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42話:街周辺の森 多摩川説




次の日。


いよいよ野営もする本格的な冒険に出る日である。


当然、野営をする予定なので、ヨハンナさんに許可をもらって出て来た。

お弁当はいらないの?ハンカチは持った?と世話を焼くヨハンナママを何とか振り切って出発してきた。




相変わらず二日酔いで遅刻したおっさんを迎えに行き、街を出る。

おっさんは昨日の買い物の後からずっと飲んでたらしい。

いいよなぁ〜。僕も異世界の酒とツマミを堪能したいよ。


それにしても、昨日はフィリップさんの言う通りに買ったが、僕が思っていたより買わなかったな。

あっちの世界に居た時も、キャンプなんて学生の時に学校行事でしたくらいだしなぁ。野宿の知識なんか全然無い。

バーベキューコンロとか要らないの?バーベキューしない?ダッチオーブンとかオシャンティじゃね?やらないかぁ。そうかぁ。


買った荷物は、僕の麻袋風のアイテムボックスとセリスのアイテムボックスに入れている。

僕の麻袋には大して入らないのだが、やっぱりこれはアイテムボックスなんだね。重さが全然ないんだよ。

他の冒険者はこの荷物を持って歩くんだもんねぇ。大変だよ。



悪霊の屋敷に向かう道中は、割と平和だった。

まぁ、ルシルが居れば大抵の道中は平和だろう。

丁度いいのでフィリップさんに気になって仕方がなかった事を聞いてみる。


「・・・よく知ってるねぇ、リョウ君。この武器はこの辺だとサムライソードっていうんだけど、獣人はカタナって呼ぶんだ。」

「ま、ま、マジっすか!じゃ、じゃあこの辺にもカタナってあるんですか!!?」

「う〜ん、無いんじゃないかなぁ。製法も複雑だし、何より良質な鋼がないと・・・。」

「あぁ、玉鋼っていう鋼がいるんですよね。」

「タマハガネまで知っいるのかい? ・・・よく知ってるねぇ。リョウ君って本当に獣人じゃないんだよね?」


獣人じゃねーよ。フィリップさんみたいな萌え耳無いでしょう?


くっそ〜。僕も刀使いたかったよぉ。なまくら刀でもいいんだ。本当に無いのかよ!?

刀を装備して魔物を倒す。元日本人として憧れるじゃないか。


他にも、獣人の里には米があると聞き出せた!

おおおおおおおおお!!米っ!!!米ですよ!!

もうね、この世界の固いパンにはうんざりなんだ!日本の米じゃなく外国産の米でもいいから米が食いたいんだよ僕ぁ!




もう、獣人の里は日本っぽい場所だと確定したな!

後、大事なのは味噌や醤油などの調味料があるかどうかなのだが・・・そうこうしている内に目的地に着いてしまった。


「無事に到着したね。ここが悪霊の屋敷だよ。」


知ってるんだよなぁ。


森が開けた場所に、おどろおどろしいオンボロの洋館が現れた。以前と変わらない姿の悪霊の屋敷だ。

ん?・・・いや、ちょっと増えてるな。

野営したような跡がある。あれは他のパーティーが野営してたのか?今は居ないみたいだが。

こんな場所でよく野営なんかできるな。

しかもダンジョンの真ん前でしょ?怖過ぎて眠れねぇって。


・・・・・・あれ?

じゃあ僕達は何処で野営するんだ?

まさか同じ場所なんじゃないだろうな?



「フィリップさん。僕達は何処で野営する予定なんですか?・・・まさかダンジョンの目の前だったりしないですよね?」

「え?そうだけど・・・?」


やっぱりそうかぁーーっ!!

うおおおおおお!急に帰りたくなったぞ!私は!

おらっ!急に腹とか痛くなれ!!そんでモン娘達に労られながら帰るんだよ!!


