6話:いいからその毒針早くしまえよ・・・
月日が流れるのは早いもので・・・
カティが王都に行ってから2年経ちました。
どうも、リョウ8歳です。
最近は畑を手伝うようになりまして、孤児院の奴等と、一生懸命芋植えてます。
元の世界だと、家は田んぼも畑も無かったんだよなー。こうゆう作業は新鮮です。
エリオとリタも本来ならこっちに居るんだけど、今日は孤児院の壁を治しています。
孤児院は建物も古いし、基本的に自力で治すのさ。
僕達はどこぞのバンドアイドルじゃねーんだぞ。
マルタは孤児院の中の方で作業している。
ひ弱って訳でも無いんだが、余り外に出ない。
剣の修業は普通にするが、それ以外は大体、本で勉強している。
マルタには夢があるそうだ。マルタの母親は魔法使いだったらしいので、自分も魔法使いを目指しているらしい。
ルナ様が転生前にも言っていたが、10歳での神託のクラスは、その神託迄の日頃の行いに左右されるらしい。
これは、マルスルナ全体でもそう思われているらしく、特定のクラスに成りたい人間は、10歳迄の間、成りたいクラスの修業をするんだそうな。
後はもう一つ、遺伝も作用するんじゃないかって説もあるとか。
父親や母親のクラス、祖父や祖母のクラスを継いだってこともあるとか。
運も作用されるので絶対ではないが、大体の人間はそれで狙ったクラスを神託で授かるらしい。
マルタは頑張ってるし、母親も魔法使いだ。魔法使いになってほしいなぁ。
エリオは戦士系だろうか?剣の筋もいいしな。
リタは何だろうな。戦士って感じもあるけど、器用だから色々できるしなぁ。
ナイフの扱いはかなり凄くなった。最近は鞭の練習をしている。
何を目指してんだアイツは。考古学者で冒険家でも目指してるのか?
カティも戦士系だろうなー。アイツ強いからなー。今は会ってないから、どれだけ強くなっているか分からん。
カティはレアクラスになるかも知れないな。司祭様もレアクラスだし分からんぞ。
僕はどうなんだろうなぁ・・・。
剣の修業もしてるのはしてるが、相変わらずへなちょこだ。カティに会わす顔がねぇ。
2年前のあの出来事以来、外には出てない。まぁ、うちの最高戦力が居なくなったんなら当然だ。司祭様にも釘を刺されてるし。
あれ以降は刺激も無く、の〜んびりとした時間を過ごしている。
やっぱりカティって重要な人物だったんだな。
あーヤベえなぁ・・・完全に村人コースじゃんこれ・・・。
せめて戦士には成りたいなぁ。魔法を覚えてみるってのも有りだなー。今度マルタに相談しよう。
ここ2年間は本当に平和だった。
なんにもねぇ。平和って良いことなんだけどね。
魔物もあの出来事以降は鳴りを潜めている。
2年前に司祭様とあの出来事について話をしたことがあったな。
あの時は領主様と冒険者ギルドのギルドマスターも交えて会議した。
街の権力者揃い踏みだったな。
あの狼の群れとハーピーの軍団は何故戦っていたかと言うと、ナワバリ争いだろうという結論になった。
僕とカティはナワバリ争いに巻き込まれたという訳だ。はた迷惑な奴等だ。
銀色の狼は魔力スポットに少しだけだが入って来たが、それはレア種だと有り得る話なんだそうだ。
だが、魔力スポットに侵入してきても、戦う気が抜けるのか、襲っては来ないんだってさ。
何故、気が抜けるかというと、魔力スポットでのんびりしてる大量の精霊さんがやってくれると、エルフの学者が言っているらしい。
やはり、魔力スポットは安全な場所なようだ。
魔力スポットにレア種が侵入して来たとゆう報告はたまに有るが、レア種に襲われたとゆう報告の記録は数百年無いとギルドマスターがはっきり言っていた。
本当だろうな、このおっさん。
次に僕だけが銀色の狼に襲われたことについてだが・・・分からんらしい。なんでや!!
