40話:とってつき 丸い鉄の板
いつもの脚フェチ門番に見送られ、街の外でる。
脚フェチはルシルのロングスカートを見てガッカリしていたが、ピノの脚を見てご満悦だった。
でもやっぱりセリスの脚がお気に入りらしい。太っても変わらないという事か。
まぁでも僕も今の体型くらいが丁度良いと思うんですよ。
むしろ好き。ベストのムチムチ具合だ。
でも怒られそうだから言わないよ。黙ってダイエットを手伝う事にしよう。
さて、街の外に出て、かつてうちのモン娘達が生活していた森に向かっている我々ですが、ここで何故約1年も燻っていたのか説明をしよう。
まぁ大半の理由は僕が情けない男だからってのが理由だが、他にも理由が一応あるのだ。言い訳みたいな感じになるが聞いて欲しい。
それはうちの新戦力、ルシルの存在だ。
ご存知の通り、ルシルは元魔王軍の幹部様で、魔王軍の四天王なる奴等と同等の力を持っていたそうだ。
そんな魔王の前哨戦で戦うやべー奴等が弱い筈もなく・・・うちのパーティーは大幅に戦力アップした。
当然、ルナホのつよさで見た数値は他の奴と桁違い。
チートを貰ってないカティが2〜30人くらい居るといい勝負になるんじゃないだろうか。
そしてスキルの欄がこれだ。はいドン。
とくぎ:気配察知Ⅲ、気配遮断Ⅲ、变化、念話
まほう:風属性Ⅲ、水属性Ⅲ、土属性Ⅱ、氷属性Ⅰ、時属性Ⅲ、瞬間発動
とくせい:魔狼の頂点、毒弱点
そう。何かまほうが凄い事になっている。
そしてなんか中二病なとくせいもある。多分セリスと同じユニーク的なものだろう。中身も分からんし、気にせんでいいだろう。
それよりも毒弱点が気になる。ルシルを倒すには毒を使えば良かったんだな。まぁもう必要無いんだけどな。
こうしてみると、ルシルは意外に魔法型だったのだ。肉弾戦しか見た事は無いがな。
属性の後に書いてある3本線とかは多分ローマ数字だ。
これによると風、水、時属性が得意で、土属性が普通、氷属性は不得意という事になる・・・とルシル本人が言っていた。
瞬間発動ってのは、まほうの欄にあるし、所謂無詠唱というやつだろう。なかなかチートなものを持っている。
そして問題のスキルが、とくぎの欄にある気配察知Ⅲだ。
まぁあれだ、クラス盗賊が得意な、敵を先に見付けるというスキルだろう。リタやパーラさんが得意としていた事だ。
今のうちのパーティーに、その2人は居ない。
だからその2人の代わりとして、1パーティーに1人は欲しいというクラス盗賊の役割をルシルがしてくれる筈だった・・・。
だが、ルシルの索敵能力は、例によって桁違いだった。
いや、気配察知だけならこうはなっていない。そこに時属性魔法という規格外が加わり、桁違いとなってしまったのだ。
ここである日の出来事を思い出してみよう。
ルシル、ピノが僕の従魔となってから数日後。ルシル達と初めて冒険に出た時の事だ。
街の門を出た瞬間にルシルがこう言ったのだ。
「ご主人様。約1キロ先にスライムが2匹。その300メートル先にウマシカが1匹。そのウマシカを狙って、森に3匹のハーピーが潜んてございます。更に森の中を800メートル進んで・・・。」
「ちょ、ちょっと待て待て。そんなに先まで分かんなくていい。つーか、本当にそんな先まで分かるのかよ?」
「はい。私はご主人様のメイドでございます故。」
「いや、意味分からんけど・・・。それじゃあ、スライムから軽く行ってみるか?よし、みんな行くぞ!」
「いえ、ご主人様。もうスライムはそこにはおりません。」
「え?移動しちゃったのか?」
