなるから止めてもらえます?
因みに、肝心のレア種ミノタウロスのドロップアイテムは・・・
「ここがカラープリセット。で、自分で色を設定したかったら、ここのHSVのカラースライダーを弄るのよ。この下にあるスライダーが、光沢処理、メタリック・・・ってしっかり聞いているのですか?」
「え?あ、はい。」
なんか、ルナホとは別の端末を用意されて説明を受けている。僕ではなくメイコに説明して欲しいんだが。
この端末で設定を弄ると、レア種ミノタウロスのドロップアイテムの色が変わるらしい。
これは・・・進化なのですか?
で、もう1つは、従魔達を全員魔物形態にするよう指示された。
馬車の外を行くピノとメイコには、動きやすくていいだろう。
あの2匹の魔物形態は久しぶりに見た気がする。
移動スピードが遅いからか、ピノは退屈そうに欠伸ばっかりしてるし、メイコはさっき渡した端末をながら見しつつ付いて来ている。
イムは小さくなって僕の服の中だ。
これもルナ様の指示なのだが、目的は分かりかねる。
イムに馬車のスペースがないとか、そんなの関係ないので何処に居てもらってもいいのだが。
最後に、魔物形態となったルシルだが・・・
「ん〜〜!!サラサラのフワフワ〜!私一度でいいから、天狼に触ってみたかったのよ〜。」
『・・・・・・・・・・・・。』
ルナ様のクッションとなっていた。
自慢の毛並みをベタベタと触られ、動くことを禁じられたルシルの目は、何処か遠くを見ている。
考えている事は唯一つ。早くこの時間が過ぎ去ってくれと願っているだろう。
旅が終わるのが先か、ルナ様が飽きるのが先か。ただひたすらに待ち続ける彼女の精神は保つのだろうか。
「天狼って、凄くプライドが高いでしょ?だから隠密行動やってるクセに、見た目にも凄く気を使うのが特徴なの。無意識に魔力を使って、毛並みを美しく保たせているのですわ。」
『・・・ハイ、ソウデス。女神様ハ博識デイラッシャル。』
「ん〜〜!!柔らかくて、いい香り〜。洗い立てみたい〜!柔軟剤も使ってるの?」
『使ッテマセン。洗剤モ使ッテマセン。』
輝く白さ、驚きの柔らかさ・・・って、やかましいわ。
「んふふっ。ねぇ〜?メイドさん?私、一度やってみたかった事があるの。やってもいいわよね?」
『・・・・・・イ、イヤ。』
「私ね・・・一度思いっ切り犬吸いがしたかったのですわ!!いいわよね!?やるわよ!!スーハースーハースーハースーハー・・・」
『ア、アァ・・・・・・い、嫌ああああああああああああ!!!ご主人様にもまだ吸われた事無いのにぃぃぃぃぃ!!ご主人様あああああああああぁぁぁぁぁぁ・・・!!!』
・・・僕を呼ぶな。すぐ隣で見て見ぬ振りしてるだろ。
何も出来ないご主人様を許してくれ。強く、強く生きるのよルシル。
・・・しかし、随分と騒がしくしているが、迷惑ではないのだろうか?
この馬車には、僕とルナ様とルシルの他にも、もう一人女性が乗っている。
キツい印象を受ける、切れ目のおねいさんだ。
暗い色の外套を着ていて、大量の木箱に背を預けながら、ずっと書き物をしている。
だが集中している様子はなく、僕達を見たり、外を見たりと、キョロキョロと周りを見ていて落ち着きが無い。
・・・やっぱ迷惑掛けてそうだな。
注意したくても、怖くて出来ないといったところか。
そりゃそうだよ。僕とルナ様の会話なんて、この世界の人間には意味分かんないもん。
なんか相手がルナ様だから気にしなくていいかと思っていたけど、気にしなきゃ駄目だったよな。
と思っていると、おねいさんと目が合った。
丁度いいと思い、口を開こうとすると・・・。
「この魔物達は、貴方の従魔?」
なんとあちらから話し掛けてきた。
ん〜、積極的な女性はいいね。好きになっちゃいそう。
「そうですよ、お姉さん。」
「ではこのフォレストウルフも?」
『適当に言いなさい。』
・・・なんか急にルナ様が念話を送ってきた。
当のルナ様は、ルシルをからかう事に飽きたのか、ルシルに背を預けて携帯ゲーム機を出して遊んでいる。
何気にルナ様から念話を送られたのは初か?いつの間にかセリスと会話してたりするから、前から使えるんだろうが。
「・・・ええ、そうですよ。可愛いでしょ?」
適当ってこれでよかったのか?
何も言われないところをみると、よかったのだろう。
・・・可愛いと言われた事で、ルシルの目がキラキラ恋する乙女になっている。
元気が出たようでなにより。・・・そういえば、ルシルをフォレストウルフとはっきり言われたのは初めてじゃないか?
「では貴方は魔物使い?」
「・・・そうですが、何か?」
私、ファンなんです!付き合って下さい!