「・・・あぁ。大丈夫だよリョウ君。ダンジョンの入口っていうのは基本的に魔力溜まりになっていてね。魔物は入って来ないから安全だよ。」


な、なぁんだ〜。やっぱりそうかぁ〜。

いやぁ〜、当然僕は気付いていましたよフィリップさん。魔力の?・・・えーっと何だっけ?密度?が濃厚でコクがあるとか思ったもん。


「こういった魔力溜まりはダンジョンの中にも点々とあってね。そこを利用しながらダンジョンを攻略していくんだ。」


はぁ〜。そういう風に攻略していくのかぁ。

都合よく便利な場所があるもんなんだね。ゲームでいうと、ダンジョン内にあるセーブポイントって感じか。

まぁここより規模の大きいダンジョンはいくらでもあるんだろうし、1日じゃ攻略しきれないダンジョンも多いのだろう。そんなダンジョンは、ダンジョン内でキャンプして攻略していけと。


ほぅほぅほぅ。分かりました、やりましょう。

シティボーイの僕にはキツい生活かもしれませんが、こちとら亀甲縛りで臭い飯食ってた事だってあるんですよ?・・・あ、嫌な事思い出しちゃった。やめとこ。




「さて・・・まだまだ野営の時間には早過ぎるし、ダンジョンに入ってみようか。」


フィリップさんが待ちに待った一言を言う。


僕は麻袋から悪霊の屋敷の地図を取り出した。

この地図は冒険者ギルドが作って、売っている地図だ。探索が完了している事もあり、3階層全ての地図が売ってあった。

これも昨日の買い物で、フィリップさんの勧めで買った物だ。内部の構造が分かるだけでも安全度は増す。あって損は無い物だろう。


ただ、1つ問題が。地図の信憑性は高いようだが、ダンジョンは偶に内部構造が変わるようだ。100パーセント信用するなという事らしい。

でも内部構造が変わる事は悪い事ばかりでは無い。宝物も新たに現れる可能性もあるのだ。

以前に金魚のフン先輩が魔剣を見付けて調子に乗っていた事があったが、あれは他のパーティーが捜索した後のエリアに現れた宝を、偶然最初に見付けたのが金魚のフン先輩パーティーだったという出来事だ。


つまりは、腕のいいパーティーがダンジョンを攻略しきった後でも、誰でも変態でも夢があるという事だ。

まぁ、一番最初に攻略した者が一番儲かるってのは当然だが。



転生してから6年・・・か。

僕がこんな美少女達とパーティーを組んでダンジョンに挑むなんて、想像も出来なかったよ。

願わくば魔剣を我が手に!初めてのダンジョン!始まりますわよ!!


入口の扉くらい僕が開けないとな!

なんたって僕はこのパーティーのリーダーですから!


段差を上がり、重厚な木の扉を思いっきり引く。

見た目程重くなかったが、ギィーっという重そうで不気味な音が鳴った。

悪霊の屋敷・・・中は・・・・・・・・・。




僕は扉を閉じる事にした。



「ちょ・・・リョウさん。どうしたんですか?」


いやいや、あのですねセリスさん。

凄く見てはいけない物を見た気がするのです。

私、あの光景見た事ありますよ!ヤバいですって!


「リョウ君、今更怖気付いたのかい?大丈夫だよ、君にはこんなに頼れる仲間が居るだろう?」


いーや、怖気付いたね。そんな良い事言ったみたいな顔しても駄目だね。

駄目だよあれ絶対。登場させたらだめだって。


そんな僕の思考とは裏腹に、フィリップさんが扉を開けてしまった。

セリスやモン娘達もその後に続いて悪霊の屋敷に入って行く。


どうしてこういう時だけリーダーの僕を無視していくの?