「いいえ、ご主人様。死体はここにございます。僭越ながら、私が半径3キロ以内の魔物を処理いたしました。次は、半径5キロ以内の魔物を処理させて頂きま・・・。」
「ちょちょちょちょちょぉーーーい!!待て待てぃ!!?何やっとんじゃあーーーっっ!!!」
・・・・・・とまぁこんな感じでだ。
手品のように目の前に現れた、大量の魔物の死体。
そしてそれを、後ろで僕達を見送っていた脚フェチ門番にもガッツリ見られたのだ。
あーあれは焦ったね。
咄嗟に出た言い訳が「テッテレーーーッ!!今日はいつもお世話になっている門番さんにサプラィーーズ!ここの魔物全部ぅーーあげちゃぁ〜う!」とポーズ付きで言ったんだ。上手く誤魔化せただろう(適当)。
そして実はこの現象、以前にも見ていたのだった。
あの悪霊の屋敷から、オシリ山の魔力スポットまでルシルに案内されていた時だ。
パーラさんが魔物の気配が一切しなくなったと不思議がっていたが、何の事は無い。ルシルが気配察知と時属性魔法で見付けた魔物をぶっ殺していたのだった。
バリアを張ってとか、殺気を放ってとかそんなもんじゃねぇ。気配察知に魔物が引っ掛かったら時魔法で時を止めて走って殺しに行く・・・なんとも呆れた力技で僕達を守っていたのだ。
このままじゃいけない。
門番さんに死体を押し付けてその後、全力でルシルを叱って涙目にさせて、セリスと一緒にモン娘達を徹底的に教育したんだ。
イムとピノは巻き込まれた形だが、まぁコイツ等にも人間社会で生きていく程の常識はねぇし、丁度いいだろう。
いや、教育と言っても、意味深とか厳しいものじゃないんだよ?
元は魔物な訳だから、無茶な事は言う気は無いんだ。本当に最低限の事なんだよ。
例えば、人を簡単に殺そうとするなとか、下着はちゃんと毎日履けとか、そんなんだ。
そうなんよ。コイツ等下着履かねぇんだよ。なんで裸だと恥ずかしがるのに、下着は履かねぇんだつーの。
パンツは履いてなくても見付からないとして百歩譲っていいよ?でもブラは駄目だわ。浮いちゃうでしょう?君等いい乳してんだもん。自覚もてよ。
とまぁ、こんな感じで気付けば1年経ってた訳だ。
ほんと頑張って教育したんだよ。
さっきも見たろ?リュドミラちゃんにあれだけ蹴られたってのに、ルシルは我慢してたんだぜ?これも教育の賜物ですよ。
教育してなかったらリュドミラちゃんは今頃、頭と胴がお別れしていたね。
まぁ、1年の大半を僕の怠慢で無駄に過ごしたのは事実。
なーんも誇れる事なんてないんですけどね・・・。以上、説明おわり!
「・・・あの〜、誰に対して説明をしているのですか?」
ん?そりゃあねぇ〜セリス君・・・
「そんな事はどうでもいいだろ?それより、運動はどうしたんだよ?」
「は、はい!運動!うんど・・・い、いえ!冒険です!何を言っているんですかリョウさん!!」
と言って、無駄に走って行ってしまう。
いつも以上に足音が大きい・・・気がするだけだな。
「何をやっているんですかあの天使は・・・。ご主人様、セリスの行った方向にクッコロオークが2匹居ます。」
「それはまずい。セリスがクッコロされてしまう。イム、ピノ、頼めるか?」
「おっけー。」「・・・・・・ん。」
・・・どうだぁ!これが教育の成果ですよ!
ルシルには索敵範囲を狭めてもらって、時属性魔法も使用禁止、戦闘には極力参加させないようにしたんだ。
これを提案した時のルシルと言ったらもう・・・
「そんなの!ダメです!危険です!ご主人様が危ないです!!せめて半径2キロの安全だけでも確保させて下さい!」と駄々をこねたのだ。
何だ?僕は超A級スナイパーにでも狙われてんのか?