偶々だろうとか結論出してんじゃねーよ。一番襲いやすい位置に居たんだろうとか、一番弱そうだったとか、そんな意見も出る。悲しい。
そんな中で、カティだけが僕に味方してくれた。
「いちばんおいしそうだったのよ!!」
もうコイツは放って置こうと思った。
まぁ、どちらのナワバリ争いの後、街にって動きはなかったらしいと、冒険者の偵察隊から報告が有ったそうだ。
問題は、銀色の狼と、ハーピーのリーダーと、最後に襲ってきたピンクのハーピーだ。
ハーピーのリーダーは、ハーピークイーンらしい。司祭様も確認しているので間違い無いだろう。
ハーピーの上位種に当たる魔物で、クイーン自体の実力も高いが、統率力が凄く、クイーンに率いられている軍団の討伐は、冒険者ギルドでも高ランクのクエストなんだそうだ。
ピンクのハーピーはまぁ、レア種なんだろうとのことだ。
司祭様がぶん殴ってぶっ飛ばしたが、普通のハーピーならあれで死んでいると言っていたのでレア種で間違い無いんだそうだ。
レア種と上位種の強さは大体同じらしいが、レア種は上位種のように群れを率いるということは無いんだそうだ。
大体のレア種は一匹狼だそうで、やはり普通と違うので群れに馴染め無いんじゃないかって説があるらしい。
じゃああのピンクのハーピーは数少ない群れに馴染めたレア種って事か。
あのハーピー可愛いかったしな。襲われたけど。
最後に銀色の狼だ。
アイツはフォレストウルフを率いていた。上位種なんだろうと思うのだが・・・
フォレストウルフの上位種は、ブラックファングという魔物なんだそうだ。パイマーンの街ではブラックファング率いる群れに、何度も襲撃されている記録が残っているので間違い無いらしい。
ブラックファングは文字通り黒い狼だ。色が真反対なんですけど?
それに、銀色の狼は魔力スポットにも侵入している。その後来た3匹のハーピーはかなり離れていたのでノーカウントだそうだ。
じゃあなんだよ・・・あの狼は上位種でレア種なのかい?
上位種でもあり、レア種でもあるってどれだけ強いのよ?
ハーピークイーンとは一進一退のように見えたけど、周りのフォレストウルフが押され気味だったからなぁ。
同じように銀色、とゆうか白色の毛を持つスノーウルフとゆう魔物が雪の多い北の国に生息しているらしいが、白い面積が多いだけの白黒斑模様だそうだ。
更に、体のサイズが全然違うらしい。
スノーウルフはフォレストウルフと同じような体格なんだとさ。
つまり、銀色の狼ってのは相当珍しいし、確認されてないんじゃないか?とギルドマスターが興奮して言っていた。
興奮しすぎてカツラがズレてるぞ。この人ハゲだったのか。ちょい役のクセに変なキャラ付けしてくんな!
冒険者ギルドでも、早急に対策を進めるそうだ。
話もまとまって、会議も終了かって時にカティが騒ぎ出した。
「レアしゅなら、もういっぴきみたわ!」
みんなが固まる。
えっ!そうなのか?僕は見てないが、カティは見たんだろうか?
「リョウもみたよね?みんなもみてたよ!」
僕も見てた?みんなってことは、エリオとリタとマルタもか?そんなの居たか?
「な、なんだと!この短期間で3匹も見たと言うのか?」
「う、う〜む。長い間騎士をしたが、我々でもそんなに見たこと無いのであるぞ?」
「エカテリーナ嬢。詳しく教えて貰えますかな?」
おやぢ達よ、興奮しすぎだ。
はて・・・全然思い出せんが・・・何か居たか?
あー!もしかして僕が1時間死闘したスライムか?よく覚えてたな・・・。
「ほらっ!あのきいろい、でんきねず・・・。」
「うおあああいぃ!!!」
僕はカティの口を全力で塞ぐ。
「ぬおぉい!あのネズミには関わるなって言っただろうがぁ!」
「モゴモゴ//////」
カティは何故か頬を桃色に染めた。
何考えてんだコイツ。
「な、何をしているんだ君は!レア種の発見は貴重なのだぞ!未だ解明されていないレア種の・・・」
「うるせぇぇぇー!ハゲェェェーー!!目上の人が居る時くらい帽子取れやぁぁぉぉぁぁぁー!!!」
「な・・・私はカツラでは・・・。」
ギルドマスターめ!半分くらいずれてるんだよ!直せや!