はぁ・・・まぁいい、がんばれ僕。




諦めて、悪霊の屋敷に入る。

目の前に広がるのは・・・巨大な玄関ホールだ。

中央にはこれまた巨大な階段。そして巨大なホールに凄く合っている巨大なシャンデリア。

所々に高価そうな絵や、壺。石像がある。・・・タイプライターがあるのは気のせいかな。そうに違いない。


これだけ言えばとても豪華な屋敷なのだが・・・雰囲気はとても不気味だ。

絵なんか地獄みたいな絵ばっかりだし、壺や石像は漏れなくヒビが入っている。

なにより薄暗い。怖い。マジ怖い。

絶対スライムだとかホーンラビットだとか、可愛らしい魔物なんて一切出ない。絶対ゾンビがでるわ。


そしてゾンビが出るという事は別の意味でヤバい。

このサバイバルホラーな屋敷には既視感がある事になる。

この世界ってこんなダンジョンばっかりなのか?それはマズい。ダンジョン探索の夢は早々に捨てるべきだ。



「あの・・・フィリップさん。ここに出る魔物ってどんなのがいるんですか?」

「そうだね・・・。骨戦士とシーツゴースト。ゾンビの魔物が2体いて、ポイズンゾンビとマイコーゾンビ。後はアラクネとヘビーマンも確認されているよ。」


よかった。ゾンビだけじゃないんだね。あーよかった。


まぁこの通り、探索終了しているから生息している魔物もハッキリと分かっている訳で。

本来のダンジョン探索なら、突然情報にない魔物が出てもおかしくないのだが、ここ悪霊の屋敷はもう心配ないだろうとの事だ。


「この中でも注意しなければいけないのは、ポイズンゾンビとヘビーマンだね。毒を持っているから、もし毒に掛かったら毒消しを使うようにね。」

「はい、フィリップさん。昨日買ったやつですよね?セリスがしっかり持っています。」


昨日、キャンプ道具の他にも色々買った。毒消しもその一つだ。

まぁ毒を消すならセリスの魔法で回復出来るのだが、ダンジョン攻略では余力を残して戦うのが定石と言うフィリップさんの助言により購入した。

所謂じゅもんつかうなって事だろう。まぁ毒消し魔法くらいでセリスのMPが尽きる事は無いだろうが、この世界の住人にMPなんて分からないだろう。



「後は、シーツゴーストが厄介だったりするんだけど、コイツは・・・。」

「失礼します。ご主人様、魔物が現れました。」


フィリップさんの言葉を遮り、ルシルが魔物が来た事を知らせてくれる。


ルシルが見ている方向を確認すると、階段近くの部屋の扉が開け放たれ、中から突然白い物体が現れた。

数は3。白いシーツを頭から被ったようなやつが宙に浮いている。更に顔であろう部分には、油性ペンで目と口が可愛らしく描かれている。

後は申し訳程度に短い前足?が、オバケだぞ!と主張している。

も、もしかしてこれが・・・ゴーストか?


「早速出て来たね。あれがシーツゴーストだよ。物理攻撃があまり効かないから、魔法で倒そう。」


やっぱりそうかあ!!

シーツを頭から被ってるからシーツゴーストね!

何だよあれは。全然ホラーじゃないわ!ビビってて損したわ!


しかも物理はあまり効かないって。効きはするのね。

ゴーストって名前を冠するならさ、物理くらい無効にしなさいよ。

そして何で律儀に扉開けて登場してんだ?ゴーストならすり抜けて来なさいよ。



そんな思いとは裏腹に、戦闘は進んでいく。

イムとルシルの物理攻撃にしっかり怯まされて足止めされ、セリスとピノの魔法でしっかりトドメを刺されている。

ダメージを受けた時にシーツゴーストの顔が痛い!っていう顔に変わっていて、表情豊かで非常にコミカルな魔物である。

じゃあ、あの顔って油性ペンじゃないんだなぁ・・・・・・どうでもいいな。



あっという間に戦いは終わった。

そんなに厄介なのかこいつら?


「やっぱり強いね、リョウ君の従魔達は。」

「当然でございます!ご主人様なのですから!!」


もうええってそれ。


倒されたシーツゴーストは、只の布のようになって地面に倒れている。

随分楽しげな魔物だったなぁ。

こういう奴も一匹くらい従魔に居てもいいんだが。なんかこう、仲間にしたら鹿児島弁で喋ったりしないかな?

まぁ、レア種じゃないから無理なんだろうけど。


セリスがシーツゴーストの魔石を取ってくれている。

ビリビリと布を引き裂くと、中から簡単に魔石が出て来た。

あれなら僕でも出来そうだ。次からやろう。




「さて・・・。行き先はリョウ君に任せるよ。今回は地図もある訳だし、無理をしなければ大丈夫だから。」


フィリップさんはどうやら僕に探索の仕方を委ねてくれるようだ。

そうだなぁ・・・やはりダンジョンの探索といえば隅々まで調べ、宝箱を逃さぬ事だ。

RPGの鉄則とも言っていい。今装備している物より強い装備があるなんてのは定番だからな。


だが、この悪霊の屋敷。外の見た目以上に広い。

外観と内観が全くもって違う。

前にパーラさんが言っていたが、見た目は2階建てだが中は4階建てなのだ。

しかもこの目の前にある玄関ホールの大きな階段。これは2階に上がる階段ではないらしい。2階に上がる階段は別にあるとのこと。


これだけでもダンジョンってのが摩訶不思議な場所ってのが分かるだろう。

飽きる事なさそうねぇ。宝箱もあるし。



まぁ定番に則って、宝箱を探してみますか。

1階の地図をよく見る・・・あるじゃん。近くに宝箱の発見報告のある部屋が!