まぁそんな我儘は通らせる訳にもいかないので我慢してもらった。
たが代わりに、冒険中は僕の側を離れないということになった。
これにはルシル以外の者が反対していたが、ルシルが頑として譲らなかった。
つーか何でセリスまで?・・・まぁいいか。
戦闘は鮮やかに決まった。
クッコロオーク一匹とタイマンになったセリスの動きは、多少太ったところで何も変わらない。
愚鈍なクッコロオークではセリスに敵う筈もなく、的確に急所を突かれ絶命した。
もう一匹はイムとピノが相手をした。
イムは両手を前に出すと、それを触手のように伸ばして、クッコロオークの体に絡みつかせ、動きを封じた。
クッコロオークは素早くない分、パワーはある筈なんだが・・・それをイムは難なく止めてみせた。
そこをピノが爪で頭を連続で攻撃する。
2匹の連携に為す術もなく、クッコロオークは倒された。
「リョ〜く〜ん。やっぱ手の爪じゃ戦いにくい〜。元の姿に戻っていいでしょ?」
「だめです。」
「えぇ〜・・・。」
魔物形態のピノも可愛い。だがあのミニスカートが無くなるのが駄目だ。到底認められるものではない。
しかし・・・あんなに動いても中身が見えないとは。なんて鉄壁のスカートなんだ!
だがそれでこそだよ!簡単に中身の見えるスカートなど・・・いや!どっちも萌えるかな!!
「ピノ、アレはどうしたんだよ。羽根を飛ばすやつがあったろ?」
「あ〜うん。あれね、あんま威力ないんだよね。特にさっきみたいなデカい奴には、結構当てないと死なないし。」
ふ〜ん。
イムの体を吹っ飛ばしてたんだし、威力はありそうなものだが。
クッコロオークのような肉の塊みたいな奴には効果が薄いって事だろうか。
威力かぁ・・・威力ねぇ。
僕は改めて、ルナホのつよさでピノのスキルを見てみた。
とくぎ:浮遊、不可視の爪、羽根硬質化、变化
まほう:風属性魔法Ⅰ
とくせい:土属性無効、雷属性弱点、氷属性弱点
むむ?とくせいがひこうタイプ・・・いやいや、この世界にそんなものは無い。
大して羽ばたいてないのにいつも浮いているのは、とくぎに浮遊ってのがあったからか。
このラインナップから察するに、羽根を硬質化して風属性魔法で飛ばしているという事か。
う〜ん・・・威力が上がりそうなものは無さそうだ。新たに何か覚えたりとかすればいいんだけどな。
ただ、爪の件は何とかなりそうだな。
「ピノ。とくぎの欄に不可視の爪というのがある。さっきからその手の爪で戦っているが・・・足の爪でも出来るんじゃないか?」
「え・・・・・・・・・。あー、その発想は無かった。さすがリョ〜君。やるじゃん。」
ははは、もっと褒めてもいいのよ?
変化もそうだが、自分のスキルの事なのに、認知してないスキルが多いんだな。
ルナホでつよさを見れるのは、僕の強みだ。これからもどんどん気になったら教えてみるか。
足にも不可視の爪を発動出来ると知ったピノは、飛び蹴りを多用するようになった。
・・・いやいや、爪関係なくないですか?