「いいか!よく聞け!アイツはレア種じゃねえ!異世界から迷い混ん!虫がいっぱいいる森で平和に暮らしてぇだけなんだ!間違ってもゲットだだけだしようなんて考えるんじゃねえ!!消されるぞ!!!」
「な・・・何を言っているんだ君は・・・。」
「む。もういいではないか?ギルドマスター殿。」
「そうであるな。何か触れてはいけない物のような気がするのである。」
「お二人がそこまで言うのでしたら・・・。」
司祭様と領主様の説得で、何とか納得したようだ。
分かってくれましたか?
ハゲはちょっと言い過ぎちゃったかな。気持ちは痛い程分かりますよ。
「え!ギルドマスターってハゲなの?じゃあひかりがあたったらピカッて・・・。」
「いやあああああああああ!!ピカって言っちゃダメええええええああああああああああ!!!」
・・・とまあこんな感じだったかな。
2年前に現れたあの群れ達はどうなったのだろうか。
冒険者ギルドが戦いのあった場所を調べたそうだが、死体が沢山転がっていただけらしい。
銀色の狼や上位種とレア種のハーピーの死体は無かったそうだ。
今も森の中で生きているんだろうな。
まあ、あの群れが街を襲って来なくて良かったと思えばいいか。
「敵襲ーーっ!敵襲だーーーっ!!ハーピーの群れだーーっ!!」
えっ?フラグだった?
まぁ、街に敵襲といっても僕達にはすることがない。
まだ8歳のクラスも授かって無い子供だ。
街の防衛には参加させてはくれない。
精々することといえば、孤児院の中に避難する位のものだ。
2年前は外に出て魔物相手に戦っていたというのに、今は孤児院の中で子供達と一緒に固まっているだけだ。
そんな中でマルタが近付いてきた。
大きな本を持っているが、こんな時に読書かよ。
2年経って、更に肝が据わったな。
「リョウ君、面白そうな本を見つけましたよ。」
「何だ?・・・絵本じゃないか。」
現代日本で生きてきた僕には、この世界の娯楽は凄く寂しいものだ。
だがいくらなんでも、もう絵本って歳では・・・ん?この絵って・・・
「白い狼?」
「そうです。正確には大きな銀色の狼だと、絵本の中で書かれていますが。リョウ君が銀色の狼は確認されて無いと話していたのを思い出しまして。」
正確にはギルドマスターがだ。ハゲの。
「内容は、獣人の子供を拐って奴隷として売り飛ばそうとする悪質な奴隷商人を退治して子供を救い、その後獣人の村を襲った魔物の群れも退治したとして、白い狼は獣人達に称えられるというお伽噺です。」
随分過激だな。子供が読む話で奴隷商人って。
「でも、お伽噺だろ?」
「逆にお伽噺でもないと存在しないってことだよね?」
「へ〜。ロマンチックだね〜。もう一回会いたいな〜。」
いつの間にかエリオとリタも来ていた。
「お前ら・・・僕はコイツに食べられそうになったんだぞ。」
「あーごめんね・・・でも変だよね。何で最初に体当たりした時に手加減してたんだろう?リョウは足以外怪我がなかったよね?」
そう。エリオの言うとおりだ。僕もそれは気になっていた。
「それなー。会議の時も分からないってことになったんだよ。私の美貌に酔いしれたとしか・・・。」
「キャッチした時に不味かったから〜、部下にあげたんじゃないの〜。」
この男の娘はほんま。メス堕ちさせてやろうか!?
「リタ君、君には一度徹底的に僕の素晴らしさを教える必要がありそうだね。」
「え〜♡男の子でいられなくなっちゃったらどうしよ〜♡」
駄目だ。何言ったって勝てないよ。
「それは置いといて〜。カティナからまたお手紙来たよ〜。今回は魔導カメラっていう物で絵を送ってきたんだって〜。」
「へぇ。カメラなんてあるのか。」
リタ達はこまめにカティと手紙のやり取りをしているようだ。コイツ、結構マメなんだな。
「知っているんですか?リョウ君。」
あ〜。そうだな。流石にマルタも知らないか。どうやって説明すればいいんだ?