「フィリップさん!まず此処を覗いてみませんか?」

「あぁ、そうだね。まず宝箱の発見報告のある場所を調べに行くのは正解だよ。凄いね、リョウ君。」


えっへっへ〜。そうだろ?僕ってすごいだろ?

・・・・・・ってなる訳ねーだろ!子供じゃねーんだよ!お前より多分年上だからな!!

ルシルがいつもの台詞を言ってふんぞり返っているが放って置こう。


「よし、じゃあ地図によるとあっちの扉だな。・・・セリス、先頭頼みます。」

「えっと、リョウさん?何故私の後ろに隠れるのですか?」


馬鹿野郎お前、こんなバイオでハザードな場所先頭で歩ける訳ねーだろ!

ゾンビが出たら僕は絶対戦わないからな!もとより戦わないからな!



セリスを前に押し出して、扉を開けさせる。

当然のように不気味な音を立てる扉を、セリスの後ろにくっついて通った。

何故かイムも僕のマネをしてくっついているが、多分あれは何も考えてない。放って置こう。

そして、「何故セリスの後ろに!ご主人様!私の後ろをお使い下さい!」と言っている奴も更に放って置こう。


そしてこの扉の先を右に・・・右に・・・・・・あぁ!だめだぁ。ルシルが五月蝿い筈なのに聞こえるよぉ・・・。

な、何か肉的な物を咀嚼する音がしっかり聞こえちゃうのぉぉぉ。

左側の通路の奥から聞こえるのぉぉぉ。

み、見たくない!スルーしたいぃぃぃ!!


「ご主人様、あちらの奥に魔物がおります。」


知ってんだよおおおおおお!!誰でも分かんだろおおおおおお!!


「どうするんだいリョウ君?」

「いえ、スルーでお願いします。」

「えっ?相手は多分ポイズンゾンビだから、いい訓練になると思うよ?」

「いえ、スルーでお願いします。」


フィリップさんは親切で言っているんだろう。でもいらん気遣いだ。


「ご主人様のお手を煩わせるまでもありません。ここは私が・・・。」

「それ採用。ルシル行ってくれ。なるはやで。」

「っ!? お任せ下さい!!!」


ルシルは凄い勢いで走って行った。調理器具持って。

もうフライパンの小気味いい音が鳴っている。



「リョ〜君ってさ、もしかして怖いの?」

「そうだよ。怖いよ。」

「ふふ〜ん、ダッサwwリョ〜君ってこんなのもダメなの?不気味なのは雰囲気だけで、相手は魔物じゃん。」

「あのなぁピノ。人にはどうしても苦手なもんってのがあるの。僕のそれがゾンビなんだよ。そんな人をからかうんじゃないよ。」

「わたし人じゃないし。ハーピーだも〜ん。」


くそ、小学生みたいな言い訳しやがって。

後で泣いても知らんからな!


その後、ポイズンゾンビを倒したルシルが、イムに解体させる為にポイズンゾンビの首だけ持って帰って来た。

泣くのは僕になってしまった・・・。




目的であった、宝箱発見報告のあった部屋に辿り着いた。

魔物が待ち受けていた!なんて事も無かったが、宝箱も無かった。

まぁ探索終了宣言の出ているダンジョンならこれが普通だ。そんな都合の良い事がある訳ない。

全ては僕の運次第・・・。見付からなくても、練習だと思って諦めるしかないな。


次の目的地は、2階に上る階段の近くの魔力溜まり・・・つまりはセーブポイントの確保に向かう事にした。



道中、ヘビーマンとアラクネにも遭遇した。

ヘビーマンは体重の重い巨体の魔物・・・かと想像していたのだが、重い(ヘビー)ではなく蛇だった。

マンの要素は何処なんだよ。只のデカい蛇じゃねーか。

毒があるらしいが、さっさとセリスが真っ二つにしてしまったので、それを体験する事はなかった。


一方アラクネだが、密かに僕の従魔候補と考えていた魔物だ。

蜘蛛の体に女性の上半身が生えている魔物。実際に会ってみると、やはり想像通りの魔物だったのだが・・・ハーピー同様凶悪な顔をしていて、この私の海より深い性癖でも萌えを感じる事は出来なかった・・・。

悪霊の屋敷に生息する魔物の中でも、単体では1番強く厄介だそうだ。

体内で分泌したであろう糸を、某アメコミヒーローばりに飛ばしてきたのだが、これをルシルがお鍋の蓋で受け、反撃で投げたフライパンがアラクネの頭部を陥没させていた。

強い!フライパン!そして壊れてもない。丈夫!フライパン!