・・・なーんて事が少しくらいあってもいいんだけどね。
しかし魔物使いってクラスは、一目見ただけでバレてしまうな。・・・本当は違うんですけど。
「では、3年前にダンジョンを制覇したという魔物使いは貴方?」
『違うと言いなさい。』
おねいさんが喋ると、またルナ様の指示が飛んできた。
嘘付け嘘付けと、碌な命令しないな女神のクセに。
それにさっき散々目の前でダンジョンの話をしてましたが?本来なら知りようのない深〜いところも、あっちの世界の事もな。
・・・まぁ、周りに聞こえないようにルナ様が魔法でも使っていたんだろう。だからこんなトンチンカンな質問をしてくる訳で。
・・・あれ?ちょっと待ってよ。ここで違うと答えたら、ファンです付き合ってくださいの可能性なくなるじゃん!!
『そんなもん最初からねーわよ。早く答えなさい。』
・・・・・・はい。
「・・・ダンジョンが制覇された事は知ってますけど、僕ではないですね。お姉さんは、僕みたいな子供がダンジョン制覇出来ると思います?」
「・・・違うな。スライムが居ないし、相方が少女だ。なによりフォレストウルフでは話にならん・・・。」
fufu………話を聞いてくれません。
随分自分勝手なおねいさんだな君は。
おねいさんは僕の質問に答える気はないようだ。
さっきまで書いていた手帳も仕舞い、眠るように俯いた。
「・・・んふふふっ。」
ルナ様は一人で笑ってるし。
僕があっさりとフラレたのがそんなに可笑しかったのか?
その後は特に会話が起こる事もなく、一行は“ドピュー湿原”に到着した。
見通しのいい広大な土地に、水性植物や湿性植物が生い茂り、大小様々な沼がいくつもある。
その湿原を真っ二つにするように架けられた木製の橋を、商隊が進んで行く。
木製の橋は地平線の向こうまで伸びていて、なおかつ1つも傷んでおらず綺麗な橋だ。
マジで魔法ってのはなんでも出来るんだなぁと思う。数年前なら、この湿原で野宿しないと次の町には辿り着けなかったらしいが、この橋が出来てからというもの、晩までにドピューの町へ着けてしまうそうだ。
・・・因みに、ドピューという地方名に深い意味はない。
湿原では偶に、世にも珍しい白い液体の間欠泉が吹き出すらしいが、深い意味はないぞ。
つーか、間欠泉は熱湯や水蒸気が吹き上がっているんだから、見た目は白いだろう。白い液体などと態々言わんでいい。
それよりも、湿原と間欠泉ってのは共存するのか?いやまあ温泉とかに詳しい訳じゃないんだけどさ。
・・・こんなツッコミ、ファンタジーの世界では意味無い事は分かっているんだがな。
僕のパーティーは、ここまで来た事がある。
ここには毒とか麻痺毒とか・・・所謂、状態異常を治す草が生えているので、冒険がてら採りに来た事がある。
出てくる魔物も大したものではない。枯れ草の塊の魔物とか、カエルとかサンショウウオの魔物とか、あとは鳥かな。湿原のイメージ通りの魔物が出てくる。
で、今まさに商隊は魔物と遭遇し、戦闘している。
先頭の方で戦っているようだが、一番後ろの馬車に居る僕達は待機だ。
護衛のガチムチ兄貴達が全部やっつけるだろう。最強☆とんがりコーン。
まぁ僕達は、後ろから魔物が襲ってきた時だけ相手してやればいい・・・モン娘達がね。
だがここでルナ様から新たな指令が。
イムとルシルに戦闘をさせるなという事らしい。
・・・もうここまでくると、大体予想がつくな。
この目の前に居るキツい印象のおねいさんは・・・九尾が化けているんだな。
なんだよ、見ただけじゃ全然分からなかったぞ。
ルシルが尻尾がどうとか言っていたが、やっぱり駄目だったな。外套でも着て隠されたら、見分けなんてまったくつかない。
まさか王都に移動する馬車にまで付いて来るとは。
おそらく、九尾はパイマーンでルシルの・・・いや、狼の従魔が居る情報を得たのだろう。
パイマーンでは、ルシルを連れて出歩いてたし、従魔達は一人で街をウロウロする事もある。僕の知り合いでなくても、ルシルを見た街の住人はいくらでも居る筈だ。
そして、3年前に悪霊の屋敷が制覇された事も知ったのか。
口振りから、制覇した人物も知っているだろう。制覇したのはフィリップという冒険者と、冒険者ではない魔物使いの少年とその従魔、そして妙齢の女性。
どうしてここまで知っているのか?
多分、冒険者の関係者の誰かが漏らしたんだと思うが、ギルドは情報規制に厳しいイメージなんだがな。
まぁ冒険者一人一人はそうでもないか。金をちょっとちらつかせれば何でも喋る奴も沢山居そうだ。
あの若干ストーカー化していたバカップルとかが怪しいな。あの動物好きのおねいさんと・・・男の方は名前忘れたけど。
とにかく、ルナ様が同行しているのはコレが理由か。
ルシルを何かしらの魔法でフォレストウルフに誤認させ、イムの姿を隠し、自分はセリスと勘違いさせないように幼女の姿と・・・。
なんとまあ・・・女神様にここまでしていただいて。
神に愛されてるって言うのはこういう事か?