「写真っつーのを撮る道具でな。写真ってのは〜、風景なんかを切り取って紙に写すんだが〜・・・見た方が早いぞ。」
「説明はできないんだね。」
エリオの冷静なツッコミがはいる。
悪かったな。
しかしカメラの魔導具なんてあるんだな。
元の世界では当たり前のような物だが、この世界ではどんな技術でできているんだろう。
写真用の紙なんて無いだろうしなぁ。
まぁ、元の世界のカメラにも詳しいって訳でも無いし、魔法だからなんでもできるんだよ!って言っちゃえばこの世界では終わる話だ。
孤児院にも魔導具はあるぞ。それは、ランプと冷蔵庫、湯沸器などなど。
どれもどんな仕組みになっているのかさっぱり分からんが、魔石さえ補充していればずっと使える。
どれも安くは無いが、生活必需品のような物なので、手に入らないことはない。
だが、魔導カメラとなると凄い高いだろうなぁ。
ただ、明るくするとか、物を冷やすとかじゃないもんなぁ。
カティはどうやって魔導カメラなんてものを手に入れたんだ?
リタが一枚の紙を取り出す。
「はい、これだよ〜。」
うお!スゲー。カラーじゃん。白黒じゃないのか。
魔法ってスゲー!
「うわー。何これ、凄いねー。」
「本当にその瞬間を切り取ったみたいですね。」
「凄いよね〜。でも何か変なんだよね〜。」
3人もビックリしたようだ。当然か。
写真には3人の人物がカメラに向かってポーズを決めている。
真ん中に写っている人物は、ダークブロンドの髪の美少女だ。
領主様の娘のリュドミラちゃんだ。
一段と可愛くなったなぁ。去年からカティと同じ学園に入学している筈だ。
右側にいるのは、金髪の美少年だ。
何だコイツ。僕のリュドミラちゃんに近づきやがって。
嫉妬する位イケメンだな。なんで僕はコイツに生まれ変わらんかったんや!!
まぁ、前の人生に比べたら全然マシか・・・。全然イージーモードだよ。
あ、やべっ、泣きたくなった。
そして問題の左側に写っている奴だ。
ブレッブレのボケまくりの顔の、誰だか分からない奴が写っていた。
多分、髪が赤いし・・・カティだと思う・・・。
「えっ・・・何これ・・・なんだか怖いよ?」
エリオが言う事も最もだと思う。軽くホラーだ。
「あー・・・写真を撮る時にな、動かないようにしないと駄目なんだけどな、動くとこんな風に写るんだよ。」
「折角カティナちゃんのお顔が見えると思っていたのに・・・。」
「あはは〜。カティナってやっぱ残念な子だよね〜 。それより一番右の美少年君がボクは気になるな〜。」
マルタとリタも苦言を言う。
カティもリタには言われたくないだろう。残念度合いではいい勝負だぞ。
手紙も読ましてもらったが、左からカティ、リュドミラちゃん、ホムト君で間違い無いようだ。
右側の男の子は、ホムト君と言うらしい。
魔導カメラもホムト君の物のようだ。
何だ?金持ちでボンボンのお坊っちゃまか?金まで持ってて美形だってか?ハァー、やだね勝ち組は。どうせもうこの二人に手出してるんでしょ?どうしよ。カティが男を知った顔で帰ってきたら。くっそぉ、嫉妬で人が殺せたら。せめて大事な檜の棒がもげてほしい。僕のは棍棒だから。どうせ檜の棒レベルなんだろ?それとも竹竿なのかな?