つーか、僕達相手に一匹で出て来るのが駄目だよ。瞬殺しちゃうから。

まぁ、ダンジョンってのは階層が上がるごとに敵が強い種類に代わったり、一度に出て来る数が増えたりするそうだ。

ここはまだ1階だからな。まだまだこれからよ。



んで、無事にセーブポイントに着いたのだが、先客が居た。

扉を開けると、男女が如何わしい雰囲気を発して抱き合っていたので、お邪魔しましたーと閉めてあげた。

なにダンジョンで盛ってんだよ。あれか?生きるか死ぬかの戦いをしてきたから本能で種の保存を・・・ってやかましいわ。


「あはは・・・。偶に居るんだよああいう人達もね。まぁ2階に上がって直ぐのところにも魔力溜まりはあるから。」


とまあ、フィリップさんの言われるがままに2階のセーブポイントに向かうことにした。



「ぷぷっ。ね〜リョ〜君。さっきの人間の番いは何をしてたの?お姉ちゃんに教えてよ。」


誰がお姉ちゃんだ。

と、ピノがニヤニヤしながら聞いてくる。


僕をからかおうなんて10年早いわ。

誰が顔を真っ赤にして、えっ!?そ、そんなの僕は知らないよ!ピノお姉ちゃんのバカ!!なんて前屈みになりながら言うと思ったか?


「前戯中だったな。」


僕の色気の無い回答に、ピノが溜息を吐いてガッカリする。

魔物のくせにスゲー性癖。とんだ変態だな。紳士な僕とは大違いだ!



・・・ん?あれ?こいつ魔物だよな?

なんでこんな事に興味があるんだ?

セリスが恥ずかしそうにしてるのはむっつりスケベだから分かるんだけど、なんでイムやルシルまでソワソワしてるんだろう?

いや、ルシルは魔族だから子供を産むんだったな。前にもドン引きな事言ってたし。

スライムやハーピーは繁殖しないって聞いたが?交尾って概念もないんじゃないだろうか。

随分と夢の無い話ではあるが、これがこの世界の魔物である。仕方ない。


でもこうやってさっきのバカップルを意識している事は、あの後何をしているのか、それがもっこりパーリィナイトな事なんだと分かってるって事だな。

裸を見られるのも恥ずかしいみたいだし・・・何だろ?やっぱレア種だって事なんだろうかな?




「着いたよ。ここから2階へ上がるんだ。」

「えぇ・・・これがですか?階段じゃなくて、梯子なんですね。」


フィリップさんが指をさしたのは、何の変哲もない木の梯子。それが2階であろう空間に伸びている。

こんな豪華な屋敷なのに、階段じゃなく梯子なのか。

冒険者の誰かが設置したのかと思ったが、ガッチリと固定されていた。これは最初からこうなってるんだな。


「じゃあお先に失礼するよ。」


そう言ってフィリップさんはさっさと梯子を登る。

これは・・・気をつかったな?

でもねフィリップさん。僕は気をつかわないよ。だってこれはまたとないチャンスだからさ!


「さ!セリス!登れ!!遠慮なく!!」

「・・・いえ、私は最後でいいですよ。リョウさんが先に登って下さい。」


くぅっ!!?こいつ!僕の心を読みやがったな!!

馬鹿野郎っ!ここでパンチラしないで何がお色気担当だよ!!


「くっ・・・仕方ない。イム、ルシル。先に登るんだ・・・。」

「いいえ!ご主人様より先に私達が登るなど・・・。」

「頼むっっ!!もうお前達しか居ないんだっ!!先に登っておくれ!!」

「は、はいぃ!!ただ今登ります!!」

「・・・・・・先、のぼる。」「わたしは飛んでいくね〜。」


むほほ。さあさあ登れ!

3人同士のパンチラ祭りじゃ!!

時にはキック時にはパンチ!パンツが見えても気にするな!!



・・・・・・・・・・・・は!?えっっ!!?


「お、お前らぁ!!!下着は履けって何回も言ってんだろーが!!!」


蜘蛛の子を散らすように逃げるモン娘達。

マジかよアイツ等。ここまでノーパンで来てたのか・・・。

なんでエッチな雰囲気には反応するのに、パンツは履かねぇんだよ。

僕の他にもおっさんが居るっていうのに・・・あぁ、ゲバルドパパ、ヨハンナママ。僕にはレア種の女の子が理解出来ません・・・。




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