何でライダーキックしてんの?鋭い爪で引っ掛けよ。
いやぁ・・・でも見えないんだよなぁ、スカートの中。
きっと魔物側からは丸見えに違いない。
・・・今度ピノと手合わせしよう。そうしよう。
今日の冒険も終わりにしようって時に因縁の相手が現れた。
セリス、イムと共に戦って、歯が立たず逃げてしまった、あの怪力ベアーだ。
しかも今回は2匹。
ルシルとピノが加わって盤石になったうちのパーティーではあるが、大事をとってスルーしようと思った。
だが、意外なやつがリベンジを提案してきたのだ。
「リョウ、やろう。・・・・・・だいじょぶ。イムが、一匹とめる。」
あのやる気ねぇ(顔だけ)で有名なイムさんだ。
ここ最近のニート生活のせいで「・・・・・・ダルい。」が口癖の、凄くイムらしくなってしまったイムさんだ。
イムを先頭にして、2匹の怪力ベアーと接敵する。
先制攻撃で怪力ベアーからパンチをもらったイムだが、次の瞬間には、その怪力ベアーを伸びた腕で殴り返しているイムの姿があった。
あの逃げ帰って来た時の事を思うと、考えられない光景だろう。
だが実際にその光景が目の前にある。怪力ベアーのパワーと互角に戦うイムの姿があった。
それにはしっかりと理由があるのだ。
なんと、ルナホでイムのつよさを見てみると、イムのレベルが1から3に上がっているのだ。
これにはビックリした。だって魔物は成長しないと聞いていたので、変わる訳無いと思っていたからだ。
レベルが3に上がっていたイムは、ステータスが劇的に上がっていた。
レベルが2上がったとは思えない程の成長をみせたイムは、力だけカティに迫るステータスを得ていた。
怪力ベアーと互角に戦えるのもその為だろう。
・・・スライムなのに力の成長率が高いんだな。素早さとかが上がるのかと思ったが。
しかも、成長したのは数値だけでは無い。
とくせいの欄にも変化があったのだ。
とくぎ:体積変化、吸収、触手、变化
まほう:
とくせい:物理無効
物理軽減が物理無効になっていた。
なんとイムは殴られても斬られても刺されても、体が吹っ飛ばされようが風穴が開こうが、物理攻撃なら何もダメージが無い体になってしまったのだ。
ハーピー襲撃の時ぐらいから、攻撃を受けた際のダメージが少ない事を疑問に思っていたらしい。
あの時にはまだ無効では無かったんだろう。ピノを倒し、レベルがあがった事で物理無効になったんだと思う。
そして強くなったのはイムだけではない。
セリスもレベルが20から22に上がっていたのだ。
天使は亜人達と一緒で、成長が遅いと聞いていたが、イムと同様に上がっていた。
どういう事なんだろうな。僕と比べようにも、僕のレベル分かんねぇまま放置されてるし・・・。
因みに、セリスはスキルに追加は無し。
まぁ元々、女神の祝福なんて中身の分からんとくせい持ってるしな。
2人にもレベルが上がった事を話したのだが・・・どうもピンと来ていないようだった。
元々この世界にレベルの概念なんてないし、仕方ないだろう。
一体何故こんな事が起こったのか。
成長しないと言われていた魔物が成長し、成長が遅いと言われていた天使のレベルが上がった。
もしかして僕のとくせいの欄にあった成長付与の効果だろうか?
だとしたら凄いスキルだ。ぼかぁとんでもないスキルを手に入れたよ。是非、僕にも効果が現れてほしい。何故一向に強くなれないのか。コレガワカラナイ。
怪力ベアーの厄介なところは、力だけではない。
多少の事では動じないタフさが最も厄介である。
空に舞い上がったピノが、得意の羽根飛ばしをする。
完全に怪力ベアーの射程外からの攻撃。
だが怪力ベアーにはかすり傷程度にしかなっていない。
そして怪力ベアーと正面から対峙するセリスも、致命的な傷を負わせることができていなかった。
ただ抑え込んではいる。倒せはするだろうが、時間がかかるだろうな。
僕も戦闘に加わろうとしたが、ルシルがそれを許してくれない。
ずっと僕の手を握っている。
まぁ僕が行っても・・・。そうだ、こうしよう。
「ルシル。加勢してくれるか?出来るだけ手加減して、あっさり終わらないくらいの力加減で。」
「・・・かしこまりました。我が主の望みとあらば。それではご主人様、ご主人様の剣をお貸しいただけませんか?」
剣を?珍しいな。
僕はルシルに銅の剣を貸してやる。
それを持って、イムの相手している怪力ベアーに向かって行った。
メイド服をなびかせながら、剣を構え、突っ込んでいく。
そのまま流れるように、怪力ベアーの右腕を斬り・・・いや、殴った。剣で。
怪力ベアーの右腕が圧し折れる。そしてこっちも折れた。剣が。
痛みで絶叫する怪力ベアー。予想外?の事に絶叫するルシル。
すかさずイムが追撃し、地面に倒れる怪力ベアー。その場で土下座をするため、地面に倒れるルシル。
「ごっ、ごっ、ごめんなさいぃぃぃ〜〜〜っ!!私が!私が調子に乗ったばっかりに!ご主人様の!ご主人様の大事な剣を〜〜〜っ!!」
いやもう、何が起こった?