燃費も悪いし、写真用の紙も貴重なので、取り直しはできなかったらしい。
スゲーなこの紙。ツルツルだ。中世ファンタジーの世界でどうやって作ってるんだろう。だからこそ貴重なんだろうが。
まぁ、授業はキツいが、元気にやっているらしい。
友達も沢山できているそうだ。アイツ順応力高そうだもんなー。
2年経っても残念な子過ぎて顔は見えなかったが、後2年したら会えるだろう。
10歳になった時のルナ様の神託を授かる場所は、生まれ育った場所だと決まっているらしい。
なので、カティのように学園に通うため故郷を離れていても、10歳になった年の4月には、故郷に帰って来ないと駄目なのだ。
孤児である僕達は、育った所となる。つまりはこのパイマーンの街だ。
まぁ、僕は元からここの産まれなんだが。
この世界ではクラスを授かるってのは絶対だ。
ルナ様への信仰心も凄いってのもあるが、クラスを授かるのはメリットしかない。
クラスを得ると、成長の度合いが全然違うのだ。
昔、ルナ様への信仰心が無い人間達がクラスの授かりをボイコットしたことがあったらしいが、クラスを得た人間との成長の差に愕然としたそうだ。
クラスの中で最大の人数にして、最弱のクラスと言われている村人ですら、クラスを得てない人間は、肉体的にも頭脳的にも歯が立たなかったらしい。
それから人間達は、ルナ様を信仰し、クラスは絶対だってゆうのが広まったそうだ。
例えば、将来の夢が商人だったり、村でのんびり農業でもしたいってゆう人でも、クラスは得ていた方がいい。
例え得たクラスが戦士でも魔法使いでもレアクラスでも、商人や農民をやっていいのだ。
それは、クラスを授かる時にルナ様直々に仰るそうだ。
まぁ、ルナ様が直接目の前に現れて、クラスをくれるってんだから、そりゃ信仰心も上がりまくりだわな。
例えそれが黒光りごりごりマッチョでも・・・あっ、この世界の人には美女でしたね。
くそっ!全人類の枕元にマッチョルナ様現れろ!!
そんな事を考えていると、外からいきなり地を震わせる破壊音が轟いた。
えっ!マッチョルナ様降臨ですか?ヒエッ!
突然の爆音に、周りの子供達が怯えて縮こまる。
あー・・・そういえばハーピー軍団襲来してきてるんだったわ。
緊張感なさすぎて忘れてた。
このイベント必要だったか?
エリオ達が窓から外の様子を見に行っている。
ほんとコイツら大物だわ。
「うわー。見てよ!城壁にヒビが・・・。」
「司祭様が居ますね。司祭様の攻撃でしょうか?」
「そうみたいだね〜。ハーピーがボロボロで必死に逃げてるよ〜。無様だね〜・・・あれ〜?あのハーピーって〜・・・。」
暫くして、司祭様とシスターヨハンナが部屋に現れ、ハーピー軍団を撃退したと報せてくれた。
この街の防衛力はかなり高い。
とゆうのも、この街が辺境にあり、お隣は魔族領だ。なので武力が集められている。
この街の警備隊、騎士団、冒険者達、なかなかのレベルなんだそうだ。
さらには、エルフとドワーフの独立領とも協力関係にあるので、オシリ王国の中でもトップレベルの防衛力を持っているらしい。
なので、ハーピーの軍団が来たところで、国が堕ちるなんてことは無い。が、無傷ともいかない。
今回の襲撃は死者は出なかったが、大怪我をしたものも数人いたそうだ。
司祭様に聞いてみるか。最後の事が気になる。
「司祭様、お疲れ様でした。」
「む。みんな無事だな。」
「はい、みんな大丈夫です。ところで司祭様、最後のアレは?」
「む。ハーピーが一匹群れから離れてな。孤児院の方に真っ直ぐ向かって行ったので急いで戻って来たら、またあのレア種のハーピーでな。殴り飛ばしてやったが、また仕留めきれず逃げられてしまった。タフだなあいつは。」
あの時のピンクのハーピーがまた現れたのか。
とゆうことは、今回襲撃したハーピーの軍団って、あの時のハーピーの軍団か?
それに、孤児院に真っ直ぐ向かって来たってのはなんなんだ?
「ぬぅ・・・。考えても分からんだろう。さぁ、後始末で忙しくなるぞ。皆も手伝いに行くんだぞ。私はディーノに会ってこよう。ヨハンナ、後を頼むぞ。」
そういって司祭様は出ていってしまった。
う〜ん・・・。この孤児院に何かあるんじゃないのか?
今後狙われるようなら危ないと思うんだが、そうは思わないんだろうか?
・・・まぁ、原因が分からんし、考えても仕方ないってのはそうかもしれないな。
それよりも大事な事がある。
2年後のクラスだ。
2年後迄に、武術か魔法どちからでも覚えてしまわないと、本当に村人コースになってしまう。
異世界転生までして掴み取ったチャンスだ。物にしなければならない。
しかし、努力かぁ。一番僕に似合わない言葉だわな。
楽してチート貰えないもんだろうか。
そんな救いようの無いことを考えながらまた時は過ぎて行く・・・。