そういう事なら、この意地汚いスライムは絶対外に出したら駄目だな。
イムは今、外に出たいと僕の服の中で暴れている。
その理由が、馬車に並走しているピノが、カエルの魔物を仕留めてコンロの魔導具で焼き始めたからだ。
・・・僕の従魔はお上品でしょ?
生で食べんのですよ。ちゃんと焼いてから食べますから。
つーか、移動しながら器用に何をやっとるんだ?
メイコもコンロの魔導具を持ってやらんでいいんだよ。胡椒まで振りかけやがって。
生で食え生で。魔物だろうが。
◆◆◆
・・・おおよそ魔物とは思えない肉の食い方をする従魔と、僕の勝手に動くシャツを見て、何のコメントも無い九尾のおねいさんと一緒に、一行はドピューの町に到着する。
町のインチキ商会の倉庫前まで連れられてから、一時解散となった。
出発は明後日の朝だと告げられた。少し王都への到着が遅くなってしまうが、商隊にお邪魔している以上、仕様が無い。
この街で宿を見付けて二泊し、またこの場所に集合する事になった。
九尾のおねいさんはというと、解散と同時にその場を離れて行った。
「・・・何処に行くんですかね?」
「さぁね〜。天狼と合流でもするのでしょう。」
僕の問いに、ルナ様はこともなげに答える。
『はい?どういう事でございますか?何故ここで天狼が・・・・・・ま、まさか!!?』
ルシルは慌てた様子で九尾の去った方向を見る。
どうやらルシルは、あのおねいさんが九尾だと気付いていなかったらしい。
九尾のモノにはしっかりと弱点があるのです(キリッ)とか言ってたクセに・・・。全然気付けてないじゃんかよ。
「あらぁ〜?魔王の右腕ともいわれていた方が、まさか九尾の幻術も見破れなかったのですかぁ〜?九尾のモノにはしっかりと弱点があるのです!キリッ!とか言ってたクセにぃ〜。」
『ぐっ、グウウゥ・・・・・・。』
ルナ様、それ僕のセリフです。態々心の中で悪態をついたんだから言わないでくだせぇ。
ルシルを撫で回して慰めていると、インチキ商会の人が寄って来た。例の面の皮が張った商人のおっさんだ。
商人は、宿のアテはあるかと聞いてきた。
どうやら従魔OKのお宿を紹介してもらえるらしい。
そうか・・・従魔は人間と同じ部屋では泊まれないよな。
あっちの世界ならペットと泊まれる宿ってもあるが、こっちの世界では無いだろうな。従魔がいる人なんて少数派だし。
また、ルシルくらいなら部屋に入れても怒られないだろうが、鳥とか虫とか居るしなぁ。あとヌルヌルした原生生物が。
当然、ドピューの町には初めて来るし、宿のアテなど全く無い。お言葉に甘えようかと思ったが、ルナ様が宿はもう決めてあると言ってスタスタと先に行ってしまった。
商人に断りを入れて、ルナ様を追いかける。
「・・・ルナ様はこの町に来た事があるんです?」
「そりゃあるわよ。神託で世界中を回ってるんですから。」
「でもそれだと、宿とかには詳しくないのでは?」
「私を誰だと思っているのです?町の事くらい調べようと思えば調べられますわ。」
・・・まぁそりゃそうか。神様だもんな。
「因みに、この町に従魔が泊まれる宿はありませんよ。」
「・・・マジっすかルナ様?じゃあ、さっきの商人は?」
「自分のところの商会がやっている宿の馬小屋に従魔達を押し込めるつもりだったようですね。」
ああ、そういう事か。
あのおっさん、見た目通りの欲深いおっさんだなぁ。
「それに今日と明日くらいは、メイドさんを人間の姿にしておかないといけないわ。もう理由は説明しなくても分かるでしょう?」
「ええ。了解ですルナ様。」
まだ九尾と天狼は油断出来ないようだ。
それに従魔達が泊まる宿が無いらしいので、人間として宿に泊まる事になる。
従魔達に人間形態になるよう指示した。
「じゃあ、宿は結局まだなんですね?」
「先に・・・・・・メシ。」
「そーよ、おなかすいたわ。ごはんごはん!」
宿を決めるより先にメシを食わせろと騒ぐ、食べ盛り1と食べ盛り2。
焼きガエルはどこに行ったというのか・・・。
「イム、ピノ、みっともないですよ。ご主人様が宿を先に決めると仰っているのです。」
と言いつつ、お腹が鳴くのが止まらない食べ盛り3。
君らまだ成長期なのかい?どこがまだ成長するの?胸か?尻か?
「・・・何なの?私が貧相だって言いたいの?最低ね。」
・・・まだ何も思っていませんよメイコさん。貴女はもっと食べたらどうですかね。
「・・・んふふっ。まあまあ、案内はこの女神に任せておきなさい。最高の甘味処に連れて行ってあげるわ!!」
メシだっつってんだろーが!
あぁ、もう!セリスーーー!!カムバーック!!!