取り敢えず・・・そこで寝っ転がっているルシルを回収しておこう。
戦いはほどなくして終わった。
どうやら僕達も、怪力ベアーを倒す程の力を身に着けたようだな。
◆◆◆
「で?さっきのアレは何だったんだ?」
「・・・は、はい。あれはでございますね。ご主人様が手加減するようにと仰られたので、人間の使う武器を使えば、丁度よくハンデになると思った次第で・・・。」
なんだその発想は。
ルシルの考える事はよく分からん。
「はぁ・・・?しかし、あんな力一杯に剣の腹で叩く事は無いと思いますが?」
「・・・セリスに戦闘の助言など求めておりません。」
「いえ、ですが一発で武器を駄目にしてしまっては・・・。」
「黙りなさい。肥え太った天使に言われたくありません。」
「・・・そちらこそ、戦場で寝転がっていたようですけど?」
「なんです!?」
「なんですか!?」
あーもう。
最近よくこうやってケンカするんだよ、セリスとルシルは。
仲が良くなった証拠なんだろうけどな・・・。
怪力ベアーを倒して、街に帰って来たところだ。
怪力ベアーの素材は結構需要があるそうなので、1匹持って帰った。
あっちの世界でも、熊は食えるらしいしなぁ。食った事は流石にないが。
「取り敢えず、帰りに武器屋に寄って帰るぞ。また剣を買わないとだし・・・そうだ!ルシルとピノの武器も買うか。」
「私達の・・・武器でございますか?」
イムのブーメランみたいに、合う武器があるかもしれない。
でも今日のイムは力技ばっかりみたいだったが・・・。
「それこそさ、ぶきっちょなルシルにはハンデに丁度いいんだろ?」
「ぶ、ぶきっちょ・・・。」
「・・・ぷぷっ。」
「!? い、今笑いましたね、セリス!この・・・ふとっちょのクセに!!」
「なっ!?ぶきっちょに言われたくありません!!」
「ガルルルルル なんです!!?」
「うううううっ なんですか!!?」
あーもう。何やってんだよ、こんな人通りの多いところで。
イムとピノが大人しくてよかった・・・って居ねぇし。
また屋台だよ・・・。あいつ等、金持ってないだろ!
あぁ、もう1人誰か欲しい・・・止めてくれる人、カモン。
武器屋に行き、銅の剣を買った。
資金にはまだ余裕がある。お金があるって素晴らしい!
一応、ぐるっと店を見て回ってはいるが・・・ハーピーと狼に合う武器ってなんだろう?
ピノは鋭い爪と羽根飛ばし、風属性魔法で戦う。
爪の代替品に、武道家が使う爪の武器があるけど、ピノは自前のスキルでいいんだよな。
空を飛んでるってのがアドバンテージなんだし、それを活かせる武器がいいんだけど、普通に剣でも持たせたらいいのか?
・・・やっぱり間接攻撃か。でも、羽根飛ばしっていう自前の間接攻撃があるしなぁ。
羽根飛ばしを更に活かす武器はないだろうか?
あの弾丸のような・・・・・・そうか、弾丸か。
銃だ。鉄砲がいいぞ。ロマンあるなぁ。
スナイパーにでもなってもらうか?元々鳥類?なんだし、目もいいだろう。
羽根を弾丸の代わりにできるか・・・いや、その前に鉄砲がこの世界にあるかどうかだ。
武器屋のおやぢに聞いてみよう。やっぱ無いよなあ・・・・・・えっ!?あるの!!?
武器屋のおやぢが言うには、かつてそのような武器を使っていた人が居たらしい。
その人とは、勇者オルダタのパーティーの1人、クラス忍者のマジマンだと言う。
忍者かよ!!
忍者、お前手裏剣投げとけよ。火薬玉とか使えよ。
汚いな流石忍者汚い。
まぁ転生者であるオルダタがあっちの世界から持ってきたに違いない。もしかしたら勇者パーティーには他にも転生、あるいは転移者がいるのかも知れないが。
いや、持ってきただけなら弾丸がいづれ尽きるだろう。ていうことは、こっちの世界で作らせた可能性もある。
つまり、何処かに設計図があるかも知れない。作れる奴が居るかも知れない。
これは夢があるな。
僕の旅の目標にしよう。そうしよう。
その間ピノは武器無しだが・・・元々戦えるし、我慢してもらおう。
次にルシルだが・・・ルシルは能力を活かす武器ではなく、殺す武器を選ぶ必要がある。
・・・・・・何だ?能力を殺す武器って?
大体、何でルシルは武器の扱いはあんな不器用なんだ?
へなちょこと言われている僕から見ても、剣の持ち方おかしかったし、刃の方で攻撃しないし。
まぁ魔物なんだし、武器が扱える方がおかしいのか。
イムが特別なのか?
う〜ん。もしかしたら武器の種類によっては、イムのように使える武器があるのかもしれない。
ただ、ハンデにならないと意味ないしな。さっきのように剣を持たせるか?
でも相当頑丈な剣じゃないと無理だろう。
例えば・・・魔剣か?
んなもんねーよ。カティにあげたしなぁ。
頑丈さがウリの・・・何かないかね?・・・何か・・・なん、か?
・・・・・・おぉっ!!コレだ!!
頑丈だし、ファンタジーRPGといったらコレを武器にするじゃないか!
しかし、何故コレが武器屋に?・・・まぁいいか。この出会いに感謝だ。
「おじさん!コレとコレとコレとコレ!全部くれ!」
僕はルシルの武器、ついでに防具も買ってやった。
それを持って、店の外に出ていたみんなの元に行く。
「ご主人様、お待ちしておりました。・・・えっと、武器は買わなかったのでございますか?」
「何言ってんだ。武器だぞ。ルシルの。」
「・・・・・・あの。調理器具にしか見えないのでございますが?」
そう、さっき僕が買って来たのは調理器具である。
せやけど、ノンノン。調理には使わないんだなこれが。
「何言ってんだって。フライパンは立派な武器だぞ。古来より数々の冒険者達がこのフライパンを武器に魔物達を倒してきたんだ。」
ゲームの中だけどな。
「古来より・・・えっと、それは本当、で?」
ルシルはセリスの方を見た。
セリスはブンブンと首を横に振っている。
こんな時だけ仲良しさんなんだから、もうっ。
「ルシルは・・・僕を信じないんだな!もういい!わしが装備する!!」
「あっ!!?いえ!!凄く!凄く嬉しゅうございます!!私はこのフライパンを装備する為に産まれてきたのでございます!ほ、ほら・・・えーっと・・・と、とても頑丈で!私にぴったりでございますよ!!」
ルシルは僕からフライパンを奪い取り、素振りをしている。
そうだよ。初めからそう言えばいいんだよ。
「あと、これもルシルの武器だぞ。大事に使うんだぞ。」
「・・・・・・あ、あの。流石にレードルとターナーは・・・。」
オシャレな呼び方しやがって。おたまとフライ返しだるぉ?
「大丈夫、ルシルなら使いこなせる。最後にこれは防具な。」
「お、お鍋・・・・・・。」
ルシルが微妙な顔をする。
セリスもピノも同じ表情だ。僕の癒やしはイムたんだけ。
「あ、あの、ご主人様。お鍋はどのようにして使うのですか?」
「あぁ、使うのはお鍋じゃない。お鍋は本当に調理器具として買ったんだ。まぁでも、どうしてもって言うなら頭に被ってもいいぞ。」
「いいえ!ご遠慮させていただきます!!」
「そうか?まぁいいけど。防具として使うのは、お鍋の蓋だ。これは立派な盾なんだぞ。」
「盾・・・これが盾でございますか?」
「そうだぞ。お鍋の蓋ほど初心者向けの盾はないだろう。古来より数々の冒険者が、お鍋の蓋を装備してきたのだ。ルシルもそれを使いこなして、立派な冒険者になるんだぞ。」
まくしたててみたものの、まだまだ納得はしてない様子のルシルだが、もう放っておこう。
大丈夫、ルシルなら頑張れる。
武器屋を離れ、帰り道。
みんなに一番大事な話をしようと思う。
こっからは真面目な話だ。こう言ってしまうと、さっきのフライパンの話が不真面目だったように聞こえるが、さっきのも決して不真面目な話じゃないのだよ!真面目にフライパンを推したのよ!
「みんな、聞いてくれ。僕達の今後についてだが・・・。冒険者になる事を見据えて、次のステージに行こうと思う。」
みんなが一斉に僕の顔を見る。
「さっき森に生息している魔物の中でも一番の強敵、怪力ベアーを2匹も同時に相手して倒した。僕達のパーティーだけでだ。さらなるレベルアップの為に、次の段階に行ってもいいと思う。」
「えっと、リョウさん。具体的にはどうするのですか?狩場を変えようという事ですか?」
「それもあるけどな。僕達は・・・本職の冒険者に教えを乞おうと思う。」
アンド・・・金魚のフンとフンのフン先輩の関係のように、冒険者ギルドに登録している本職の冒険者と、未成年でまだ冒険者ギルドに登録出来ない冒険者のタマゴのパーティーってのはこの世界ではよく見るものだ。
あの2人はなんだかんだ仲良しだからパーティーを組んでいるだけだが、冒険者が未成年をパーティーに入れる理由としては、成人になった後に自分のパーティーとか派閥に入れるとかそんなんだ。
冒険者もボランティアで足手まといを冒険に連れて行くなんてしない。
そこそこの付き合いをしている紫煙の風に頼んでもいいが、いい返事を貰えるか分からない。
だから僕は、もう一つの方法を使おうと思う。
というか、こっちの方法の方が主流だろう。その方法とは、冒険者ギルドに依頼を出す事だ。
冒険者に仕事として、冒険に連れて行ってもらえばいいのだ。
危険を伴う依頼なので高額な依頼料がいるが、こちらにはレア種のミノタウロスの魔石があるのですよ!
これでどっちも損をする事はない。まさにWinーWin。
でも僕も依頼を受けてもらうのは、もっこり美女のパーラさんが居る紫煙の風がいい。
別に依頼を出すからと言って、特定のパーティーと交渉してはいけないという事はない。
出来レースでもいいのだよ別に。
「なるほど。私は賛成です。できれば、パーラさんのパーティーに受けてもらいたいですね。気心も知れていますし。」
セリスはアレで気心が知れた仲になったと思っているらしい。
嫌な顔をするパーラさんが目に浮かぶようだ。
「ご主人様がそうお望みならば、何処までもついて行きます!」
「ふ〜ん。他の人間と行くの?わたしもいいけど。」
「・・・・・・ん。」
モン娘3人娘も賛成のようだ。
さて、こっからは僕の仕事だな。
カティ。僕はやるぜ。
だからお前も頑張れよ。




